FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年1月16日放送

今回のお客様は『鳥羽商船高等専門学校』情報機械システム工学科教授の江崎修央さんです。
情報機械システム工学科では、プログラミングをはじめ、電気や機械の設計開発、加工ができる人材を育てています。

重県の地域課題の解決に取り組んでいる

地域解決の内容は様々。農業、水産業、そして観光業。
学生たちを地域の中に送り込み、一緒に考えさせています。
我が校の最大の特徴は1年生からPBR(プロジェクト・ベスト・ラーニング)なにか題材を与えて、それに対して自分たちで解決するということに力を入れています。
中でも上級生になると、地域課題の解決に取り組むことを柱とし、鳥羽市と包括連携を結んでいるため、市のいろいろなことをやったり、三重県の南部では、柑橘系の水を上げる制御なども行っています。
地域に根ざして、地域の課題を解決していくことで自分たちの技術力をあげていくというカリキュラムを組んでいるので、おそらく、ここまでやっているのは日本でも珍しいと思います。
一次産業と三次産業を伊勢志摩は主軸としているので、そういうところで、どういうふうにみなさんと連携して、なにか課題を解決するかに取り組む一方、二次産業だと北部地域が盛んなので、工場のIT化みたいなものも当然希望されるので、そういうところに関しては私どももいくつかの会社にお邪魔して、IT化の講座なども行っています。
北から南まで、その地域に合わせていろいろなことをしています。
そういう産業に関して言えば高齢化が進んでいるのと過疎化が進んでいて、担い手が足りなくなってきている中で、悪い意味ではなく、機械に任せられるところは積極的に機械に任せていく必要があります。
AIが仕事を奪うみたいな話がありますが、あれは認識が違っています。
例えば道端に立っている人に「100円です」とジュースを売り続けることが、できますか?…ということだと思うんです。
それは自動販売機がやってくれるんですよ。
つまりAIはその程度の話であって、機械に任せられるところは積極的に任せないと、もう我々の要求を満たすことができなくなっていて、まだ自動化されていない部分を自動化していくんだ…ということを、学生と一緒に取り組んでいます。

 

のナンバーのデータから街をデザインしていく

身近なのが、低学年の子が「ゲームプログラマになりたい」と言って入学していますが、実際うちに来ていろいろやっていると、「こんなことにITを使うんだ」とか、電気回路や機械の知識が必要なことが経験としてわかってきます。
地元の産業なので、やりがいがあるというか、やっていて身近で面白いんですね。
実際に漁業者とか農業者と会って話をすると、とても期待されていることがわかりモチベーションが上がっていきます。
それに積極的に携わることができる子は、ビックリするくらい能力が伸びますね。
あとは三次産業の観光でいうと、『顔認証』を実はやっていて、カメラで男性女性・年齢・顔の特徴などを覚えていて、どういう行動をしたかによって、最適な観光客受け入れ体制の街づくりの提案ができるんですね。
あとは、車のナンバーでどこから来ているのかを自動で統計を取り、どのくらいの時間にどの地域から来たというのを集取する仕組みを作ったりしています。
ターゲットは今、相差が多いのですが、名古屋や大阪からがほとんど。
どこに観光プロモーションを打てば、さらに観光客が増えるのかを考えたりしています。
また、名古屋の嗜好と大阪の嗜好っておそらく違うので、ここは名古屋に向けた店を作ってしまうとか。
ターゲットをその町全体でカバーするような仕組みを作って、特徴ある街づくりをしたいと考えています。
それにはまだまだ時間がかかるのだけど、その基礎データとして顔認証や車のナンバーなどから統計を取っていく仕組みを作っています。

 

測システムを導入し、スマホで潮位や温度が見えるようにしている

自然相手の産業なので、予想できないと裏切られて全然収穫でいなかった…ということが発生します。
そのため海の情報を見える化して、そこから収量を増やしたり、等級をあげたりできないかな、ということにここ2〜3年取り組んでします。
水産業に関しては、人工知能を用いてのシステムを開発しました。
その1つが養殖真鯛やブリにスマートフォンを使って遠隔操作で餌をあげること。

今は海苔養殖の支援も行っています。
現在、海洋観測機を県内に20〜30ヶ所ほど入れてあり、水温と支柱式の海苔養殖だったら潮位を見て、海苔網が適切に乾湿されているかを確認する仕組みを作り、業者さんに役立ててもらっているという状況となります。
最大の特徴は30分に一回、その画像が上がってくるというところで、その画像で乾湿の様子が見られるのと、カモや魚が海苔網に付いた海苔を啄んでしまうのを確認できると、それに対する対策を取ることができるので、そのあたりも生産者さんに期待されているかなと思います。
私たちが作っている画面はすべて、フリップ動作だけで見ることができます。
つまりスライドするだけで、出るようにしてある。
これが第一の配慮です。
ボタンを動かすのではなく、直感的な操作、左右にずらすだけで良いということに、こだわり抜いて作っています。
それからもう一つは、それでも使えないという人が当然いるので、私たちの窓口を漁協にしてあり、漁協の人が代表して『今日の水温』を貼ってくれるという仕組みになっています。
そうすることによってスマホやタブレットを使えなくても、地域の人みんなが情報にアクセスすることができ、SDGsもうそうですが、一人も取りこぼさないというコンセプトに沿ってやっています。

 

飛ぶ車が出来たら、この地域の観光は変わり、人の幸せの価値も変わる

開発してきたことが持続できるように地元企業とも連携をとり、商品化も進めています。
それが、問題を解決するということ。
未来の夢の乗り物にも携わっています。
『空飛ぶ車』の時代が来た時に、委員というか呼ばれるメンバーではあるのだけど、ガラッといろいろなことが変わると思います。
観光のあり方、産業のあり方が変わりますよね。
10年後にどうなっているのかを想像していたい。
単純には中部国際空港から直接ここに来た時に、何をしたいと聞かれた時に、鯛の養殖の生簀に行って、一匹釣り上げて、漁港のおばちゃんに作り方を聞いて塩釜を作って、断崖絶壁の上で食べられたら最高じゃない、と答えました。
テクノロジーがあれば、それもできますよね。
そういう絶叫レストランを独り占めできて食べることができたら、それは価値のあることですよね。
東京の小洒落た六本木で夜景を見ながら食べるのとは全く違う、もっと贅沢な時間とお金の使い方です。
そういうのがもっといっぱいあると思った時に、そういうことをこれから考えていきたいと思いました。

うちの部屋って外見てもらうとわかるけど、海が見えて船もあって、実は美味しいものがそこら中にあって、こんな環境で生活できたら、本当にハッピーなんじゃないかと思いますね。

一次産業の後継者不足と高齢化、若者の都会への人口流出。
そんな地方の問題をITで解決していけば、田舎の未来は明るいですよ!