FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年3月5日放送

鳥羽マリンターミナルから市営定期船に乗っておよそ12分。
答志島の桃取港に到着します。
ここは黒海苔の養殖が盛んなところ。
今回は『桃取黒海苔委託加工施設』、工場長の清水直兄さんがお客様です。

高で80軒ほどが海苔養殖をしていたが、今は9軒になってしまった

最初に海苔養殖をはじめたのは2〜3人でしたが、それからずっと徐々に増えて、最高は八十数軒聞きました。
僕らが小さな頃です。
それがだんだんと減ってきて、今では9軒になったと。
八十何軒もあると、地区のほとんどが海苔屋さんという感じですね。
その時は今より海苔が真っ黒で、重かったです。
昔のほうが、経費もかからず海苔の単価も高かったので、実入りが良かったです。
今は経費がかかるもので、燃料代も高いし網代も高いし…。
経費が上がった割に海苔の値段が昔と変わらないので、実入りが少ないということですな。
委託加工施設は、海苔を加工をするところです。
桃取で海苔養殖をしている9軒のうち6軒の漁業者が、委託加工場を利用しています。
重労働だった海苔の加工は、ずいぶん楽になりました。
海苔を自分で刈ってきてここに持ってきて、あとはオペレーターと作業員が海苔を作るという仕組みです。
僕らは海苔を沖から摘み取ってくるだけで、仕事はだいぶ楽になりました。
最後までこの工程を自分たちでしなきゃならないと、とても重労働でした。
しかし今だと、桶で摘み取って持ってきて冷蔵庫に入れたら、もうあとは良いので、楽ですね。

 

羽の海苔がおいしいのは、海苔の熟成。今は3時間で板海苔が完成する

脱水機で水を飛ばして冷蔵庫に入れ、1日寝かして熟成させます。
この工程はすぐですね。
この工程をするのは、鳥羽市の桃取・答志・菅島だけです。
味が濃くなるし、海苔自体にも光沢というか照りというか光が乗るんです。
美味しく見えるというか。
ピカピカになります。
焼くとまた青くなり、旨味成分が濃くなり、香りも良くなります。
生で佃煮にするときもあります。
水飴などで煮て。

海苔は、刈り取ってから冷蔵庫に入れて1日熟成して、その後3時間くらいで完成します。

 

子たちのためにも豊かな海を作ることが必要

2019年、名古屋で美容師をしていた息子、剛幸(たけゆき)が帰ってきて、今は一緒に働いています。
跡継ぎができたのが一番嬉しいですね。
それに対して、水揚げが伴わないのが一番のネックです。
いかにして水揚げを増やすか…それが一番の悩みです。
海が良くないのですが、自然には勝てません。
海の水を綺麗にする、豊かにすると言いますが、栄養のある水を供給するためにはし尿施設なども関係してきます。
それをもっと研究できないかなと思っています。
もっともっと良い海苔を作りたい…そんな思いです。
息子といっしょにやっている限りは水揚げも増やしたいですね。
せっかく息子が来てくれたのに、儲からないのではこの先不安だし、若い子が食べていけないと困ります。
とにかく自然を、水を豊かにすることが先決だと思います。
栄養のある海に戻すということを、していかなければならないですね。

 

付けが重要。自分の海苔は見たらすぐわかる

私が海苔養殖を継いでから38年。
厳しい条件の中でも毎年、良い海苔を作っています。
海苔づくりは種付けが一番メインですね。
それが重要になってくると思います。
海苔を見たら、自分で作ったものは大体わかります。
色と光沢と仕上がり具合でパッとわかります。
それこそ、勘かもしれませんが。
全国のみなさんに鳥羽、桃取の海苔を食べてもらい、良さを知ってほしいですね。
味が美味しいのが一番。
香りも良ければ味も良し。
厚さ加減も丁度よいです。
厚ければ良いというものではなく、丁度よい厚さがあります。
判を押して目方加減をしていると、丁度よい厚さ加減があります。
なんせ味が良い、香りが良い。
それが一番の自慢です。
これからますます、桃取の海苔を全国のみなさんにアピールしたいですね。
まだまだ知られていないので、これからもっとアピールしていかないといけないですね。

自分たちの努力や過去の経験が頭にインプットされています。
それを生かしていくという感じですね。