三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2021年12月19日

三重大学名誉教授の渡邊明先生が中心となり、農商工分野での連携を図る県内外の事業所でつくるグループ『チーム渡邊』!
毎年伊勢神宮に農産物や加工食品等を奉納しています!
奉納によって各自のモチベーションを高めると共に、参加者同士が交流を深めることで更なる横の展開を生み出すのが狙いです!

朝8時過ぎの伊勢神宮前に来ています。
なにやら正装している方がたくさんいますね。
今日ここで、何が行われるのでしょうか。

 

「今日は伊勢神宮に奉納しに来ました。
もともとは建設業の会社ですが、女性雇用などで農業なども行っている関係で、イチゴやキュウリなどの農業も行っています」

四日市の(株)コーストメイトは、建設業である一方で、農業部門を展開。
働きにくい子育て世代の雇用としてお母さん雇用も進め、農業部門ではイチゴやキュウリ等を栽培しています。

実はこの日、奉納に集まっていたのは『チーム渡邊』という、食品などの横の連携をするチームのメンバーでした。

 

こちらは『(株)山英』。
静岡県で、緑茶の製造販売、緑茶を使った食品の加工販売を手掛けています。

「伊勢神宮様に、地元の農家の皆さんが丹精して作ったお茶、子育て銘茶、深蒸し掛川茶などを納めに来ました。
『チーム渡邊』の渡邊先生は三重大学の先生で、ざっくばらんにいろいろ話ができて、そして地域のことに親身になってくれる方です」

と、『山英』の山崎英利さん。

 

『チーム渡邊』の軸となる、三重大学名誉教授・渡邊明さん。

「私が研究している『農商工連携』に関係してヒアリングしている企業がかなりあります。
その中で面白い企業を集めて、横展開をしてもらえればと集まっているグループです。
一年間、自分の会社が出した新商品や、商品改良をしたものを神社に奉納しています」

『農商工連携を目指すチーム渡邊』は、農商工分野での連携を図る県内外の事業所でつくるグループ。
三重大学名誉教授の渡邊先生が中心となって発足し、毎年伊勢神宮に農産物や加工食品を奉納しています。
伊勢神宮への奉納を始めたのは、奉納によってモチベーションを高め、集まった参加者らが交流を深めることで新商品の開発等につながるアイデアや技術を共有してもらう狙いがあります。

 

渡邊先生は、地域産業論、経営学が専門。
農商工連携、地域資源施策のもと、数多くの商品設計やプロジェクトマネジメントに携わってきました。
今までに、三重県ものづくり戦略分科会委員長、三重ブランド選定委員会委員長、南伊勢ブランド認定委員会委員長等をつとめています。
そんな渡邊先生は『チーム渡邊』として、伊勢神宮への奉納を通し、これまで数多くの企業の挑戦、地域を越えた企業の連携を支援し、2006年から伊勢神宮ヘの奉納を続けています。

今回は今年の奉納の様子を紹介していきます!

 

こちらは『(株)京はやしや』の林屋牧男さん。
『京はやしや』は270余年続く老舗のお茶屋。
抹茶パフェの先駆けとなる抹茶スイーツを生み出し、現在は国内外に9店舗を展開しています。

「『チーム渡邊』には10年ぐらいお世話になっております。
いいことばっかりです。
内容は内緒です!」

 

「水にこだわる高級食パン『銀座仁志川』です。
奉納に参加して3年目になります。
もともと私の出身が三重県ということでご縁があり、チーム渡邊に入れていただきました。
本当に全国からいろいろな企業の方が集まり、農工商連携ということで、全国のいろいろな企業と連携できればと思っています」

と、代表の高橋仁志さん。

 

「四日市市で干物を製造する工場と、四日市市と鈴鹿市で『干物食堂』という飲食店を経営しています。
とにかく自分たちが食べて美味しい干物、それをお客様に食べていただいて喜んでもらうということにこだわっています。
13年前に奉納を始めたところ、右肩あがりで本当に感謝しかないです。
ありがとうございます」

四日市市『株式会社弁イ』の鈴木竜之介さん。

「『継続は力』という言葉がありますが、それが一番だと思っています。
今、彼は大学院で勉強していて、サプライチェーンを上手く構築しようと考えていますのですごいと思っています。
日本一番店になって欲しいですね」

と、渡邊先生。

 

「四日市でおにぎり、お弁当の製造販売をしている『おにぎりの桃太郎』です。
使っているお米は『結びの神』という三重県産のお米で、伊勢志摩サミットでも採用されました。
奉納は今年初めてです。
奉納をしたいとずっと話をしていたところ、ご縁を繋いでいただいて実現しました。
うちの会社のステージを上げる一歩となる一日にしたいです」

