FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年1月30日放送

今回は、いなべ市北勢町にある有限会社松葉ピッグファームの専務取締役、松葉崇道さんがお客様です。
松葉ピッグファームでは養老山麓の湧き水を使い、三重県銘柄三元豚、さくらポークの飼育と販売を行っています。

重県の北勢地域の何社かでさくらポークの飼育を行っている

私どもの農場だけでなく、亀山や菰野、鈴鹿や四日市で何社か一緒の品種と餌を統一して、『さくらポーク』というブランドで生産から販売までしています。
それぞれ親の世代からはじまりまして、やはり一社ではなく何社か集まることでエサを統一したり、品種を統一することで、効率よく経営できるようにとはじまりました。
肉はだいたいそうなんですが、脂身で味の良し悪しが決まってきます。
脂身がくどくて甘みがないと肉質もよくありません。
脂身が甘くて食べやすく、臭みがないと良いお肉ということになります。
出荷する段階で『良い豚』を見極めてから出荷しているので、豚肉の中でも良いものだけを出荷していますので、そこまで味のばらつきがないと思います。
経験ですね。
見て、太ももの周りに脂肪がバランス良く付いているとか…そういうところで、育ててきた今までの経緯を見て、選んでいるそうです。
健康に育てることが第一です。
豚はきれい好きなので、きれいな豚舎にすることとストレスを与えないことで良い肉質ができます。
夏だったら換気を良くして、スプリンクラーが回って熱を下げたり、冬だったらなるべく暖かくしてストレスを与えないよう、豚が冷えないように育てています。

 

がエサを食べていない。その変化に気づき保健所に連絡

おととしは大変な年となりました。
夏、松葉ピッグファームの豚舎で豚コレラが発生したのです。
長く辛い日々でした。
忘れたいけど忘れられない出来事です。
今となってはあれが起こったことで、いろいろなことを考えさせられるきっかけになりました。
最初は、エサを食べていないと所長が発見しました。
これは怪しいと保健所に報告したところ、検査をすると。
検査をしたところ、豚コレラの陽性反応がでました。
実際まだちゃんとした検査を受けないことには断定できないと、1日ほど猶予がありました。
報告を受けたのが、その日の夜…月曜日の夜でした。
その夜は眠れず、夜のうちに従業員の解雇の仕方や、休業手当が出る方法を調べたり聞いたりして、朝を迎えました。
報道はもっと遅いかなと思いましたが、朝のニュースでもう出ていたので、従業員から電話がかかってきて…その日一日は電話の嵐でした。

 

くらポークを育てている仲間が販売する豚肉を持ってきてくれた

同業者、養豚仲間の支えが一番ですね。
迷惑をかけたらいけないなと思っていたので、もうさくらポークじゃなくても販売していかないといけません。
従業員がいるので。
牛肉でも鶏肉でもなんでも売っていかないとと思い、さくらポークではない国産豚を販売しようとまで考えていました。
しかし、周りの仲間が「復活するまでこちらの豚肉を使え、譲るから」と。
だからがんばれ、と。
ありがたい言葉をいただいたので、供給量は少なく安定はしないですが、その豚を販売することで、継続していくことができました。
それがなかったら、今の『松葉ピッグファーム』はないと思います。
養豚の仲間にはなんとお礼を言ったらよいか…一生かけて返さなきゃならない恩をいただいたので、なんとか立て直して、もとの水準に戻るまでがんばっていかないと、と思いました。
また逆に、なにかうちが手助けして、お互い、助け合いながらやっていかないとと思います。

 

くらポークを三重ブランドにしたい

徐々にお客様が戻り、新たに育てた豚をお店で販売できるようになりました。
一頭もいなくなった豚舎にいることはつらかったです。
そこから豚がどんどん増え、今は大切に育てられています。
地域に密着して、より愛される豚肉であり店舗にならないといけないです。
品質は今までのものを維持すること、それから今はできませんが、お客さんを呼んで食育や料理教室、親子でのウィンナー作り教室などを開催し、肉を使った美味しいものが地元にあるということを体感してほしいです。
また、子ども食堂や、街のイベントに協賛や寄付をしていきたいと思っています。
今は桑名の子ども食堂に食材を提供しています。
現在、グループでさくらポークを販売していますが、ブランドを一つに統一しました。
『さくらポーク』を三重県の県ブランドにしようと、動いています。
三重ブランドに豚肉がまだないので、初の認定をしてもらいたいと思っています。
三重県を代表する特産物になるように、今みんなで動いているところです。

涙を流して頑張ってくださいと言う人もけっこういて、そういう方を見ると、またやらないといけないな、と強く思いました。