FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年3月6日放送

今回のお客様は、四日市市にある『ひなた農園』の吉田菜穂子さんです。
ここで作られているのは、季節の野菜とイタリアやフランスが原産の野菜。
野菜本来の味にこだわって、ゆっくりと健康に育てています。

ストランからのオーダーをいただきながら野菜を作っている

農業を始めて、今年で6年目。
一般のスーパーでは並ばないようなものも作っています。
畑は全部で3ヶ所あり、合わせて5300平方メートル…およそ6反でやっています。
まだもうちょっと広げても良いかな、と思っています。
よほど手が回らないときに、兄弟に手伝ってもらってもらうくらいで、基本は一人でやっています。
ずっとサラリーマンをやっていたのですが、リーマンショックで職を失いまして、どうしようかなと思っていたときに、レストランのオーナーシェフの方から、「こんな野菜が欲しいんだけど」とお話を受け、需要があるなら売れるかなと思い、農業に転身しました。
最初はオーナーシェフが言っていて『ポロネギ』という西洋ネギと『サボイキャベツ』というチリメンキャベツを作って営業に行って、その先でさらにほしい野菜を聞いて、それを取り入れつつ。
あとはスーパーなどでもみなさんにお手に取っていただきやすいものを組み合わせて作っています。

 

のまき方、トラクターの乗り方、全部ひとりで勉強をした

トラクターとか乗ったことがなかったので、使い方を覚えることからスタートしました。
種の蒔き方、栽培方法など一から勉強でした。
とにかく学ぶことが多くて大変でした。
肥料のこと、水のこと、土のこと…頭がパンクするんじゃないかと思いました。
トマトもいちごもいいんでしょうが、他にすでにたくさんいるところに、後から入っていくのは弱いかなと思い、世の中にないものを作り、それを欲しがっている人に届けるほうが楽しいのではと思いました。
夏だと、焼肉屋さんが使うような細長い唐辛子とか黄色いミニトマトが、ちょっと変わっているかな、と。
冬になるとカーボロネロというヨーロッパのキャベツと、チーマデラーパというヨーロッパの菜の花などがどこのレストランさんからも重宝されているので、取り入れています。

 

ストランへ御用聞きに伺い、求められる野菜を作ってきた

ご飯を食べに行ったついでに、「私、こういう仕事をしているんですけど、なにかリクエストの野菜はありませんか? よかったら作りますよ」みたいな声がけを最初の頃はとてもしました。
一度にたくさんの注文が来ると、困ってしまいどうしようと思うことも度々ありました。
でも、先方も私が一人でやっているのをわかってくれているので、仕方ないよねと暖かく見守ってくれているので、どうにかこうにかやれています。
俗に言う『高原野菜』はお断りしています。
夏にここでレタスは作れないので、そのへんはお話していますが、可能な限りチャレンジしたいという姿勢ではいます。
玉ねぎは採れたてのものが美味しかったですし、キャベツもそうなんですけど、採れたてのものは大抵美味しいです。
旬が大切なんですね。
レストランの方も「旬のものをちょうだい」と言われる方が多いです。
例えば茄子は夏の野菜なので、真冬に茄子が欲しいという人はいません。
夏のものは真夏に、太陽の下で採れたものをくださいと。
冬だったら、寒い風に吹かれたものをください、と言われることが多い気がします。
熱い夏の日も、氷が貼るような寒い冬も、この気候がおいしい野菜を作ってくれるんです。
無農薬が絶対に正しいという姿勢ではありませんが、できるだけ害になるものは省いたほうが身体にも良いだろうし、安心して食べられますよね。
例えばもぎったばかりのトマトをパクっと食べられる安心感が大事だと思うので、薬はかけないようにしています。
なので虫との戦いですね。
虫や病気との戦いなので、毎日見回って虫が付いていたら取って、ごめんねって言って。
虫とサヨナラするのが日々の仕事となっています。

 

れない野菜やキズ入りを無駄にしたくない

ここ2年くらいかけて勉強して、レシピとかも色々調べてみたり、お店で売っているピクルスを片っ端から買って試食してみたりして、いろいろ作って、どうにかこうにかピクルスのレシピができ、去年の夏から販売をはじめました。
どうしても野菜は、『売れない野菜』ができますし、自分で食べるにしても限界があります。
ちょっと大きすぎるとか皮に傷があるくらいで、品質に何にも問題がないのに売れないというのが、とても嫌で、だったら加工して売ったらどうだろうと。
たまたま三重県の尾鷲の先にあるお酢屋さんとイベントで知り合いまして、そこのお酢がとても美味しかったので、そのお酢とうちの野菜でなにかできないかなと考えてたどり着いたのがピクルスだったんです。
うちのピクルスは、ひなた農園の野菜とそこのお酢なんですが、そのお酢も木桶で作られた昔ながらの作り方で作られたお酢です。
そのお酢に、うちのピクルス用にお砂糖と塩を入れてもらって、調味したものを私が買い受けて、加工場で加工してもらうという風にしています。
保存料が一切入っていないし、お塩とお砂糖だけなので、添加物も一切入っていないんです。
とても尖った味がしないピクルスに仕上がっています。
販売してみてわかったのは、一番人気があったのがミニトマト。
ミニトマトを小さくカットして、和えたものが一番人気でした。
昨日、加工所に野菜を運んだのはカリフラワー。
もう少しすると『ロマネスコ』というトゲトゲしたカリフラワーができてきます。
これもピクルスに加工するので、この冬はその2つですね。

自分でがんばった分がすべて結果で返ってくるのが、励みになって、なんとかなっています。