三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年8月15日

南伊勢町道行竈は、かつて平家の落人が移り住んだとされる入り江に佇む小さな集落。
過疎化が進み、現在は人口は37名。20代以下の若者がいません。
昔から豊富な水源を利用したコメ作りが盛んな地域であったが、高齢化で後継者不足の為、近年は耕作放棄地が増加。
地域の誇りである水田を何としても残したいという思いから、2018年に南伊勢町と皇學館大学が締結した包括連携協定の一環として「日本酒プロジェクト」が始動!
有志による「チーム道行竈」が結成され、2019年~耕作放棄地を復田し酒米「神の穂」の栽培に着手。 プロジェクトに賛同した伊賀市の「若戎酒造」が醸造し「純米大吟醸 道行竈」が誕生しました!
2年目は純米吟醸を販売。更に酒米に加えてコシヒカリの栽培もスタートさせ、『道行竈のお米』として販売します!

こちらは南伊勢町の『道行竃(みちゆくがま)』です。
その昔、平家の子孫が移り住んだ『竃方(かまがた)』と呼ばれる集落のひとつ。
豊かな水源を利用して米作りが盛んに行われていましたが、現在では人口がわずか37人。
20代以下の方が、全くいないという状況になっています。

しかし、ここ道行竃では、企業や大学と連携して、『あるモノ』を使って地域を盛り上げようという取り組みが始まっています。

 

『チーム道行竃』と書かれた建物がありますね。
『酒』『米』と書かれたのぼりも揚がっています。

 

「こちらでは『道行竈の』プロジェクトで作った酒米を使ったお酒を販売しています。
耕作放棄地を使って酒米を育てて、その酒米で日本酒を作って地域を活性化させていくというプロジェクトです。
皇學館大学と南伊勢町が地域連携して、学生さんたちも農作業を手伝っていただいたり、田植えや稲刈りの神事をして下さったり」

と、チーム道行竃の西川百栄さん。

 

「お酒自体は伊賀市の『若戎酒造』さんにお願いして作ってもらっています。
1年目が『純米大吟醸』で2年目のプロジェクトで『純米吟醸』を作りました」

 

先人たちが残してくれた田畑と、竃方(かまがた)の暮らしや文化を残したい。
そんな思いから地域住民が主体となりスタートしたのが、『チーム道行竃』の『日本酒プロジェクト』です。

 

2018年に、南伊勢町と包括連携協定を締結した皇學館大学や、専門家の協力を得て、2019年、35アールの耕作放棄地を復田、酒米『神の穂(かみのほ)』を栽培しました。

 

日本酒を醸造したのは、プロジェクトに賛同した伊賀市の『若戎酒造』。
2020年1月に『純米大吟醸 道行竃』が完成し、発売1ヶ月で700本が売れる人気となりました。

 

「皇學館大学と南伊勢町と連携で、一緒にやっていこうと言われた時には、とてもプレッシャーがありました。
しかし、若戎さんで初めて口に含んだ時に、それがもう何も言葉に表せんぐらい、おいしかったんです」

と、『チーム道行竃』の理事長、島田安明さん。

 

今年も酒造りは4月の田植えからスタートしています!
稲もすくすくと育っています。
この日は『チーム道行竃』が管理しています田んぼの草刈り作業をする日ということで、地域の方やメンバーが集まって作業をしています。

「草刈りは大体、年4回くらいです。
一生懸命頑張ってるのを地域の人も見てくれているのか、『私らも手伝いしよか』と、いろいろ助けてくださっています。
この『道行竈』が一体となってやっているという感じになってきました」

と、島田さん。

 

「こちらで畑をしているので、ほとんど毎日来て畑の世話したり家の世話をしています。
先祖が一生懸命切り開いた土地なので、大事にしたいという気持ちが大きいです。
ちょっとずつやっていけば、良い結果が出そうな気がしますね」