と、『おにぎりの桃太郎』の上田耕平さん。

「一番最初に会社にお邪魔した時、社長の目がキラキラ輝いていたんですね。
ちょっと漫画の主人公のようで…これはもう絶対に奉納すべきだと思いました」

と、渡邊先生。

 

そして奉納前に、各社自己紹介。
チーム渡邊が目指すのは、横の繋がり。
すでにここから、地域や業種を越えた連携が始まっています。

 

午前9時。
チーム渡邉による奉納が始まりました。
渡邉先生を先頭に宇治橋を渡り、神域へと入ります。
今年で15年目になる『チーム渡邉』の伊勢神宮奉納。
県内外から20の事業所と1団体が奉納に参加しました。

静かに、厳かに、そして祈りを込めて。
みなさんが育て、つくり、守ってきたものを神に供えます。

 

広島県福山市の『中華そばすみだ』の住田政臣さんに、奉納を終えての感想をお聞きしました。

「また新しくがんばる気になりましたので、がんばります!!
地元の人に愛される尾道ラーメンをこれからも続けようと、誓いました」

 

『アサヒ農園』は南伊勢町内瀬地区で、温州みかんを始めデコポンやカラマンダリン、せとか等年間を通して様々な柑橘類を栽培しています。
今年はみかんを奉納しました。

「うちのスタッフのみなさんが一生懸命作ってくれたみかんなので、気が引き締まる思いでした。
今年もまた美味しいみかんができてありがたいと、奉納させていただきました」

と、アサヒ農園の田所一成さん。

 

民宿『とよや勘兵衛』はソマカツオの塩切りと、そのオリーブオイル漬け『かっちょび』を奉納。

「本職が民宿なんですが、コロナで経営が難しい時にこの商品に助けてもらったので、これからもっと認知を上げてがんばっていきたいと思っています」

と、羽根豊樹さん。

『とよや勘兵衛』は、五ケ所湾を一望し、地元の魚介類を中心とした料理が楽しめる宿
五ケ所湾を一望し、地元の魚介類を中心とした料理が楽しめる宿。
地元で獲れた新鮮なソマカツオを冷蔵保存し、数ヶ月発酵させた『ソマカツオの塩切り』と、そのオリーブ漬け『かっちょび』を生産・販売しています。

 

四国・徳島からは、わかめ等の加工食品の製造販売している『(株)阿波市場』。
養殖~収穫~加工を一貫して行い、わかめのメカブの部位を加工した化粧品の製造販売にも進出。
創業時からわかめの持つ有効成分の研究に取り組み、メカブの成分に海洋深層水等を配合したスキンケア化粧品を開発しました。

「昨年から奉納させていただいています。
いろいろな異業種の方と交流する機会も増え、それがビジネス、商売にもつながっています。
非常に感謝をしています」

と、阿波市場の上野伸介さん。

「最初に話を伺ったとき、漁師さんたちのわかめを全部買い取っていると聞きました。
そしてさらに陸上養殖も研究されているんです。
これからは間違いなく計画生産になっていくので、それをすでにしているというのは、経営者の先見性というのかな?
非常に先に見る目が非常に優れていると感じました。
阿波市場では海洋深層水を使っているんです。
三重県は海洋深層水はありますが、残念ながらうまく使えていないのが現状です。
真似をさせてもらえたら、三重県も、もしかしたら思いっきり伸びていけるような感じがします」

と、渡邊先生。

「弊社が持っているノウハウを発信していきたいですね。
新しい水産業と言うか『持続可能な水産業』に今後取り組んでいきたいと思っています」

と、上野さん。

 

さて、神宮奉納の間、人一倍動き、取りまとめをしている女性がいました。
実はこちら、渡邉先生の奥様、はつほさん。
奉納を始めた当初からサポートにあたっています。

「とにかく年が改まってまたお会い出来るという時に、お元気なお顔を拝見したいと思っています。
毎回そういうつもりでいますので、お開きになるともう肩の荷が下りてホッとします。
体力のある限り、みなさんのお世話をさせていただきたく存じております」

と、はつほさん。

 

「宇治橋を渡る前と宇治橋を渡った後の、みなさんの目つきが違うと、僕はいつも思っています。
1+1が3とか4とかというのはシナジー効果って言うんですけども、それはあまり面白くない。
1+1が、もう見たこともないような途轍もないものを作ってみたいです。
今後、三重大学も使いながら、幅広い技術進歩を追いかけながら、地域おこしができたら良いなと思っています」

と、渡邊先生。

『農工商連携を目指す チーム渡邊』。
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