FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年12月18日放送

海と山に囲まれ、黒潮の風が吹く御浜町。
年中みかんのとれる町です。
太陽と海の恵みを受けて、この地の産物を育まれていきます。
今日のお客様は有限会社御浜柑橘の芝安博さん。
温暖な気候が、おいしいみかんを育てます。

かん農家のみかんを集荷し、選果してお客様に届ける

農家さんが作ったみかん、または弊社が作ったみかんを選別・選果作業を行い、消費者のみなさんにお届けしています。
いろいろ合わせると17種くらいのみかんの栽培をしています。
今ちょうど行っている『早生みかん』が主力となってくると思います。
早生みかんは30tくらいでしょうか。
一番収穫量が多いのが、9〜10月に穫れる秋の極早生みかん。
今の早生みかんが11〜12月という形です。
その後が奥手みかん。
今ならばマイヤーレモン、しらぬい、せとか、セミノール、カラマンダリンですね。
だいたい5月くらいいっぱいくらいまでですかね。
そこから、ウチでは取り扱いのないサマーフレッシュが出てくると、すぐにハウスみかんが出てきて、それが8月いっぱいまで。
そしてまた9月から極早生みかん…となります。
一年を通してみかんが栽培されているという状態になります。
今、農家さんが高齢化によって少なくなってきているので、少しでも会社で栽培するように心がけています。
御浜町といえばみかんというイメージが強いので、それを少しでも守っていければと、面積を広げながら栽培しています。
今年はお盆頃の雨によって、良い影響を受けた品種と、悪い影響を受けた品種といろいろありました。
ただ台風がなかったので外観はきれいで、水がほしい品種である『しらぬい』『せとか』などはけっこう玉も大きく、良いものになっています。

 

分調節を行うことで甘いみかんを作る

作物の株元をポリエチレンシートなどで覆うマルチ栽培。
温州みかんは、このマルチ栽培でさらに甘いみかんがつくられるようになりました。
マルチシートを張って水分調節を農家で行い、水分ストレスを掛けることによって、結果、糖度が上がります。
今、農業ITが進んでいますが、今の所みかん栽培に関してはそういうのがなく、いろいろ使えたらと思います。
ITを活用してみかん収穫ができるロボットなり機械ができると一番良いと思います。
あったかくて年間2800mmくらいの雨量があって、自然豊かなところで作りやすいですね。
基本的に温州みかんは、乾きの良い畑が理想です。
逆に、しらぬいなどは水分が保たれる土地が一番適していると思います。
今はマイヤーレモンが主力となって、ここから出荷が始まって2月まで販売する予定です、
普通のレモンよりも酸味が少なく甘みが強いのが特徴です。
ウチでは傷物やちょっとした傷み物を自社のジュース工場ですぐに絞れるような体制で、無駄が出ないようにしています。

 

常気象に負けないみかん作り

とにかく異常気象が続くので、それに負けないようなみかん栽培を考えて行っています。
雨が降り続いてやまなかったりするので、そういうときにマルチシートなりを張っての栽培を心がけます。
雨が続くと病害虫などがすぐに発生するので、その防除にあたるよう心がけています。
休む暇はありません。
毎年毎年気象が違うので、それに負けないようにしています。
去年と同じようなことをしていれば良いのかというとそうではなく、毎年違う条件になってくるので、それに合わせるようにしています。
8月のお盆前後に雨があり、そこで極早生みかんの糖度が思うように上がらず…しかし酸味が抜けてとても食べやすいみかんになりました。
ただ、少し糖度的には物足りなかったかな、と思います。
極早生みかんは市場出荷になりますが、早生みかんはほとんど、宅配便でお歳暮用として贈られています。
みかんの赤みが強くて肌が綺麗で、ヘタの細いものを選んでもらえれば良いと思います。
ヘタが細ければ細いほうが養分の入り方違います。
みかんは木から養分をもらって、余分なものは戻すのですが、戻すときにヘタの線が細いとそこに養分が残って甘くなります。

 

センサーによりブレのないみかんを販売

自社の工場では光センサーを利用して、みかんの糖度を測っているので、同じ箱を食べてもらうと全部同じ甘みを味わえるように心がけています。
光センサーがあるおかげで、美味しいみかんが、さらに美味しいみかんに化けて販売しています。
やはり一番美味しいのは、早生みかんですかね。
僕個人的には、春のカラマンダリンが好きです。
たまに販売に行くと、酸っぱいみかんを欲しがるお客さんもいますが、ごくまれですよね。
これもお客さんによっていろいろ違いますので、販売する方も難しいです。
コロナが拡大する前は、県内だと鈴鹿の方にもよく出店させてもらいました。
今はあまり動けない状態ですね。
消費者のみなさんから直接声をいただけるというのは、ありがたいと思います。

年によって、美味しいみかんができたときはとても面白いですが、不作で美味しくない年が、どうしても何年に一度あります。
そこを販売していくかが、一番苦しいときですね。