と、道行竃出身で伊勢市在住の小松茂さん。

「『地域おこし協力隊』という立場で、草刈りや農作業のお手伝いをしています。
高齢な方が多いですから、サポートしつつ一緒に作業するというような。
今まで全くやったことなく、慣れないことが多いのですが、慣れないなりに一生懸命お手伝いできたらなと思っています。
出来上がったお酒は、スッキリした味なんですけど、日本酒らしい香りもくっきり出ています。
いろいろな方に楽しんでいただけるお酒だと思います」

と、『南伊勢町地域おこし協力隊』の加藤雄太郎さん。

 

この日、応援に駆けつけたのは、プロジェクトを支える若戎酒造の社長、重藤邦子さんと、皇學館大学の千田教授。

「皇学館大学は『CLL活動』という、学生と地域と大学で地域の課題解決を図る取り組みをしています。
その一環で2年前から参加させてもらっています。
実際現場に行って、地域の方のお話を聞きながら一緒に作業をするという経験はなかなかできないものです。
学生には多くの学びに繋がっていると思います」

と、千田教授。

「南伊勢は伊賀から距離がありますが、酒友の方がこちらのご出身で、区長さんはじめ、熱い思いをお聞かせいただいたので、是非うちも参加させていただかねばと。
良いお水のおかげか、良いお米が初年度から出来ました。
味わいや香りはご希望に沿ってつくったものになりますが、香りがふわっと広がって、良い酒に仕上がっていると思います。
今後も出来る限り県産のお米を使い、地産地消と言うことでどんどん使っていきたいですね」

と、重藤社長。

 

耕作放棄地を少しでも減らしたいという『チーム道行竈』の取り組み。
2年目にも耕作放棄地を復田させ、さらに新たに復田させよう、この耕作地を広げていこうという取り組みがこちら。
実際にはもう、稲が育てられています。
四反半の2枚の田んぼがあります。
それでもさらに、来年土地を開拓していこうと考えているとのこと。

 

「やってみて本当に、思っていたよりも作業は大変でしたが、やればやるほどいろいろな人たちが協力をしてくれました。
関係人口が増えてきたということの方が、体力のつらさよりも感動を受けて、耕作地をさらに広げることに躊躇はありませんでした」

と、副理事長の島田正文さん。

日本酒だけでは消費量に限界があるため、酒米に加えてコシヒカリの生産もスタート、『道行竃のお米』というブランド名で販売し、今後さらに、生産と販売を拡大予定です。

 

お酒を見たからには飲まないと!
…ということで、純米吟醸の試飲会!
とてもフルーティーな香りで、飲みやすいです!

「フルーティーな香りというのも、女性や高齢の方にも飲みやすいようにと若戎さんの杜氏さんにリクエストした結果となっています」

と、西川さん。

 

理事長オススメのおつまみは、自家製のキュウリを自家製の糠で漬けたぬか漬け。
塩気とフルーティーな香りが、この季節にピッタリ合います!

西川さんのおススメは、『真鯛のお墨付き鯛』という、炭を食べさせて臭みとかを取った上で冷燻した一品です。
桜のチップの香りも効いています。

副理事長のオススメは、なんとチョコレート!
ウイスキーボンボンのようながら、チョコレートの美味しさが際立ちますね!

どれも日本酒の美味しさを引き立てています。

 

「現在、主に販売所で販売しているのですが、遠方の方からも問い合わせがあるため、オンラインショップを開設しました。
お酒を買うだけではなく、私たちの活動を知ってもらい、その上で飲んでもらえると嬉しい…そうお酒だと思います」

と、西川さん。

「若者が少しでも集まる魅力のある田舎を、日本酒を通じて広めていき、祖先が守ってきたこの竈方をずっと継承していけたらなと思っています」

と、副理事長。

「『道行竈』というお酒には、道行に住んでいる人も出ていった人も、南伊勢町に関係のあるみんなが、うちの故郷には自慢の酒があるよと言えるくらいにしていきたいですね」

と、理事長。

道行竃のお酒、そしてお米はいかがですか。
興味のある方は、ウェブサイトをのぞいてみてください!