三重テレビ「ゲンキ!みえ!生き活きリポート!」2012年8月5日放送

忍者発祥の地とも言われる、伊賀市高尾。
平安時代の豪族・藤原千万の伝説が残る地で、伝統の祭り『甌穴まつり』が復活!

今回ご紹介するのは、忍者発祥の地とも言われている伊賀市高尾。
ここには、京の都に近い伊勢と伊賀の国境の山で、岩窟にこもり、神出鬼没・変幻自在の兵法を駆使して、敵の大軍を打ち破ったとされる若き武将、藤原千方の伝説が残っており、80年ほど前まで、伝統ある『甌穴まつり』が行われていました。


この地に残る伝説を伝え、伝統的なお祭り『甌穴まつり』を復活させて、地域をゲンキにしようとがんばっているグループが、『千万伝承会』のみなさんです!


6年前に設立した『千万伝承会』は、地元の有志を中心に25名で活動。
毎年5月に行われる『千方の餅まき』、そして今回ご紹介する『甌穴まつり』の2大イベントの主催のほか、新たな伝承の発掘、ハイキングコースの整備などを行なっています。


『甌穴まつり』当日は、受付が設けられた集会所の周辺に、車が続々とやってきます。
受付にもたくさんのお客さんが!


会場に向かうため床並川を遡上。
床並ダムからおよそ600m上流の『斗戔ヶ淵(とさがぶち)』は、千方将軍と四鬼が一斗入りの盃で酒盛りをした場所といわれており、この日は平安衣装の千万将軍たちが登場しました。


さらに300mほど上流に進んだところが、『甌穴まつり』会場の『血首ケ井戸(ちこべがいど)』。
大きくぽっかりと口を開けた『甌穴』に、読経をあげます。


岩盤の川床にあいた穴のため、普段は水中にあり、深さの半分ほどは、堆積した土砂で埋まっている『甌穴』。
そのため、『甌穴まつり』前には『千万伝承会』とボランティアのみなさんが、川をせき止め井戸さらいをしました。
『甌穴』は深さ4m、直径1.5mもあり、大変な重労働です。
そのみなさんの努力があって、この日、この『甌穴』は姿を現したのです。

『甌穴』は『ポットホール』とも呼ばれ、岩盤の窪みに入った石が、流れる水によって回転し、少しずつ岩を削り取って出来たもの。
この4mの『甌穴』が出来上がるまでには、五千年の歳月がかかっていると言われ、まさに自然の奇跡。
伊賀市指定の天然記念物にもなっています。


また『甌穴』には、千方が敵の首を投げ入れたという伝説が残り、そのため『血首ケ井戸(ちこべいど)』とも呼ばれています。
中の石を取り除くと千方が怒って雨を降らせる、という言い伝えからはじまった雨乞いの祭りが、この『甌穴まつり』なのです。


『甌穴』のすぐ下流では、子どもたちや参加者に楽しんでもらおうと、マスのつかみどりを開催!
みんなでつかまえたマスは、その場で塩焼きに。


『千万伝承会』のメンバーの奥さん、そして地元の女性のみなさんが用意してくれた生姜たっぷりの『ジンジャーめし』が参加者全員に振舞われます。


『千万伝承会』会長 森脇久満さん(左)、副会長 年岡夫美男さん(右)

森脇「年々参加者が増えて嬉しいです。みんなが高齢化していく中、これをどうやって伝承していくのかが課題ですね」

年岡「ここを普段でもハイキングコースのような形で、憩いの場・新緑の場として年間を通して来てもらいたいな、と思っています」

地域に眠る資産を掘り起こし、そしてそれを次の世代へと伝承すること。
歴史と、自然と、地域に暮らす者たちの熱い思い・・・。
新しい伝説が、伊賀市高尾で生まれようとしています。