FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年12月4日放送

今回は、津市安濃町にあるレクリエーション型貸農園「ここファーム」を運営する、有限会社SKKの代表、山本芳世さんがお客様です。
貸農園を作ることは長年の夢でした。

農園は33年前からの夢

私は大学を出てから赤塚植物園に勤めていたのですが、25歳から27歳までの2年間、カルフォルニアのロスアンゼルス近郊に研修に行きました。
そしてお休みになるたびに、いろいろな地域の新しい園芸売店を見て回っていました。
あの当時からアメリカでは市民農園・家庭農園がありまして、ファミリーやお年寄りの方々が、楽しそうにやっていて、自分でオーガニックな野菜を作って家庭で食べたり、あるいは友だちに分けたり。
その中に社会貢献しているグループがいました。
恵まれない、ご飯が食べられない子たちに社会貢献をする習慣というか、国民性があるんですね。
そういう人たちをずっと見てきて、日本にはこういうグループがないな、と。
日本に帰ったら、こういうのをしてみたいと、ずっと思っていました。
15年間赤塚植物園で働いて、33年前にこれをしたくて退職しました。
しかし当時は『農地法』というのが厳しくて、一般企業が農地を活用できず、半年で挫折しました。
しかしその夢が2年に1〜2回よぎって・・・それが33年間、ずっと続いてきたんです。
昨年10月くらいに知り合いが、こんなことがやりたいと言って相談に来たので、自分が33年前に考えたことだと伝えました。
そこから常に、家庭菜園・市民菜園のことが頭から離れなくなり、全部思い出して企画書を作りました。

 

分たちが食べたいものを作ってもらっている。大切なのは土づくり

土づくりが大事。
有機だけでやっていこうと思ったら、土づくりだけで2年間かかります。
今ようやく1年半年経ちました。
2年経ったら今の会員さんが本当の有機栽培の作物を採れるんですよ。
それまでに土をいかに団粒化していくか、微生物がどれだけたくさん生きているか、というような土づくりをしています。
どういうものを入れたら土がフカフカになるかとか、堆肥を中心に使います。
みなさんの畑、土がだんだん良くなってきています。
最初の頃は私がいろいろな形で指導しましたが、半年も経ったらみなさん自分で勉強されて、どんどんいいものを作ったり、誰かに頼らずに作れるようになったり。
どんな作物を作れば良いですか?と質問があった場合、必ず申し上げているのは、
「家庭で食べたいもの、会員さん自身が食べたいものにしたら、喜んで作ることができますよ」
です。
みなさん本当にいろいろな物を作っています。

「食べごろになってきたら写真をとって、収穫に来てくださいね」とメッセージを送ると、大きなスイカが出来たこと、秋ナスのおいしさを知ったことなどの報告があり、会員のみなさんが喜んでいる姿を見ることが、とても嬉しいです。

 

ード爆弾やてんとう虫の館作りなど楽しいイベントがたくさん

シード爆弾はイギリスが発祥と言われていますが、アメリカでも良くあります。
同じ時期に咲く花の種を土の中に閉じ込めて、それをポンポン放っていくと、一斉にいろいろな種類の花が咲きます。
そんなイベントを開催しています。
あと、てんとう虫っているでしょ。
てんとう虫はハダニなど食べてくれる益虫なんです。
だから、てんとう虫の館を作ったり、懐かしいカカシを作ったり。
こういうイベントを月に2回行っています。
先週は、米糠を使ったぼかし肥料の勉強会をして、みんなで作りました。
再来週の日曜日は、『みんなの広場』に植えてある秋取れの枝豆を収穫して、大鍋で作った豚汁を食べるというイベント。
再来月は『みんなの広場』にあるジャガイモ堀りと、味噌作り。
最低でも月に2回はイベントを開催して、会員さん同士の交流をはかり、畑づくりも楽しいけどイベントも楽しんでもらおうと思っています。

 

員さんたちに沿った関わり合い方

いずれにしても会員さんによって楽しみ方が違うので、会員さんに沿って、楽しみを倍増して、日々の生活の生きる糧になってもらうのが一つの大きな目標。
そしてこれは将来的に10年計画でするのですが、日本中にリクレーション型の貸し農園を広めていって、全国に仲間を作っていきます。
地域によって採れる作物が違うので、高原で育てている方、北海道で、あるいは九州で・・・そういう人たちがLINEやネットで繋がって、交換会をしたり、全国から集まって品評会をしたりとか、そういう仲間づくりを10年計画で考えています。
僕はもう77歳なので5年で辞めますけど、あとはスタッフが育ってくれて、進めていってほしいです。
8年目には海外に出ようと。
夢は語り出せばいくらでも出てきます。
今の会員さんがどれだけ喜んでもらえるか…そのノウハウを蓄積して、それを広げていきたいですね。

まだまだ老いてなお盛んで…妻に言わせると『夢を食うバク』だそうです。