三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年12月12日

『ISE AKENO STYLE(いせ・あけのすたいる)』は、県立明野高校と、伊勢小俣町商工会を通じた地元事業者の皆さんが連携する取り組み。
高校生たちが丹精込めて育てた農産物や畜産物を、地元の事業者が商品化。
高校生のアイデアと情熱、そして事業者の経験と戦略で人気商品を生み出しています!
今回はその後編!
畜産部門の取り組みを紹介します!

前回に引き続き、伊勢市小俣町にある『県立明野高校』に来ています。
ここは、生産科学科・食品科学科・生活教養科・福祉科の4科4クラス体制で専門知識・技能の習得を図る専門高等学校。

敷地内には広大な農園や豚舎、養鶏場があり、それらの生産物を販売する販売所も校内に設けられています。

 

取り組みのきっかけを、伊勢小俣町商工会の松井征佐美事務局長にお聞きしました。

「明野高校では、生産科学科の生徒が授業の過程で畜産や耕作を行っています。
丹精を込めて沢山のものを作っているので、それらの物を地域の方々に知ってほしいとの思いから、事業所の方々がその明野高校で出来たものを使って新商品を作って、地域の方々に広めていこうよということになりました。
商品開発をすることで、学生さんからいろんなアイデアをいただきます。
商売だと、どうしても『売ろう』が主になりますが、高校生と作ると『良いものを作って喜んでもらえるものを作ろう』となるので本当に、良い物ができるようになりました」

明野高校の東浦宏幸校長に、取り組みに期待することをお聞きしました。

「生産物を作るというだけではなくて、その作ったものが消費者の方に届いて、喜んでいただける。
それがどんどんどんどんと広がっていくということは、農業をする生徒たちにも励みにもなりますし、地元・小俣町の皆さんをはじめ、伊勢市や、出来れば県内のみなさんに知れ渡って、更にブランド化が進んで地域のひとつの名産品となっていく…そんなふうに高まっていってくれればなと思っています」

 

そして今回は畜産部門として、生産科学科畜産部門のみなさんが育てているブランド豚『伊勢のあかりのぽーく』をご紹介します。

 

「『伊勢のあかりのぽーく』は、明野高校の畜産専攻の生徒たちが、毎日愛情を持って育てた豚肉をブランド化して販売している豚肉です」

と、生産科学科の神野亮太教諭。

 

『伊勢あかりのぽーく』は、明野高校生産科学科畜産部門の豚舎で育てられた豚を2017年、『伊勢あかりのぽーく』の名でブランド化。
伊勢屋精肉店が中心となって販売し、2020年に伊勢ブランドに認定されました。

実際に手がけて育てている生徒さんたちにも話を聞きました。

 

「三重県で唯一、『バークシャー種』という黒豚40頭ほど育てています。
自分たちで曜日ごとに給仕を朝・夕としていて、出産から出荷までを自分たちですることで生命の大切さを学んでいます」

と、上村悠也さん。

「肥料にもこだわりがあります。
エコフィード飼料といって、地元のビール工場から出るビールかすや、地元の酒蔵から出る酒かすや、地元のお菓子工場から出る菓子くず等を資料に含んでいます。
僕は明野高校に入って初めて『あかりのぽーく』の存在を知り、地域の人にも自慢できる商品を作る一員になることができ、とても光栄だと思います」

と、伊藤大弥さん。

 

明野高校は日本の適切な農場管理とその実践を制度化したJGAP認証を2019年に全国の高校(畜産)で初めて取得。
さらに、5年がかりの研究で食品循環資源を30%利用した飼料『あかりのほろよいMix』を完成させ、今年7月には県内初のエコフィード認証を受けました。

 

続いて訪れたのは、伊勢市小俣町内にある『伊勢屋精肉店』。
こちらは明野高校の生徒さんたちが一生懸命育てた、伊勢生まれ伊勢育ちの希少な豚を『伊勢のあかりのぽーく』として販売しています。

 

伊勢屋精肉店の雲井慎也さんが、明野高校の生徒たちに精肉の扱い方について指導中。
雲井さんは明野高校の生徒たちが育てた豚のブランド化に協力し、生徒の現場実習等も積極的に受け入れています。

 

