FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年4月24日放送

今回のお客様は『鈴木鉱泉株式会社』の専務取締役、鈴木慎吾さんです。
鈴木鉱泉は、クリームソーダ味の炭酸飲料『スマック』を製造している会社。
懐かしい味は、今も多くの人に愛されています。

マックができて50年 会社は創業108年

昭和43年くらいから、海外の飲料が日本に入って来ました。
それまではラムネやサイダーを扱っていた地場の中小メーカーでしたけど、やはり海外からいろいろなものが入ってくるのにどう対抗しようか、新しい商品を生み出していこうかを考えた中で出てきた商品が『スマック』でした。
会社は大正時代からあり、ことしで108年。
最初はラムネを作り、サイダーやオレンジジュースを作ってきた中で、海外の飲料が入ってくるタイミングでなんとか新しいものを…と、私の父親である今の社長が開発しました。
聞くと、当時、喫茶店で若い女性がクリームソーダを飲んでいたと。
それがとても人気だったので、なんとか瓶詰めにして送り出せないかと考えたそうです。
乳成分が入っているので、酸味と炭酸とバランス良く作り上げるのが技術的に難しかったのですが、いろいろ工夫し、水を選んだり調合の方法を工夫して仕上げたのが、『スマック』となります。
社長が苦労して作った『スマック』はたちまち人気商品となりました。
『クリームのささやき』というキャッチフレーズをはじめ、親しみやすいミルク風味と微炭酸は、桑名の味として広まりました。

 

りたいという県外の会社からのオファーもあり、33県で作られた

私は小さな頃か普通に見ていましたけど、3年前に戻ってきてやってみると、桑名の人にとても馴染んでいることを再確認しました。
「桑名といえばスマックだね」と。
変わらないということも大事だなと思います。
開発したときに東海エリアで好評を得たので、全国各地の地場の中小メーカーさんから、やってみたいとの声をいただきました。
今の社長が全国を歩いて、こういう作り方でこういう工夫をしたらスマックができるということを、教えて回りました。
33の県で一時は展開していたことがあります。
全国いろいろな場所で飲んでいただいていたという時代がありました。
地元のメーカーだけでは全国で販売は難しいので、それぞれラムネやサイダーを扱っていたボトラーがありましたから、そういうところで一緒に育てていこうと広めたわけです。

 

さな頃、友達が貴重な瓶を割ってビー玉を取り出していたので工場に来てもらってビー玉をあげた。

今はサイダーと同じような方式で、ビー玉の付いた口をポコっとかぶせてしまう作り方もありますが、私共は昔ながらの製法にこだわって、360度回転するというやり方を取っています。
中身を入れたときに瓶が逆立ちするんです。
そうすると中に入っているビー玉が重力で口のところに降りてきます。
中に炭酸ガスが入った液が入っていて、炭酸の圧力でビー玉を口のところのゴムパッキンに押し込んで密栓します。
小学校の頃はビー玉を欲しいからと、ラムネのガラス瓶からビー玉を取り出すために、瓶を破壊しないといけません。
当時は何回も使う貴重な瓶なのに、割ってしまう友だちが何人もいました。
ビー玉は工場にいくらでもあるから、と、工場に連れてきてビー玉をあげたこともあります。

 

の地域の水や果汁を使ってサイダー、水を作る

鈴木鉱泉では、ご当地サイダーや水も作っていて、県内だけでなく県外からも依頼が来ます。
細かな部分に対応しながら、その土地の味が決まります。
いろいろなところの水を使うとか、採れた果実の果汁を使うとか、地域地域、その町の特色を出していく商品づくりがあります。
ナショナルブランドのどこのコンビニに行ってもある商品だとか、どこのスーパーでもある商品ではなくて、そのエリアでこその商品があると思うんです。
そういう方のお手伝いをさせていただくという仕事が増えてきています。
いろいろな形がありますが、そこの水を使ってサイダー作るとか、ボトルドウォーターを作ることもあります。
私どもの工場で使っている水を使いながら、ご当地の特色のある果物を使ったり…いろいろな形があります。
なかなかどこの水でもそんなに変わらないとは思うんですが、やはり地元の方がその水を飲むと、「小さい頃から飲んでいた水だ」と言われることがあるので、自分の体が覚えているところがあるんでしょうかね。
わかるようなんです。
水が変わると、どれだけ味が変わるかは、正直説明しにくいです。
飲んだ方にはわかるということだと思います。
私はまだまだ3年目ですが、社長はスマックを開発したときからずっとやっていますので、いろいろな材料を委託者と話していく中で、どんな調合にして何を使って、どんな香料を使ってだとかを組み立てていくのはそれだけの経験を持っています。

その中で喜んでいただける製品に仕上げていくということを、丁寧にやっています。

この『スマック』のように、変わらないということで愛され続ける商品もあるし、やはり基本を大事にした商品を、しっかり作っていく会社でありたいですね