残暑厳しい折り、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
サルシカ隊長のワタクシ・・・暑さに耐え切れず、仕事も用事も人のしがらみもすべて投げ捨て、まっしぐらに紀北町へと向かいました。
魚飛渓の透き通った水に身を浸し、その冷たさに嬉しい悲鳴をあげ、そして道瀬の期間限定の隠れカフェで頭がキーンとなるまでかき氷をいただくのでありました!
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仕事を投げ捨て、なんて書いたが、ウソである。
これも仕事である。
誰がなんといおうとも仕事!!
仕事なの~!!!
ってなわけで、紀北町海山へとやってきました。
国道42号線から銚子川に沿って山の方へと入る。
眼下には透き通った銚子川。
川原にテントや四駆車が見えて、水遊びをしている家族が目に入る。
いいぞ、いいぞ~。
ワタクシは車のエアコンを切り、窓を開ける。
アツイ空気が入り込んできて、一気に汗がにじむ。
いいのだいいのだ、冷たい水に飛び込む前に汗をかいておくのだ。
で、新しく出来た高速の手前、権兵衛の里の駐車場に。
ぬわああああ、すごい人だ。
川原がテントとタープで埋め尽くされている~!!
夏休み、この暑さ・・・みんな考えることは同じなのだなあ。
ここの自動販売機でお茶やジュースを買って、トイレを済ませて、いざその上流へ!!
わはははははははははははは!!
やってきましたよ、魚飛渓!!
この水の美しさ! 晴れ渡った空を見て笑わずにいられようか。
ここは紀北町の宝である。
三重の資産である。
権兵衛の里から細い川沿いの道を通ってやってくるのだけれど、もう隙間という隙間に車が停まっている。
県内より県外ナンバーが多い。
すれ違うのが大変だが、これぞ魚飛なのだ。
道路の拡張なんぞしてもらったら困る。
ここに一度も来たことがないという三重県人は、ただちに行きなさい。
ただちに飛び込みなさい。
三重に生まれてここを体験してないなんて勿体ない!!
サルシカを読んでくれている人は知っているであろうが、ワタクシはこの魚飛をこよなく愛している。
三重に引っ越してきた当初は、夏に4回も5回もここに通った。
この川には中毒性があるのだ。
この川を楽しむためには、水中メガネは必須。
シュノーケルやフィンもあった方がいい。
そして準備運動をちゃんとやって飛び込む!!
ぐわああああああ!!
誰もが水の冷たさに声をあげます。
しかし慣れてくると、その冷たさの心地良いこと!!
まさにここは透き通った楽園なのだ!!
で、なにがそんなに中毒性があるのか。
お見せしよう!
水中で聞く川の流れを想像していただきたい。
肌を撫でる冷たい流れを感じていただきたい。
そして目の前にこんな眺めが広がるのだ。
水は果てしなくすき通り、数メートル先まで見渡せる。
鮎などの魚が目の前を泳いでいく。
砂がなくて濁らない岩の上などを泳ぐと、水の存在がなくなり、自分が空を飛んでいるかのように感じる。
いやー、しかし仕事だから大変なのだ(笑)。
これらの写真を撮るために、1時間2時間と水に入り、泳ぎ続けたのだ。
もう勘弁してもらいたいのだ。
本当なのだ。
うふふ。
ちなみに8月は人でいっぱいの魚飛も、9月に入れば一気に人の姿がなくなる。
実はこれからが魚飛のベストシーズンだ。
ちょっと厚手のウェットを着て川に飛び込むと、もっともっと川は澄んでいる。
そして子どもたちに追われなくなった魚たちが安心して近くによってくるのだ。
魚飛渓は、大きな岩がごろごろしたところで危険な箇所もある。
自分で行っても十分楽しめるが、あまり自信がないなあ、という人は、下流のキャンプ場「キャンプINN海山」に泊まって、そこで相談するといい。
身体を表面からしっかりと冷やして、紀伊長島方面へと戻る。
写真は道瀬の海。
ここはスキューバのスポットとして有名なところだ。
国道42号からこんなに青い海が望める。
そして道瀬の交差点で見つけたのが、この青い看板。
踏切を越えて、海の方へ。
まさか、こんなところに店があるのか、と思いつつ、港の堤防を越えると・・・・。
ありました、道瀬珈琲!
