三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年9月12日

菰野町の『アクア 菰野辻農場』は一般事務所での就労が困難な障がいを持つ人たちを受け入れて、社会参加を支援する就労継続支援B型事業所として水耕栽培による小松菜、水菜、レタスの栽培、販売を行っています!
地域の飲食店でも広く利用されている他、直売所に直接足を運ぶ常連客も!
2015年からは糖尿病などで摂取制限がある人に向けた「低カリウム野菜」の栽培にも力を入れ、今では全国から注文が舞い込むほどの急成長!
安心で安全な野菜づくりを目指すスタッフの姿を紹介します!

こちらは御在所岳を始めとする鈴鹿山脈が一望できる『菰野辻農場』です!
代表の辻恵美子さん、こちらのビニールハウスで、どんな野菜を育てているのですか?

 

「鈴鹿山脈の伏流水を使った水耕栽培で、小松菜・水菜・レタスを3種類作っております」

と、辻さん。

 

『アクア 菰野辻農場』は、就労継続支援B型事業所として、野菜の水耕栽培に取り組んでいます。
現在、利用登録者は14名。
7棟あるビニールハウスで支援員やパートタイムの従業員と一緒になって、丹精込めて野菜を育てています。

 

農場長の金谷俊明さんに、この農場についてお聞きしました。

「こちらでは7棟のビニールハウスで、小松菜・水菜・リーフレタス三種類とベビーリーフを栽培しています」

 

パネルの下には、肥料が溶かし込まれた水が流れていて、根から肥料を吸い上げて成長シていきます。

「特徴としては天然水を使っているということと、できるだけ農薬も使わないようにしていることです。
使うにしても身体や環境に優しいものを使っています。
年中作ることができるのも、水耕栽培の利点だと思います」

 

この時はちょうど、朝の最初の収穫作業中。
とても丁寧に葉を取っています。

「作業は楽しいです。
特に種まきが好きです。
暑いのがちょっと大変ですね」

 

こちらは小松菜のハウス。
えぐみが少なく、葉の部分は生でも食べられるそうです!

 

こちらは種を蒔いてから1週間ほどのもの。
今の時期だと30日ほどで収穫できるまでに成長するそうです。

「農業はやはりその土地ですることなので、地元の人に直売で来てもらうことも多いです。
買いに来てくれた人が働いてる人たちに、おいしい野菜ありがとうと声をかけてくれることが一番嬉しいですね」

 

一方こちらでは、収穫後の作業中。
収穫した野菜の根本を切ったり、傷んだ葉などを取ったりして、出荷できるように準備しています。

「直接こちらに買いに来てもらうのも歓迎です。
1個でも2個でもという形で喜んでもらっています」

と、辻さん。

 

まもなく休憩時間になる10時、辻さんが冷凍した小松菜とバナナとりんごでスムージを作っています。

「はじめてから4年くらい、続けだしてから誰も風邪を引かなくなったんですよ。
もうやめられませんね」

 

みなさんゴクゴク飲んでいますね。
野菜のえぐみがあるかと思ったのですが、滑らかで美味しいです。

 

『菰野辻農場』は2009年、当時営んでいたガソリンスタンドの経営多角化の為、農業事業部として水耕栽培技術を使った農場経営をスタートしました。
そして2012年、農業事業部を『株式会社アクア』として法人化。
障がい者の受け入れを始め、菰野辻農場として就労継続支援B型事業所の認可を受けたのです。

「水耕栽培を始めたのは、知り合いのお子さんが引きこもりで、こういう仕事が向いていると聞き、はじめました。
福祉の『ふ』もわからない状態で、水耕であればお水に肥料を計って作ればよいのだから、ウチの子たちでもでくるかなという気持ちだったのですが、これがなかなか…。
最初のうちは本当に半年に一人ぐらい雇うことができたら良い方で。
農場長の金谷さんが来てくれて、一生懸命してくれて、私たちもがんばってこられたと思います」

と、辻さん。

 

毎日、こちらのお野菜を仕入れに来るというお弁当屋のおふたりがやってきました。

「桑名の『ほなみフーズ』という弁当店で、サラダや日替わりランチのおかずなどに使わせていただいてます」

「新鮮で柔らかくて、水耕栽培で価格も安定していて助かっています。
みんな美味しいと言っています」

 

農場長自らハンドルを握って向かったのは、菰野町役場内の『どんぐり食堂』。
こちらの農場では、野菜の配達もしているんですね。

「とても味がいい!
アクアさんの野菜を使っていることをアピールすることで、彼らの働く場所ができますよね。
消費が増えないことには彼らの働く時間も短いし、待っている人がいるということで頑張ってもらいたいです」

 

さらに、『菰野辻農場』では『低カリウム野菜』の栽培にも力を入れています。
重度の糖尿病等で腎臓の排出機能が低下した人は、カリウムを摂取すると血中の濃度が高くなり不整脈の原因になることがあるため、制限が必要とされています。
そのため、野菜には火を通す必要があるのですが、患者さんはともかく、その家族もずっと生野菜を食べられなくなってしまいます。
安価で低カリウムの野菜を供給できれば、家族も生野菜を食べることができるようになります。

 

きちんとした検査場には年に二回出し、それと共に毎日今日出荷する野菜はスタッフがカリウムを計っています。
香り・味・食感ともに普通の野菜とほとんど変わらない味わい。

「低カリウム野菜を求めている人はまだまだいます。
これからはさらに低カリウムかつ『低リン』の野菜の栽培にも取り組んでいて、今後軌道にのせていくことが目標です」

と、辻さん。

みなさんも菰野辻農場のお野菜を食べてみませんか。
直売も大歓迎!
関心のある方はウェブサイトへどうぞ。