三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年8月1日

『戸畔の会』では、かつて錦地区と奈良県へ繋がる街道=「魚の道」の歴史を掘り起こすプロジェクトを2013年実施しており、錦地区から奈良県・橿原神宮までを、マイクロバスによるツアーや実際に歩くなど行ってきました!
番組では2019年・2020年に取材を行い放送。
今回、これまでの記録を『魚の道100km』として発刊した戸畔の会のみなさん。
地元大紀町立錦小学校の5・6年生に「魚の道」の特別授業を行い、大紀町に表敬訪問、冊子を寄贈しました
冊子は『魚の道100km』を地図や観光名所を載せながら、また実際に道中で出会ったお弁当・おやつといった情報も掲載。
日本書紀にも登場し、神武天皇東征の地とも言われる「錦」の歴史を多くの人に知ってもらい、誇りを持ってもらえるよう活動を行ってきた戸畔の会のみなさんをレポートします!


大紀町で唯一海に面した漁師町、錦。
錦漁港からほど近い錦小学校でこの日、特別な授業が行われていました。

5年生6年生12人の生徒の前で先生をつとめるのは『戸畔の会』のみなさん。
地元、錦の歴史を学び、錦の魅力を再発見しようと取り組むグループです。
『戸畔の会』とは、『日本書紀』の神武天皇東征に登場する女酋長・丹敷戸畔(にしきとべ)にちなんだ女性を中心としたグループで、地域の歴史・文化を広く伝える活動を行っています。

「日本書紀『錦』が出てくるんです。
私が学生の頃にそれを初めて知って、日本ではじめての歴史書に錦出てくる、錦どんなとこ?と思って。
錦の魚、錦の鯛と書かれたものが5個、木簡に残っているんです」

 

子どもたちは初めて聞くふるさとの歴史に興味津々。
今回ご紹介する『戸畔の会』のみなさんは、錦の子どもたちがふるさとの歴史を学び、誇りを持って生きていけるように、8年に渡って地域に眠る歴史を掘り起こす活動に取り組んできました。
今回はそんな戸畔の会のみなさんの活動を振り返ります。

 

『戸畔の会』のみなさんの取り組みを、ゲンキみえで初めて取り上げたのは、2019年1月のこと。
第6回を迎えた『都に続く縁の道を歩く』ツアーをレポートしました。
このツアーは、2013年からはじまった、奈良の都と錦をつなぐ歴史街道を歩いてたどるもの。
とはいえ一度に歩き切るのは無理なので、毎年歩く区間を決めて、バス移動。

 

のぼりを持って歩いているのは2020年5月のこと。
参加者のみなさんといっしょに歴史を辿り、学び、そして新たな発見をしつつ歩き抜きました。

 

そして、『日本書紀』編纂1300年を迎えた昨年2020年、最終目的地の橿原神宮に到着。
錦の魚を奉納しました。
その距離およそ100キロ!
8年にわたる壮大な道のりでした。

 

そして、その8年で錦から奈良の橿原神宮まで歩いた記録がこの冊子、『魚の道 100km』。
『魚の道』と書いて『いよのみち』と読みます・

 

「私たちが歩いた道を地図にしまして、その中でどうしてもちゃんと歴史を知ってほしいところや、そこの『言われ』などを、後ろの方に説明してまとめてある本です」

と、『戸畔の会』代表の西村元美さん。
西村さんは地元で活動する『ISOMON6』の代表でもあります。
『ISOMON6』は 錦の6人のお母さんたちが元気とやる気を起こそうと大紀町唯一の海水浴場・向井ケ浜トロピカルガーデンで海開きイベントを開催。
2012年からは戸畔の会と共に地域の活性化を目指しています。

「始めたのは『ISOMON6』で、歴史のことをゆるい感じで地元の言い伝えを集めようしたところ、集めましたらいろんな方から奈良との関わりとか、神武東征の上陸地だという話も聞き、そこを深堀りしていこうとなったのがきっかけです」

 

冊子『魚の道100km』は、大紀町錦の情報はもちろんのこと、大紀町からの湯谷峠、奈良へと続く高見峠、橿原神宮へと入る半坂峠…その4つのエリアに分けて観光スポットなどを紹介しています。

 

「実際にあるいてみると、ほとんどは自動車道路になっているんです。
昔使っていた道は舗装して自動車道路にいますが、昔の峠道はもう使われなくなってわからなくなっているのを調べてももらったり、雑草を切ってもらったりなどの今日得浴をしてくれる人たちがいました。
で、私たちそこを歩いて。
山道を歩くのと普通の舗装道路歩くのでは靴を変えないと足を痛めてしまうくらい全然違うんです」

と、西村さん。

 

冊子では、道中にある歴史関係施設も紹介。
そして歩き疲れたみなさんを支えてくれたお弁当やスイーツの情報も満載です。

 

そしてこの日。
『戸畔の会』のみなさんは大紀町長を表敬訪問。
8年におよぶ活動の証である冊子を手渡しました。

 

「平成25年からこの活動を見させてもらっていますが、非常にみなさん活動的活発で、活動を支えていることにつきましては私も頭のあがらない思いでした。本当に一生懸命にやってもらっていましたし、本当にきめ細かく書いてもらいました。
さまざまな場所のみなさんと協力・連携してやってくださったことに敬意を表し、感謝も申し上げます。
子どもたちにも、今後もいろいろ方面で文化の継承していかなければならないと思います」

と、大紀町の服部吉人町長。

戸畔の会のみなさんが歩いた道。
それは後世に残したい地元の文化と歴史。
特別授業で子どもたちに伝えます。

 

「今までわからなかった錦の歴史などがまた教えてもらってわかったので知れて良かったです」

「もっともっと錦の歴史が知りたいと思いました」

「道が長い所があったので、どれくらいの距離があるのかとかも行ってみたいなと思います」

「いろんなとこ行って、いろんな食べ物がいろいろあったことがわかりました」

と、授業を受けた子どもたちの声。
各々、受け取り方が個性的です。

 

「また歩きたいですよ、うん。あの大変ですけどね、歩きたいです。
まだ歩いていない所もちらほらとあるので。
だんだん歳を取ると一気には歩けないですけど、一番初めみたいに、こことここ今回はここ…というのを少しずつやっていけたらいいかなって思います」

と、『SOMON6』を共同主催している谷口満穂さん。

「結構イベントが中止になってとても残念ですが、今はしょうがないかなぁと思ってちょっとおとなしくしています。
準備する間も楽しいんですよね。
みんなと集まってこうしようああしようとか…。
それが今できないので本当に気が抜けてしまったみたいで、なんとか来年はやりたいです」

と、同じく『SOMON6』を共同主催している糸川博子さん。

「『魚の道100km』が発刊されて一区切りしましたが、せっかく作った記録ですのでそれを元にしてまた歩きに行ったり、勉強会などをできたらいいね、とみんなで相談しています。
さらに『魚の道』について説明できる語り部さんを、も私たちの会から作っていけたらいいなと思っています」

と、西村さん。

戸畔の会のみなさんの活動記録、魚の道100km。
興味のある方は大紀町教育委員会にお問い合わせください

大紀町教育委員会
住所 三重県度会郡大紀町大内山849番地3
TEL 0598-72-4040
FAX 0598-72-2470
MAIL kyo@town.mie-taiki.lg.jp