「三重県で唯一の黒豚になり、肉質もとても良くて脂身も甘みがって、餌もこだわって育ててくれているので、非常に魅力的な良いブランド豚だと思います。
始めは、どこでどのように売られているのか全くわかりませんでしたが、地域の宝になると思いました。
そこで、どこで販売されているか、どこで食べられるかなどをわかるようして、地域の専門店としてブランド化に協力し、生徒たちと一緒に継続的に取り組みを続けています」

と、雲井さん。

現在は『伊勢あかりのぽーく』を使用した関連商品『高級肉味噌やん』や『あかりのソーセージ』なども販売中です。

 

「初めての作業なので、少し手こずったところもありましたが、サポートをしてくれたのでしっかり作業することができました。
豚を育てる中で、大変な作業もありますが、応援してくれるおかげで、自分たちのやり甲斐がとても強くなっていくので、応援というのはとても大きいと思います」

と、鹿島大稀さん。

「自分たちだけでは、豚を育てて商品にすることができません。
雲井さんたちが応援してくれているということを心に思いながら、これからもがんばっていきたいです」

と、谷村菜瑚さん。

「教室での授業だと、自分たちが育てている豚がどのように加工され、流通して地域の人の手に届くかということを勉強する機会があまりありません。
こういった体験を通して、更に愛情を込めながら豚を育てることになるので、学習にもなりますし、生徒たちもいい経験になっていると思います。
伊勢屋精肉店さんのように、学校を応援してくれる方がいることで生徒のやり甲斐やりにもつながります。
また、学校の外sw、たくさんの大人と関わることで、人前で話すことが上達したりだとか、自信を持っていろいろなことができるようになっていると思います」

と、神野教諭。

「地域の事業所が一生懸命応援していくことによって、学校、子どもたちと一緒に、地域をゲンキにしていくという取り組みなので、自分も一生懸命取り組ませていただいています!」

と、雲井さん。

 

ここまでお話を伺ったからには『伊勢のあかりのぽーく』のお味、気になりますよね。
というわけで訪れたのが、伊勢市小俣町内にある『ぱすたRakuen』。
『伊勢あかりのぽーく』を使ったメニューを楽しむことができるお店です!

 

「こちらが明野高校生が育てた豚肉の『伊勢あかりのぽーくピカタ』です。
ミートソースをかけてあります。
お肉自体が本当に美味しいので、硬くならないように早く調理して、味付けもあまりせずに美味しさを味わっていただけるようにしています。
脂身のところは本当に甘いので、みなさん一度食べると、リピーターになっていただけます!」

と、店主の南端正弘さん。

 

本当にお肉が柔らかくて、脂身が甘くて美味しいです!
豚肉の美味しさがしっかりと味わえるパスタになっています!

「私も60年ほど伊勢市に住んでお世話になってるので、お店を開店する際、極力地元のものを使いたいと思っていたところ、このお肉のことを知りました。
高校生ががんばっているということで、高校にお願いして使わせてもらうことになりました。
みなさんが一生懸命育てたお肉だからこそ、余計に美味しいんだと思います!」

と、南端さん。

 

『ぱすたRakuen』では、毎月第1・第3木曜日の限定メニューのカレーにも『伊勢あかりのぽーく』を使用。
さらに生産科学科作物部門の生徒たちが育てた『明高米』と純米吟醸酒『AKENO SAKUMOTSU』も提供しています。

「本当にありがたいことです。
こうやって使ってもらい、明野高校の畜産専攻生の子たちの思いも一緒に地域に広げていけると嬉しいなという風に思います!
そして在学中だけではなく、卒業した生徒たちが、この地域で起業していってもらえるようになれば、地域の活性化に一番直結するのではないでしょうか。
卒業してからも良い関係を続けられるように、これからもずっと明野高校を応援するつもりでいます」

と、雲野さん。
嬉しい言葉です!

「ブランド化したのが2017年。
4年経ち、すでに使っていただいている事業所さんや地域のレストランさんを通じて、多くの方に美味しいと言ってもらっています。
『伊勢あかりのぽーく』の名前の由来が、『地域を明るくしたい』という生徒のアイデアから生まれた名前なので、その名前の通り美味しい豚肉を生産して、地元小俣町の地域を明るくしたいと思っています」

と、神野教諭。

明野高校と地元企業の取り組み。
『ISE AKENO STYLE』は、更に新たな商品の開発を目指します!