FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年1月8日放送

今回のお客様は『鈴鹿医療科学大学』の副学長、薬学博士、医学博士の鈴木宏治特任教授。
先生は「血流と血管」について長年研究をされています。

康な人は血管の中で血液が流れている。血液が固まらない仕組みを研究

関西医科大学に就職して、恩師から血液凝固についてさらに研究してほしいと言われ、そこから初めて血液凝固系のことを一生懸命勉強するようになりまして、そこから紆余曲折あり、継続的に血管血液の研究を続けてまいりました。
自分の血管の中で、なんの問題もなく血液が流れています。
ところが何らかの病気になると血管の中で血液が固まってしまうんです。
それが『血栓症』なんです。
健康な方では、血管の中で血液は固まらないような仕組みがあります。
その仕組を勉強・研究してきました。
血液が固まらないようにできている仕組みは、さまざまな分子があります。
その分子から遺伝子を取ったりタンパク質を生成したりしながら、そのメカニズムを研究してきました。
逆に何らかの病気になったとき、血液が血管の中で凝固凝固する血栓症という病気のことも、並行していくわけです。
表と裏の関係です。
血栓症の原因も、それでいくつかわかってきました。
それは、血液が固まらないように身体の中にある物質が足らなくなったり、その物質が傷ついたりすると血栓症になってしまうのです。
これはもともと遺伝的な体質を持っている人もいるし、後天的な生活習慣病や糖尿病など、あるいは微生物に感染した感染症、さらに癌。
罹患すると血管の中に本来存在すべき正しい分子がなくなって、機能されなくなる。
そうなると血栓症を起こすわけです、
そのメカニズムを、私一人ではなくたくさんの研究者や大学院生たちと一緒になってやってきました。

 

気を治す薬にとても興味を持った。そして研究したいと思った

私が医学の道へ進むきっかけは、父の影響が大きかったです。
私の父が獣医をしていまして。
牛も馬も、当然病気になりますね。
しかし当時は病気を治す良い薬がなかったわけです。
病気の牛や馬が薬によって治るという、薬の偉大さを親から聞かされていたため、効く薬を作るとういうのはすごいことなんだな、と子ども心にもありました。
それで薬を研究することに、非常に興味を持ちました。
ワクチンも、今みなさんが必要としている薬ですが、それ以外にも新型コロナウィルスに感染したりすると、肺の組織がやられると同時に、肺の周りの血管が詰まります。
肺炎と同時に肺の周囲の血栓が起きて、機能がどんどん低下してきます。
そして呼吸困難になるんですね。
それをいかにコントロールするか…薬しかないわけです。
マスクと手洗いと薬です。
この3つでいかに防げるかということです。
私も含めて、多くの人がよく効く薬を期待していますね。

 

康寿命を延ばす研究をしている

昨年、『海藻(ラムナン)で健康寿命を延ばす』という本を出版しました。
あおさ(ヒトエグサ)について研究し、血管の炎症抑制、コレステロールの低下などの作用を確認しています。
僕は昭和52年7月1日から三重県というか三重大学にお世話になり、現在に至っています。
それぞれ良いところがありまして、どこに行っても住めば都です。
私は今、職場が鈴鹿ですが、ここも良いところですし、住んでいる津も良いところです。
たまに鳥羽や志摩などにも行きますが、とても風光明媚で、ああいうところは日本で探しても、なかなかありません。
ましてや伊勢神宮という良い場所もありますしね。
北海道の昆布は利尻島などが有名ですが、ああいうものと違って、三重の海藻というのはソフトで柔らかく、庶民的な感じがします。
食べていても美味しいのは当然ですが、日常いつでも食べられるという良さもあります。
僕はもともと海藻が好きですから。
調べてみるといろいろな効能があり、研究によってわかってきました。
三重に住んで三重の産物について研究を進めてきました。

 

究意欲を高めるように指導している

毎年何人かの学生をお預かりして、一緒になって研究します。
昔は、私自身が研究で実際に試験管を握ってピペットを握ってというそういうときは、まさに生徒と一緒になってやっていましたが、今はそういう技術が年齢とともに低下していくので、口頭で言ったり、論文を一緒に読んだりして、学生の研究意欲を高めるようにしています。
研究成果が出れば、それを上手にまとめて毎年発表する…そういうことを一緒になってやっています。
それによって、学生が研究意欲を持って社会に出ていってくれたら嬉しいです。
たまたまこういう職業についていますが、学生は未来のことを大きく夢見ていると思いますが、しかし現実にどう立ち向かってよいかわからないことが多々あります。
それに対して手助けができたら良いなと思っています。
また学生のやる気に対して、こちらも叱咤激励されているところがありまして、怠けることができません。
一緒のモチベーションを持って前に進んでいける…そういう一面はあります。

研究は特に、一人でやるものよりも沢山の人でしたほうが、より、良いものができる気がしますね。