FM三重『ウィークエンドカフェ』2021年12月25日放送

今回は志摩市にある『Rays Farm』のファームオーナー、レイさんがお客様です。
志摩の太陽が降り注ぐ農園には、今、冬の野菜が元気よく育っています。

地を開墾して10数年前から農園を作っている。きんこいもも栽培!

笹薮だった荒廃農地を、今から十数年前に夫と二人で開墾し、家庭菜園から始めた農家でした。
野菜づくりを、種から始めることが楽しくて、また美味しいし。
だんだんと量が採れるようになったら近くのスーパーに卸して、いろいろな方に食べてもらって「美味しいよ」って言ってもらえるのが嬉しくて、どんどんどんどん。
農業というより、家庭菜園の野菜づくりから入った農家でしたので、世間の人から、「農業は大変やろ?」「きついやろ?」と言われますが、全然そういう気持ちがなく農業に入りました。
それが十数年前ですね。
食べたいもの、好きなものから始めて、いろいろな多品目の野菜を育てて、さらに志摩特産の『きんこいも』の、地元安乗・越賀式の作り方を先輩農家さんに教えてもらいながら10年くらい前から作っています。
大根の漬物や切り干し大根も近くの農家さんに教えてもらい、今年も作っています。
なんでも作ってみたい、やってみたいので、野菜や加工品を作っています。

 

で藍作りが6年前から始まった

知人を通じて、東京在住のTatz Miki(タツミキ)氏とつながったんですね。
今現在も、その方から栽培方法や染色の方法、さまざまなことすべての教えを受けています。
その方が、植物由来のインディゴ・染料の普及を目指すというプロジェクトを6年前に組まれていました。
コンセプトが『色の農業』。
私たちは食べるもの、野菜しか育てていなかった農業でしたが、そのときに染色するインディゴの植物をたくさん、日本各地で世界各地で育てて、色の農業をしてもらおうというものだったんですね。
それを知って面白い!と思いました。
そのころは気仙沼だったり、伊勢志摩はウチだったり、九州の方にもあったと思います。
Tatz Miki氏がいろいろなところに種を配ってチャレンジしていたわけなんです。
ですから、体験を始めたのは本当に最近の話で、今年の夏から染め体験が本格的に始まりました。
毎年、7月から9月半ばまでは、たで藍の葉っぱを摘むところから始まります。
生(なま)葉染(ばぞ)め、たたき染めが体験できます。
今の季節は乾燥葉を使っての藍染め。
素敵な青色が生まれます。

 

の葉っぱからインディゴブルーが出ることが不思議

葉っぱは緑ですよね。
緑の葉っぱからブルーが出るんですよね、インディゴブルー。
その変化が草木染めとはまた違う化学反応なんですね、難しいけど。
自然の色ですよね。
そこから出るブルーが不思議なんです。
生葉はインディゴが入っていなくて無色透明なものが、空気が触れるとによって生葉染めという、エメラルドグリーンというか、淡い色になるんですね。
で、乾燥すると酵素が抜けます。
普通、植物の葉っぱは乾燥すると茶色になりますが、インディゴが入っているのでこういう色になります。
これを染色するとき、インディゴは水に溶けないので『還元させる』といい、昔からの古来の『天然発酵たで』をします。
木灰の灰汁を使ったりして、発酵させるわけなんです。
専門の工房では、土の中にカメを掘って、そこで温度管理をしながらです。
が、私はが教えてもらったのは、電気毛布で容器の中の温度を一定に保ちながらお酒やら消石灰を入れてpHバランスを管理しながら、だいたい1ヶ月くらい撹拌して染料を作ります。
その染料の中に布を浸けて空気に晒すことによって発色するという仕組みです。
ウチでは種からですので、3月に種まきをしてからずっとこの工程でいっています。
スムーズにいったとしてですが。
だいたい1年4ヶ月くらいかかって、染料が完成します。
体験で使うのはもう一つ、乾燥葉。
乾燥葉はもっと簡易的です。
天然発酵だては、雑菌が入ると菌が死んでしまい発酵しなくなってしまうので、私は家で育てていて体験には持って来られません。
こちらの乾燥葉はお湯に漬けてアク出しをして、そのアク出しした残りの葉っぱを助剤を使ってアルカリ還元させます。
ソーダー灰とハイドロを使って染色液を抽出します。
ここまでの工程を事前に作り置きしておいて、作っておいた染色液を使って体験してもらうようになっています。

 

まみ細工や絽刺などいろいろな作品が生まれている

美容師さんが成人式やお正月につける髪飾りを上手に作っていたので、私が染めた布をなにかに使ってくれないかとお願いしたところ、『つまみ細工』を作ってくれました。
私としては農家で、色を出す・色を作ることに一生懸命だったので、いろいろなクリエイターの方が色を見て布を染める…木にも染められるんですよ!
ですから、色をいろいろなクリエイターさんに提供します。
その色でつい最近、あるクリエイターさんが日本文化の『絽刺』をしようと、絹糸を持ってきてくださって、染めたもので絽刺を作ってくださいました。
ブルーのところがそうです。
いろいろな方がこの色で、しかも『たで藍』なんです。
私たちがここで育てているので、『志摩藍』と呼ばせてもらい、その志摩藍から出た色を『志摩ブルー』と名付けました。
その志摩ブルーを使って、何か、いろいろな作品を作ってもらいたいと思っています。

私も体験に来てくださるお客様と対応と、ウキウキワクワクします。
楽しんで志摩藍の染めをしています。