FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年2月27日放送

今回のお客様は、紀宝町の『道の駅 紀宝町ウミガメ公園』のウミガメ飼育員、伊藤柊也さんです。
この春で飼育員になって3年目を迎えます。
大好きなウミガメに携わる仕事に就き、毎日が充実しています。
ウミガメ公園の中にあるウミガメふれあいパークは、ウミガメの保護や啓発活動の拠点となっていて、生態などを学ぶことができます。

ミガメを13頭飼育。保護されたカメたちがいる。

ウミガメ公園では、全部で13頭のウミガメを飼育しています。
一番最年長は31歳で、何年か前に他の水族館からウチに移ってきた子です。
他にも漁師さんの網にかかって怪我をしてしまって、一時的に保護している子、またはいろいろな理由で保護された子がいます。
元気になったら海に帰したり、または別の水族館に移動となったりします。
紀宝町は『ウミガメ保護条例』を全国で初めて町として制定したので、ウミガメに、とても思い入れが強い町です。
年々産卵する数は減っていますが、七里ケ浜は大きい浜ですので、昔はとても生みやすい浜だったようです。

 

さな頃からウミガメが大好きだった

カメがもともと好きで、なかでもウミガメが好きでした。
動物全般が好きだったこともあり、飼育員に憧れていました。
昔、読んでいた爬虫類図鑑の表紙がウミガメで、それでとても綺麗な生き物だと一目惚れして、以来カメが好きです。
ウミガメの飼育員になるために『日本ウミガメ協議会』が運営している水族館に研修に行きました。
そこで『ウミガメ公園』で飼育員を募集していると教えてもらい、推薦していただいて、こちらで働くことになりました。
本などで各々のウミガメの特徴などが書かれていますが、やはり個体によっては好き嫌いがあったり、クセのある個体もいて、書かれている通りのことではないとわかり、驚きました。
以前保護した子で、ご飯をあげてもなかなか食べない子がいました。
本当に1ヶ月くらい食べなかったのですが、他の子が同じご飯を食べるのを見て、だんだん警戒心が薄れて食べてくれるようになり、元気になって海に帰すことができました。

 

ミガメは70年が寿命と言われているが、研究中なのでまだわからない

現在、徳島県にいる70歳くらいのカメが世界最高齢です。
他のカメ、例えばゾウガメだと200歳くらい生きる個体もいるそうです。
大きなウミガメはだいたい、人と同じくらいの年齢で死んでしまうと言われています。
ただ、それもまだ研究段階で、まだ生きる可能性もあるのでロマンがありますね。
卵がピンポン玉くらいの大きさなので、そこから生まれてくるカメは本当に小さくて、大人になるのにも長い時間がかかります。
20年から40年くらいかかると言われています。
子ガメの世話はまだしたことがありませんが、本によると、子ガメのうちはすくすく成長して、大人になるに連れ我々のように、年に1mmとか1cmしか成長しなくなるようです。
ここで飼育しているアオウミガメはひと懐っこくてあまり攻撃してきません。
アカウミガメはけっこうエサに貪欲で、アグレッシブな子が多いですね。
タイマイは、ここの個体に関しては臆病でシャイな子が多いですね。
それぞれ自然界では別のものを主食にしているので、その主食を食べやすい口の形に進化していて、そのため頭を見ると簡単に見分けることができます。
アオウミガメは海藻やクラゲを食べるので、引きちぎりやすいよう、フチの部分がノコギリのようにギザギザに進化しています。
アカウミガメは甲殻類などの硬いものを食べるので、顎の力が強く、頭が大きく発達しています。
タイマイはサンゴの隙間に生息する生き物を食べるので、クチバシのように尖っています。
甲羅の形や色や形も違いますね。
アオウミガメは赤っぽかったり黒っぽかったりする個体た多く、きれいな楕円状をしています。
アカウミガメは甲羅が逆三角形で、全体的に赤っぽいですね。
タイマイは茶色や黄色っぽい子が多く、甲羅が細長く、フチの部分が尖ってギザギザしている子が多いですね。

 

物の中で唯一、甲羅を持っていて生態がおもしろい

現在ふれあいパークはお休み中ですが、無料で、ふらっと気軽に寄ってもらえる所なので、普段水族館などに行かない方も来られることが多いです。
ですからなるべく、カメの説明や解説板などに、なるべく専門用語を使わず、誰でも理解できるような内容にしています。
また、カメや生き物が苦手な人もいるでしょうが、カメは意外と人に慣れやすいということを伝えるような努力をしています。
ウチでは実際にスッポンも飼育していますが、SNSにスッポン画像を載せると、意外と間抜けな顔をしていて可愛い…などの声が結構聞こえてきます。
写真で良い反応をいただけますね。
屋外では淡水で生息しているカメなども展示していて、天気の良い日だと陸で甲羅干ししているのんびりした姿を見ることができます。
動物の中で唯一、甲羅を持っている生き物だということも、面白いところだと思っています。
その重い甲羅を持って生活するために丈夫な足腰だったり、移動手段など、なかなかおもしろい生態を持っているので、ぜひウミガメ公園に来たり、身近な水族館でカメを観察していただければと思います。

目の前の浜での産卵数が最近減少しているので、自然界のカメを守る活動を今後も続けていきたいと思います。