三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年11月14日

熊野市では近年サルやイノシシなどの獣害に悩まされてきたことから、獣害に強い作物、忌避作物として数年前から唐辛子の栽培に取り組んでいます!
2018年には(株)くまの農業振興公社を設立。
生産協力農家を増やしながら、唐辛子の生産に加え、加工品の開発や都市部への販路開拓にも取り組んでいます!
関連する取り組みとして熊野市では毎年、地元の飲食店が参加した「熊野辛いものフェア」を開催、地域の人たちにも周知を図り、市をあげて唐辛子の産地化を目指す!

こちらは熊野市にある食べ処『ろまん亭』です。
実はこちらで、今日のゲンキさんに密接に関わる「ある食べもの」を使った料理を提供していただきます!
JR紀勢本線・有井(ありい)駅近くにある『食べ処 ろまん亭』は、昼はお値打ちな定食やランチ、夜は居酒屋になるお店。
今回はどんな料理を出していただけるのでしょう。

 

こちらがそのお料理!
かなりスパイシーな香りがします。
青いのがハラペーニョですね。
ふんだんに使われています。

 

うん…すごい、辛い!!!!!
水を飲むともっと辛い!!!!あー辛い!
でもね、食べてると…あ、辛い!!すごく!
辛さの中にちょっと旨味のようなものもあって、この豚肉とすごく合うなと思ったんですが、これは特別な唐辛子なんですか?

「そうです。
熊野市で栽培されている、地元産の唐辛子なんです」

と、店主の谷佳久さん。

クセになるというか、食をそそる味ですね。
熊野市では、『辛いものフェア』もされていますが、そちらでも出されているんですか?」

「毎回参加させていただいています
『ピリ辛ホルモン鍋』とか『ピリ辛鶏唐揚』とか、いろいろなメニューを出させてもらっています」

 

ピリリとした辛味が、料理の味を引き締める!
熊野市では毎年、年に2回「熊野辛いものフェア」を開催!
熊野で生産された様々な唐辛子を使った料理が、熊野市内の和・洋・中さまざまなお店で味わうことが出来ます。
なぜ熊野市で辛いものフェアが行われているのか。
なぜ唐辛子なのか。
今回はその秘密に迫ります。

 

『新鹿海水浴場』近くにある唐辛子の菜園は、かなり大きなハウスです!
ハウスが並んでいます。
けっこう新しくて、立派ですよ。

 

こんにちは!

「このハウスは、『くまの振興公社』が唐辛子を栽培しているハウスです」

と、『くまの農業振興公社』の前川永人さん。

 

中に入らせていただきました。

「結構高さもあり、唐辛子も緑色のものがあったり、赤い色の唐辛子もありますよ!
こんなにも大きくなるんですね!?
唐辛子は地植えではないんですね?」

 

「そうですね。
ハウスの栽培はうちはこの形でやっていますね。
木も伸びますし、実も大きくなりますしね」

種類としてはどういった種類なんですか?

「ハウスではポブラノと、ハラペーニョという品種を栽培しています。
ポブラノはで辛みが少なくて旨味があって…サラダにできる唐辛子です。
緑のままで採ると、生で食べるんですけど、赤いものは乾燥にします。
ハラペーニョはポブラノより辛みが強いので、生では食べれるんですが、基本的に焼いたりとか、料理として使う感じですね。」

 

ハラペーニョを試食しました。
先っぽはあまり辛くないとのことですが…。

「うん、うん、うん、うん。
もう結構、ピリピリしてるんですが、確かに最初はちょっとこうピーマンみたいな感じで、甘みがあるんですよ。
でも、もう今口の中、すごく痛いです!!!
更にかじると…。
ああああ!!!すごい、辛い!!!!!!
あのもう、唇が凄く腫れている気がします…辛い!!!」

 

なぜ唐辛子の生産を勧めているのか、熊野市農林業振興課の林祥貴さんにもお話を聞いてみました。

「熊野市では過疎・高齢化が深刻な課題となっており、農業の分野においても農家の高齢化や獣害、獣の被害により農業を辞めてしまう離農が大きな課題となっていました。
そこで高齢者の方にも取り扱いやすく、獣害にも強い作物を選定する必要がありまして、唐辛子に目をつけました。
辛すぎて獣も食べられないということです」

 

「さらに唐辛子は市場では外国産のものが多く、国産の唐辛子というのは非常にニッチなもので、加工がしやすく、地域の飲食店とも連携を取りやすいというメリットがあって栽培を進めております。
産地化・ブランド化というのを今一番目標に掲げていまして、通年した安定の供給から、市内で広めることはもとよりも、今徐々に熊野市外へのアピールを続けようと拡大に取り組んでいます」

その拠点となるのが、この『くまの農業振興公社』。
現在は4名が働いていて、あとは農家さんたちと連携して栽培をしているそうです。

「獣害の被害が少ないということで、農家さんにも喜んでいただいています」

と、前川さん。

現在、熊野市内6件の農家が唐辛子の生産を始めています。
収穫した唐辛子は、すべて公社が買い取り、東京などの飲食店を中心に販売。
安心して栽培に取り組める体制になっています。

 

また唐辛子を使った加工品の開発にも積極的に取り組み、すでに数種類が販売中です。

 

いっぽうこちらは『くまの農業振興公社』のもう一つの農園。
こちらは露地栽培です。

「路地の畑では、主に加工品にする為の品種を栽培しています。
この『プリッキーヌ』は激辛で、タイでは一番知名度が高く、多くのタイ料理に使用される非常に辛い唐辛子です」

他にもハバネロやプサジュエラという種類の唐辛子を栽培しています。
山間部にもかかわらず、ほぼ獣害はないそうです。

 

こちらで作業しているのは、地域おこし協力隊の、丸幸一郎さん。

「熊野市の地域おこし協力隊になって3年になります。
ここに来る前は千葉で大根の農家さんにいたり、沖縄でバジルの栽培したり…そんな経験があります。
国産の唐辛子というのは、流通的にもあまりないと思うので、熊野市で世界の唐辛子が採れるということをもっとしていけば、地域の活性化にもなると思います」

と、丸さん。

「一緒にがんばってもらえて嬉しいです。
このまま熊野市に残ってもらって、生産農家として関わっていってくれたらいいなと思います」

と、前川さん。

 

さて、ハウスに戻ってきました。
なんとこちらの方も地域おこし協力隊!
山本高男さんです。
ハウス担当として、とても助かっている、と前川さん。

「出身は愛知県になります。
もともとはシステムエンジニアをしていたんですけど、最終的には農業をやりたいという思いに基づいてこちらの方で農業を研修しながら今、技術を学んでいるところになります。
マニュアルというものが存在していなくて、手さぐりでやっている状態なので難しいというのががまずは、正直なところです。
まずは地域に広がって欲しいですし、ゆくゆくはそれ以外にもっともっと広がっていってもらえればいいなぁと思います」

 

「地域の協力農家さんをもう少し増やしていくというのが一番の課題だと思います。
熊野の特産品として全国的に有名になっていけば本当に嬉しく思います」

と、前川さん。

「熊野市が唐辛子の町と呼ばれるような形で、唐辛子と言えば熊野市と、熊野唐辛子のブランド化に向けて頑張っていきたいなと思ってまいます」

と、林さん。

ピリリと辛―い、熊野唐辛子!
詳しくは『くまの農業振興公社』へ!