FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年1月1日放送

新年最初の今回は、伊賀市にある『トルタロッソ製パン』の高橋毅さんがお客様です。
今の場所にオープンしたのが9年前。
いい水に恵まれた場所です。

が安定するまでは捨てることも多く欲しい数の3倍のパンを焼いた

もともとこの地は、父と一緒に大阪から移動してパン屋さんをしようとしたときに、京都の丹波か三重県の伊賀か…古民家を探していた中で、この2ヶ所が最終的に残りました。
この立地は、見た目はボロボロで倉庫なんですが、もともとの成りは、この地区の庄屋さんであり、その後日本酒の造り酒屋さんになり、そこで一旦、動かなくなってしまった場所が、自分たちが探している中、見つけたところからのスタートとなりました。
この地がちょうど、道路を挟むと土地を囲んでいるのがすべて川でした。
細い川だったり大きな川だったり。
伊賀自体が琵琶湖の底だったという過去の歴史もありまして、パン屋さんの駐車場自体はちょっと地面の改良はしましたが、基本的には雨が降るとドロドロになり、粘土になっていました。
僕らが必要としている『湿度』がけっこう高かったんですね。
僕らがパンを作るにあたって、浮遊菌…部屋の中にある菌が意外に作用しまして、まったくないと当然良いものが安定しないことがあります。
スタート時は1日に自分がほしい数の3倍作って1できるかという感じでした。
捨てる量も多くて、パンも安定しなくて、ここでスタート切った1年以上は、パン屋さんをやめようかと思うくらい、良いものがまったくできませんでした。
とても苦労しました。

 

ン職人の父親を尊敬している。一緒に歩んでいこうと思った

自分の今の所の人生の大半は車のレース。
F1を目指してがんばっていた当時がずっとありまして。
その後、うまくF1に行けないというか…一つ下ぐらいまでは行ったんですけど。
そこから一旦、次のライフスタイルを探そうと、父を、父親としてというよりパン屋として尊敬していたので、一緒にパンを盛り上げていければと思い、伊賀の地でパン屋をスタートしました。
多いときは4〜5000個はゆうに作りますし、平日でもお店では1000個くらい並べています。
土曜日だと2000個強くらい。
多いですね。
佐世保で一番有名なハンバーガー店の『ログキット』さんのパンもここで作っていますし、東京のベトナム料理チェーン店、有名ホテルなどにも卸しています。
どちらかというと長い時間の中で、息が合う料理長や息が合うチェーン店のために一生懸命作っています。
大手パンメーカーさんの試作もしたりします。
パンは裏方になりがちですが、僕としては自分たちの製造性や人間性、技術力に自身を持っているので、各メーカーさんの開発は受けさせていただいて、一生懸命やらせていただいています。
最終的にはお客さんが食べるものなので、美味しいものであったり新しいものであったり、日本で今までなかったものなどは自分たちもとても勉強になりますし、力になりますよね。

 

つも同じパンにならないように、400種類の中から180種類のパンが並ぶ

通りが近いわけでもないこういう場所にわざわざ買いに来ていただいているので、お店に入ったときに「この間もあったよね」とか「いつも一緒だよね」と言われるのはお客さんに失礼だと思うのが、本人の意志としてとても強かったので、基本的にはいつ来てもらっても新しい商品が並んでいて、新しいものがあって、いつ買っても終わりがないというお店を目指しています。
今は180〜190種類くらいはあって、もとの生地自体の種類もたくさん持っているので、このパンにはこの生地、このパンにはこの生地…というようにしています。
お子さんや年齢の高いお客さんにもけっこう食べてもらっているようです。
ただそれは、同じ生地でいろいろなパンを作ってしまうと、具が違うだけで元の味が一緒になってしまうと思うので、そうならないように、いろいろな味にしています。
最終的にはパンは生地の味なので、僕らの持っているいろいろな生地を食べてほしいと思います。
お店は当然ビジネスですが、作ったもの前提で、そこに利益を乗せて売価にかけていくものです。
ですから売価があって、原価を考えてものを作る商品は一つもありません。
すさまじい原価のパンがたくさんあります。
けれどすさまじい原価にすさまじい利益をかぶせているわけではないので、10個売れて2個残ったら、売り上げが0になる商品も多いですね。

 

ン1つ1つにストーリーがある

佐世保バーガーも、スタート時はお母さんが昔、お父さんと知り合ったときに始めたハンバーガー屋さんの味を再現したいということで、最初のバンズを作りました。
その時も17種類作って、お母さんの味を思い出してもらってスタートしたのが『ログキット』の味です。
1個1個にストーリーがあるのが大切なんじゃないかと思います。
個人が消費するものは今、たくさんあって、それを買ったとして友だちにあげるかというと、なかなかないですね。
そんな中、ウチでは40個50個とパンを買っていく人がいて、近所の人に配るために買うという人がとても多いんですよ。
お友だちに自慢できるようなお店になることを目指しています。

自慢してもらう…僕らのパンを買うことで優越感を持ってもらい、「これ美味しいから食べて!」というように、人のつながりの役に立てたら良いなと思います。