三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年11月21日

大紀町で田舎体験を備えた『民泊 井戸ばた』を営む神前素子さん。
コロナ禍で民泊事業が休止に追い込まれたが、そんな中でも地域に役に立てることをと軽自動車を改造した自作の移動販売車で、イベントや道の駅に出店!
また、一人暮らしや買い物への足がない地域のお年寄りの為にお弁当やお惣菜を販売する取り組みをスタート!
更に、民泊の敷地の裏にキャンプ場も新たに設け、プライベートキャンプを提案。
新たな形で田舎の楽しみ方を発信しています!

雨の中、移動販売車を走らせ、営業の準備をする神前素子さん、69歳。
大紀町内でお店がなく、高齢者が多い地域を回っています

「まず一人暮らしのおばちゃんの所に行き、お惣菜を届けます。
次は喫茶店。
米ヶ谷という奥手の方で車の乗れないお年寄りが多いので、行ってみようかなと」

 

「どう?元気にしてる?ということで自分もそのおばちゃんのことを心配しているし、おばちゃんも『あんた来てくれたんかな~と言って喜んでもらますから。
煮魚が食べたいなと思っても、自分一人のものを炊いて食べるっていうのはなかなかできないので、こうして移動販売で回っているんです」

 

この日販売していたのは煮魚やマグロのフライ、手こね寿司。
そしてチキンカツバーガーなど。
常連のお客さんは、神前さんが魚料理が得意なのを知っていて、マグロのフライを購入していました。

 

車で町内を走り回り、パワフルに働く神前さん。
実は本業は山々に囲まれた中で『民泊 ばた』を経営。
建物自体が懐かしい感じがします。
古民家を改装して民泊をされているということなんですね?

「そうですね」

 

「海外の方も結構インバウンドでみえましたので、それのお土産とか…」

玄関から楽しめますよ!

 

部屋の真ん中にどんと囲炉裏があります!
さらに気になるのは、奥にある立派な着物。
客として訪れた京都のブライダルショップの経営者から体験用に寄付されたもので、希望すれば着付けてもらうことができます。

 

なんとレプリカの甲冑も!
こちらも希望すれば着用可ですが、20kg近くあるので、みなさん着た瞬間に「重っ!」と言われるそうです。

「そもそもここは、おばの家でした。
取り壊すという話が出たときに、その息子さんに自由に使って良いと言われて。
『民泊』が10年くらい前から流行り出してきて、この家でできると思ったんです」

大紀町では地域活性化に繋がる取り組みの一つとして町内の民泊施設を充実させ、訪日外国人や国内教育旅行、団体旅行等の受け入れを積極的に行っています。
目の前の伊勢街道を散策する客や、海外からの旅行者、又、鮎シーズンの釣り客や近辺の海を訪れる人たちが宿泊するそうです。

 

「海外からだとアメリカ、カナダ、中国、台湾、パプアニューギニアとか…。
言葉は通じませんが、スマホでやり取りができるので、なんとかなっています」

「大阪出身で21歳で結婚を機に大紀町へ嫁いできました。
田んぼや畑仕事をしながら勤めに出て、トラックに乗り飲食店で働きました。
子どもたちも所帯持ちましたし、60の手習いでこの店をはじめました」

10年前、59歳で民泊を開業。
しかし新型コロナウィルスの影響で民泊の宿泊の受け入れをストップし、ランチ営業のみに切り替えて営業をしていた時期もありました。

「お客様相手の仕事なので、ひと月休んだ時もあります。
ちょっと落ち着いて、でもまだまだお客さんは戻ってこない。
だったら自分で動こうやないかっていうので、キッチンカーを作ったんです」

 

それがこのキッチンカー!

「木にこだわりました。
息子と、息子の友だちが作ってくれたんですよ」

 

「昔からいろいろと世話になっているので、ちょっとでも恩返しができたらなと思って」

と、息子さん(右)

「最初は、形だけ作ったらいいのかなという感じだったんですが、網戸とかあれもこれもと増えていったから、大変でした」

と、お友だち。

 

「気に入っているのは、このカウンターです。
お客さんに待ってもらっている間でも、こうしてカウンターで調理している姿も見てもらえるし、会話もできます」

 

息子さんたちの愛情がぎゅっと詰まったキッチンカーは、大紀町内の『道の駅・木つつ木館』に定期的に出店し、活躍中!
『おふくろの味』が評判です。

 

道の駅への出店がきっかけとなり、お弁当やお惣菜の『配達』をして欲しいという要望があり、なんとお弁当まで作っています。

「油物、酢の物、煮物…煮物があれば佃煮という風にバラエティに富んだものを食べてもらう。
若い人でもお年寄りでも食べやすいことを考えて作っています」

 

キッチンカーでお弁当の配達へ!
やって来たのは大紀町の商工会です。

「職員の方、全員7人がお得意様です」

 

本日のお弁当はなんと500円!

「これだけ入って500円で食べられるっていうことは非常にありがたいですね。
季節ごとに違った素材を工夫して使っていただいているので、毎回楽しみにしています」

と、大紀町役場の局長さん。

 

続いては、ある集落で販売。
大紀町には家の近くにお店がなく、日々の買物に困っている高齢者が増えています。

「嬉しいなあ。
私たちのような年寄りはな、どこもよう行かんやろ?
そやで、嬉しいよ!」

「神前さん、がんばてるよ。
本当に!いろんなことしてな、すごいと思う!」

地域のおばあちゃんからも感謝されているんですね。

 

そして神前さん、更に新たな挑戦も!
民泊の裏の敷地内の休耕田にキャンプ場を新設!
その名も『星畑キャンプ場』。

鮎釣りのシーズン、河原でキャンプをする人が多く、地域の人と問題にならないよう、作ったキャンプ城。
プライベートキャンプ場のため、混雑することがなく、ゆったりと過ごすことができ、夜には満天の星を楽しむこともできます。
夜には満天の星も!

天気のいい日だとキャンプ場で希望があれば、鮎が食べることができます。
もちろん目の前の大内山川の天然の鮎です!

「メインが鮎、それと今新たに手掛けたキッチンカー、キャンプ場。
それでどんどんどんどん、お客様にいろいろ知ってもらって、たくさんのお客さんに喜んでほしいです。
これで地域が活性化され、若い人たちが帰って来て、後継者ができ、大紀町を盛り上げてくれるというのが、今の私の一番の望みです」

神前さんのゲンキを、もらいにいってみませんか。
民泊などの情報は、ウェブサイトをごらんください!