青い軽自動車とタープが目印。
まあ、行けば誰でもすぐわかる(笑)。
この小さな屋台は、東京から紀伊長島へ移住した漫画家の一色登希彦さんが、期間限定で出店しているもの。
もちろん本人が店主で、ちゃんと店の中にいた(笑)。
実はワタクシも東京で漫画の仕事をしていたこともあって、一色さんとは共通の知り合いもおり、そんな縁があって三重でお付き合いがはじまったのだ。
昨年、一色さんが紀伊長島で結婚式を挙げた時、ワタクシは妻といっしょに参加させてもらった。
一色さんの奥さんも元町夏央さんという漫画家で、もう急に三重県の漫画家人口が増えたのである。
が、そんな一色さんがある日突然、「カフェをはじめるんでヨロシク!」とメールをしてきたのだ。
「はあ?」
これが率直なワタクシの感想である。
漫画とバイクを愛し続けてきた男が、なぜに突然カフェなのであるか。
もうサッパリ訳がわからないのである。
で、その疑問の答えを見つけるべく、紀北町にいくチャンスを狙っていたのだが、いこうと思うと用事が入ったり、天気が悪かったりとなかなかチャンスがなかったのだ。
が、この日は快晴!!
ワタクシは道瀬の交差点でハンドルを切ったのである!!
一色さんはゲンキに店主をやっており、タープの下の客席には締め切りを終えたばかりの元町さんがアイスコーヒーを飲んで涼んでいた。
「今日はいつも以上に海がきれいですよ~、隊長たちに見てもらいたいなあ、と話していたら本当に来てくれたのでビックリしてます~」
なんともうれしいことを言ってくれるではないか。
それにしてもうらやましすぎるシチュエーションである。
海を眺めながら冷たいアイスコーヒーやかき氷を食べながら、のんびりと時間を過ごす。
こんなゼータクはないのだ。
道瀬珈琲のメニューは、冷たい飲み物とかき氷。
そしてカレーやバーガーの軽食を販売している。
「この場所でお客さんくるの?」
ワタクシはまず率直な疑問を投げてみた。
「それが来るんですよ~」と一色さん。
「最初はこの道瀬の海に結構釣り人がくるんでその人たちに立ち寄ってもらえればと思っていたんですけど、看板を見てわざわざ立ち寄ってくれる人や口コミで来てくれる人がいて、昨日なんてもう休みなくお客さんで、材料がなくなったほどですよ」
確かにここは寄り道したくなる店だ。
ここで一息ついて、一色さんとおしゃべりしたら、また次に向かって走りだしていけそうだ。
店で一番人気だというかき氷をいただくことにした。
左がマンゴーかき氷、左がイチゴかき氷。
ともに300円。
いずれも、ソースは手作り。
本物のフルーツを使ってつくっているという。
さて、濃厚なソースのかかったかき氷を一口ほおばる。
おおおおおおおおおおお!!
マンゴーそのものの味が口に広がり、そしてそのあとに別の甘さがやってくる。
ソースはまるでマンゴーのピューレだ。
「火は通してないんですよ。
試しにやってみましたけど、マンゴーの香りが飛んでしまうんです。
毎日つくれば日持ちさせなくていいし、生で勝負してます」
一色さんはお店を閉めて晩ごはんを食べた後、
毎晩のようにこれらのソースを家でつくっているという。
「だから毎晩甘い香りがしてるんですよ、我が家は」
奥さんの元町さんが笑う。
しかし、
そんなに手間ひまかけていたら大変なんじゃないのか。
そもそもすっごい原価がかかってるんじゃないのか。
一色さんとワタクシ。
ひょっとしたら、このまま元漫画家と元漫画原作者になってしまうのか!?(笑)
一色さんは「お金儲けのためにこの店をはじめたわけではない」というが、
なんとかカツカツ商売になっているという。
なんでまたお店をはじめようと思ったのであろうか。
「自分を試してみたかったんですよ。
東京から三重に引っ越してきて、いろいろ意見を求められて、あれこれ言っているけれど、
じゃあ実際自分にできるのか。
この地域で商売して食っていけるのかって。
たまたま連載が終わって時間も出来たので、期間限定だけれどやってみようと思ったんですよ・・・」
で、見事に成功させてしまっているわけである。
その秘訣をひとつ聞いてみた。
「Facebook、そしてTwitterです。
これと、実際の人のつながりがなかったら絶対無理だったと思いますよ」
Facebookを通じてこの店を訪れ、またこの店で新しい人と出会い、次の人へと広がっていく・・・。
まさにソーシャルネットワーク。
海沿いのネット回線もない小さな屋台がそれをやっているのだ。
お客さんが次々にやってきたので、奥さんの元町さんに案内してもらって道瀬の港を歩いた。
海女漁の船が戻ってきたところで、ちょうど水揚げ作業をしていた。
大きなサザエとトコブシがたくさん。
豊かな海である。
パ~プ~。
豆腐売りのラッパが鳴った。
「あ、ちょっと豆腐買ってきます!」
元町さんは鍋をもって走っていった。
彼らはもうすっかりここ(道瀬)に馴染んでいる。