三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2022年2月13日

昨年10月にオープンした『菰野ピアノ歴史館』
館長の岩田さんは、ピアノ調律師でもあり、調律などを学ぶ専門学校を創立し、理事長を務めてきました!
現在の菰野ピアノ歴史館もその専門学校の研修所として運営を行っていましたが、新型コロナウイルスの影響で閉鎖…
しかし、岩田さんが集めてきた歴史的価値のあるピアノを知ってもらおうと、ピアノ調律師や技術者たちと歴史館をオープン!
『菰野ピアノ歴史館』には現在25台のピアノが展示されており、それはヨーロッパ地方の古典ロマン派時代から現在までのピアノ。
また菰野ピアノ歴史館の大きな特徴として、ピアノを観るだけでなく、実際に触って、弾くことができ、その時代のピアノの音を知ることができます!
工房では、ピアノ修復や技術継承などをボランティアのピアノ調律師のみなさんが行っており、今後さらに多くのピアノが展示される予定となっています!

菰野町・近鉄湯の山温泉駅近く。
ショパンやベートベンが活躍した時代の大変貴重なピアノを展示する、『菰野ピアノ歴史館』が昨年10月にオープンしました!

 

『菰野ピアノ歴史館』は、希少なピアノを一流の調律師が復元。
当時の音色を復元しました。
観る・触る・弾く・聴くをコンセプトに、ベートーヴェン・ショパン時代の歴史的価値の高いピアノを一同に展示する、体験型の博物館です。

 

こちらに展示されているのは『STEINWAY&Sons D-274【1944年】』。
コンサートホールなどで使用されたものです。
もちろん、実際に弾いてみることもできます!

 

こちらはさらに古いピアノ。

「『バロック』という時代がありました。
古典・ロマン派時代のピアノですね。
その時代の作曲家が弾いたピアノを、主に置いています」

と、『菰野ピアノ歴史館』の館長、岩田光義さん。
ここに展示されているのは『Heintzmann&Sohn (1882年)』。

ピアノは、1700年頃に発明され、様々な国で改良が進められ様々なスタイルのピアノが誕生してきました。

「これはウィーンで作られたもので、王宮や宮殿など…いわゆるサロンで開催するコンサートで使われていたものです」

 

こちらの『SCHLEIP lyra type(1816年)』はこう見えてアップライト式。
弦が縦に入っているのが特徴です。

 

こちらは『John Broadwood&Sons(1822年)』。
グランドピアノなのに、幅が狭いですね。
現在のピアノは鍵盤が88鍵ですが、この当時は5オクターブで、50〜60鍵だったそうです。
ピアノの鍵盤数は作曲家・演奏家の要望と共に増え、19世紀後半に88鍵盤となりました。

「ですから、ベートーヴェンの後期のピアノソナタは同型のピアノで作曲されているんです。
『テンペスト』などですね」

と、岩田さん。

 

館長の岩田さんはピアノの調律師を育てる『中部楽器技術専門学校』を1980年に開校。
長年、理事長をつとめてきました。

 

現在、『菰野ピアノ歴史館』になっている建物は、おととしまで合宿などに使われていた学校の研修所。
新型コロナウイルスの蔓延により、利用が難しくなり、昨年の春に閉鎖。
それを岩田さん主宰のNPO法人が引き継ぎ、岩田さんが個人で収集してきたピアノを調律師の仲間たちといっしょに修復して展示。
現在25台の希少なピアノが展示され、来館者によって当時の音を奏でています。

 

「ピアノの技術者のみなさんが応援してくれるということで、ピアノ好きな方や音楽愛好者に提供できるように整備して、10月オープンしました。
それまではまったく考えていませんでしたが、コロナのために急遽できたという感じですね。
現在25台展示していますが、マニアの方はもちろん、音楽ファン、ピアノファンの方がいらして弾いてくださっています。
とても頻繁に弾いてもらえるのは嬉しいですが、ピアノはデリケートでできているため音が狂ってしまいます。
そのため、夕方5時の閉館後、毎日のように調律や調整しをして、翌日に弾きに来られる方に間に合うようにしています。
けっこう大変ですが、ありがたいことだと思います」

と、岩田さん。

 

中学校の音楽教師を務めた上杉伊都子さんに、スタンウェイでドビュッシー『アラベスク第一番』を、ハインツマンでモーツァルト『ピアノソナタ16番』を弾いていただきました。

「ハインツマンはアクションの仕組みで表現が伝えやすいので、大きな音をあまり出さなくても良い時代には、とても愛されたピアノだったと聞いています」

なるほど。
時代によって音の響き方にも違いがあるのですね。

 

最後に弾いていただいたのは、1863年製、フランスのプレイエルという名門ブランドのピアノ。

 

ショパンが愛用したピアノといわれ、ルノアールの絵に描かれています。

 

さらに、音楽遺産を復元する秘密の工房を覗かせていただきました。
工房で作業するのは、ボランティアで参加する調律師のみなさん。
音楽遺産を支える、まさに舞台裏です。
ここではピアノ修復を行うとともに、調律技術の継承なども行っています。

 

「定期的に調律をしながら、不具合のあるところを修復します。
古いものだと部品がないこともあるので、手作りでこれに見合ったものを作ったり、壊れたピアノの部品を利用したり、いろいろ考えます。
古いピアノは、その時代に作った人でないと構造がわかりません。
私たちはこれを見て、分解していろいろ構造などを調べて直していきます。
ピアノを鳴らした時に、音が隅々まで届くかどうかを第一に考えています」

と、谷勝弘さん。
現在修復しているのは1867年製のスタインウェイです。

 

「こうした施設を作り、ピアノファンの方がいらっしゃること自体が私の夢でした。
あまりにも多くの方が来てくださり、興味を示される方が多いのに驚きました。
ピアノが生まれた頃から今日まで、作曲家が作った曲と弾いていたピアノと一緒に時代を追っていくことができます。
年代を追って、ピアノの音を比べてもらえたら、さらにみなさん興味が湧くと思います。
それがもう一つの私の夢ですね」

たくさんの人の協力で、歴史的な音を現在に響かせている菰野ピアノ歴史館。
ピアノの展示だけでなく、ピアノ修復や演奏など、さまざま支援を展開しています。

 

菰野ピアノ歴史館
入館料 大人500円
高校生以下 400円