三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポートト』2021年3月21日

地元・鈴鹿市にアトリエを構え、作品作りに取り組むキャンドル作家の行方兵伍さん。
惑星のような神秘的な色合いや陶器のような重厚さを持った個性豊かなオリジナルの作風が特徴。
イベントでの販売やネット販売に加え、アトリエの一角にショップスペースを設け一般公開も。
蝋の魅力を広く伝える為、現在はキャンドル以外の作品にも挑戦中!
部屋に飾りたくなるような作品作りを目指します!

鈴鹿市下箕田町にある、『wax work (ワックス・ワーク)』という工房に来ています。
こちらでは身近な材料で、あるアート作品を作っている方がいるんです。

 

作品がずらりと並んでいます。
実はこれらはすべてキャンドル!
どれも個性豊で、色とりどりで見ていて楽しいです。

 

こちらが作品を作っている行方兵伍さん。
鈴鹿市を拠点に活動する、キャンドル作家です。

「プラネットキャンドルと言って、惑星をモチーフに作っています。
キャンドルなので飾ってる時と灯をともした時で見え方が、がらっと変わってきます。
そこも楽しんでいただきたいですね」

愛知県の芸術大学を卒業後、建築関係の会社で、模型づくりの仕事に携わっていましたが、2011年、会社を退職し、キャンドル作家として活動スタート。
2015年に、地元・鈴鹿市にアトリエを構えました。

 

独創的で個性溢れる作品…。
灯(ひ)を灯すと、揺らめく炎に、神秘的なキャンドルの彩りが浮かび上がります。
まさにそれは、宇宙に浮かぶ惑星のよう。

「子どもの時から絵を描いたり粘土で遊んだりが好きだったので、趣味でモノづくりはしていました。
以前いた会社の同僚からキャンドルの作り方を教えもらい、趣味として作品を作り続けていたところ、行きつけのバーの人に勧められてお店に置いたところ、買い求めてくれるお客さんがいたことから本格的に創作を開始しました。
自分が作ったものを買ってくれる人がいるということが、一番大きなきっかけです」

と、行方さん。

 

簡単に材料と工程をおしえていただきました。

「ロウソクに使われているのと同じパラフィンワックスというロウを、鍋に入れて溶かします。
温度管理が大変で、あまり温度が高いと染料が一気に溶けてしまい、結局単色の色合いになってしまいます。
実験を繰り返した結果、100℃〜105℃くらいがちょうど良いとわかりました」

 

「溶かしたロウをこの型に流し込んで染料を入れ、染料を少しだけ入れて、ぐるっと回すと固まってきます」

 

これを数色繰り返すことで、惑星のような模様ができてきます。
一番、集中する工程はやはり、染料を入れてから回す一番最初だそう。
作るスピードを失敗してしまうと、の型から外す時に一番外側の蝋が型の方にくっついてしまうそうです。
難しい工程ですね。

 

内側にブロック状に砕いたロウを入れ、さらに溶かしたロウを流し込みます。

 

「型に流し込んだり、自分で原型を作っれば、その形どおりのものができます。
自分の好きな色をつけることができる、絵を描くようにキャンバスとして使える、さらにでき上がった後も削ったり溶かしたり切ったり割ったりと加工性も高いです。
粘土に近い自由度の高さがあって、そこが一番魅力だと思います」

最後に、小さな気泡の穴を埋め、型のバリをとったら磨いて完成。
惑星がまたひとつ、誕生しました。

 

実は行方さん、キャンドルをもっと身近に感じてもらいたいと、キャンドルづくりのワークショップもやっているそうですが、現在は新型コロナウイルスの影響でお休み中。
復活を待っている人も多いそうです。

 

行方さんの代表作は、惑星をモチーフにした『プラネットキャンドル』と、鉱石をイメージした『オーアキャンドル』。

「『プラネットキャンドル』」は現実にあるものをそのまま作るというより、惑星や銀河や宇宙などから触発された柄や色などを、丸く、惑星っぽく作っているイメージです。
鉱石をイメージした『オーワキャンドル』は、掘り出したばかりの原石みたいなイメージで作ってるため、地層っぽく見えたりもすると思います」

と行方さん。

 

他にもロウを使ったこんな作品も。
こちらはキャンドルではなく一輪挿し。
灯を灯す以外にも、ロウの持つ可能性を更に広げていきたいといいます。
これらの作品はアトリエ併設のショップスペース、インターネット通販で販売中。
他にも委託販売や、イベント出店などもしているそうです。

 

工房のお隣は、なんと写真スタジオが併設されていました!

カメラマン小島翔子さんは、2015年に大手スタジオを退職。
こちらの『フォトスタジオKAKEHASHI(かけはし)』を開設しました。
行方さんは三重県に帰ってきた際に、同級生だった小島さんに声をかけてもらい、元々倉庫だった物件をシェアして、スタジオとアトリエとして使用しています。

 

そんな二人が始めたのは、作品の写真撮影。
販売用の写真撮影を、小島さんが担当しているのです。

 

「とてもつるんとしているので、いろいろなものが映り込んでしまったり、フラッシュの光が入ってしまったり…。
色合いが変わると全部変わってしまうので難しいですね。
厳密に『見える』ということを、とことんやります。
毎回新しい変化と発見があって、力が増していく感じが、とても魅力だと思います」

と、小島さん。

「ジャンルは全然違うんですけど、それに対しての意識や考え方など、影響を受けたりっていうのはかなりあります。

キャンドルという分野で、今まで見たことがないような表現の仕方とか、他の作家さんがまだ見つけていない技法だったりとか、そういうものを自分の力で見つけていって、確立していければと思ってやっています。
作るもののクオリティもどんどん上げていく中で、テイストが変わっていく可能性もあると思います」

と、行方さん。

行方さんの作るキャンドル。
お部屋にひとついかがですか?
気になる方は、『wax work』のウェブサイトをご覧ください!