FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年1月29日放送

尾鷲市三木浦。
海岸沿いの道をずっと奥まで進むと築70年の古民家が見えてきます。
ここが『三木浦ゲストハウス』。
今回は、このゲストハウスを運営する弓削猛さんがお客様です。

会社を経営していた社長の家をゲストハウスに

建てられたのが1950年ですので、築70年弱ですね。
このあたりで船会社を経営していた方の建物で、当時は4500tほどの船を4隻ほど所有し運営していたそうです。
ですので、つくりも立派にできています。
たまたま10年ほど空き家になっていたので、持ち主の方にこういうことをしたいと交渉し、お借りして運営しています。
周りの方に、私がここに興味を持っているということを時間をかけて伝えながら、話に持っていったつもりです。
2013年の秋、9月にはじめたので、もう8年になります。
ここは海の水が透明ですね。
ですから、自然に恵まれているのと、目の前に見える三木崎という半島も自然が豊かです。
それから今、グリーンツーリズムをしています。
昔の集落があった住居跡があります。
建物はもう何もありませんが、家の土台や田畑の壁など、石で作ったものが全部残っていて、それらが大きな鹿垣に囲まれた集落があります。
そこがとっても素敵な場所なので、ゲストハウス運営とともに、そこの整備や案内などをしています。

 

元の人がお客様と交流してくれるのが有難い

地元の方はみんな、あたたかく迎えてくれました。
コロナ禍になる前は、ヨーロッパなどから海外のお客様がたくさん訪れていました。
外国人にはみなさん、興味があるようで、外国語が話せなくても自ら声をかけて、「どこから来たんだ」なんて声をかけてくれていたようです。
優しく迎えてもらって、私も助かっています。
外国人だけではなく、もちろん日本人のお客さんも優しく迎えてもらっています。
特に日本人はここで釣りをする人が多いんです。
本当に目の前が海なので、そこの桟橋で釣りができます。
なかなか慣れないお客さんには、いろいろとアドバイスをしてくれたり、私以上にサービスしてくれる地元の方がいるので、とても助かっています。
この湾の中なので、目の前は『第四種避難港』に指定されています。
台風などが来ると、熊野のあたりの外洋に面したところから、船が避難しに来ます。
それくらい、比較的穏やかな海面です。
相当時化ないとわからないくらい、この中は安全に過ごすことができます。
漁師さんと話をしていて、「今日はとても時化ていた」と言われても、ここではまったくわからないことがあります。

 

民家の中におしゃれ感を出した内装になっている

今はリタイアしていますが、私はヨットのデザインをしていました。
インテリアは得意ですから、仕事にしていました。
ここを借りる話が決まったとき、10年空き家でしたから、そのまま使える状況ではありませんでした。
いっそのこと、思いきって改装しようと家主さんに相談したところ、許可をもらいまして、好きなようにさせてもらいました。
基本は古民家なので、その良さを残しながら、若い人でも泊まりやすいよう、水回りや細かい家具など、居心地良く使えるようにという配慮をいたしました。
一部は自分で作った部分もあります。
できるだけ古民家との調和が壊れないよう…でも、少し近代的な感じがないと。
まったく昔のままを再現してしまうと、今の人には物足りなかったり使い心地が悪かったりするので、そのあたりに気をつけるように考え、施工しました。

 

削さんの好きなレコードが並べられ音楽を楽しむ空間は、2階の秘密の部屋

2階に上がる階段のところにはクローズの扉がついています。
レコードなどの精密なものが置いてあるので、小さなお子さんがいるご家族にはご遠慮していただいていますが、大人だけの場合はご案内しています。
聴いてみたいという方には、レコードをかけて聴いていただくこともあります。
あまり使い途のない小さなスペースがあったので、何か面白く使えないかなと思い。
はじめは、雑誌などを読めるようなミニライブラリーをしようとしていたのですが、私が学生時代に持っていた古いレコードを思い出し、ここで視聴できたら…と。
アナログなものだから、古民家に似合うでしょう。
これを聴きながら本を読んでいると、必然的に一杯やりたくなるので、ウイスキーを飲めるようなキャビネットも置いています。
一杯やりながらレコードを聴きつつ話をする、という空間ができました。

ここに来たら、もう少しのんびり、時間に追われないで過ごしていただきたいですね。
何もしない。
それが贅沢な時間。
心の休日をお過ごしください。