FM三重「ウィークエンドカフェ」2012年9月1日放送

今回のお客様は、四日市地域まちかど博物館の一つ、『川原の一本松』の水谷彰男さん。
ここでは音楽を楽しみながら、ゆったりと瓶のコレクションを見ることができます。
たくさんの瓶が部屋中に飾られ、大正や昭和の時代の家具ともとてもマッチしていますよ。
ここで、色々な種類の瓶についてのお話をお聴きしました。

■規格品じゃないから面白い!

瓶を好きになったキッカケは、昔見たある瓶を探そうと思ったことから。
探してみたけどないんですね。
今でこそ瓶のコレクターが広まったけど、その当時は集めている人自体が少なかったんです。
それから集めはじめて、長いこと経ちました
この道のコレクターならだれでも知っている、東京の東海林先生という方がいらっしゃるんですが、いろいろご縁があって、昨年来ていただいて、お話をさせてもらいました。
嬉しかったですね。

今もう残っている瓶は、ほとんど規格品です。
高さや幅に重量まで決まっていて、それ以外はハネられて捨てられる運命なんですね。
けど、昔の瓶は、できそこないでも傾いていても、気泡が入っていても堂々と製品化して出回っていたんですよ。
それが面白い。
一見同じように見えても、一個一個全く違いますからね。
ただ、並べてみるとその違いがわかるが、買うときはわかりません。
買う時に物差しを持っているわけじゃなし(笑)

購入するのは、専門店や骨董市、ネットオークションが主ですねぇ。

そうそう、ビールメーカーによって、瓶の特徴が違うのを知っていましたか?
キリンは肩の部分がなで肩で、アサヒはイカリ型なんですよ。


■ブラックライトを当てると幻想的に光る『ウランガラス』

昔、日本では一時的に、ガラス製造中にウランを入れた時期があったんです。
ツヤが良いとか、綺麗に見えるなどの意味合いで。
作られた時期が短かったのもあり、その当時はそれで終わっていたんですね。

話は変わりますが、アルフィーの坂崎幸之助さんも、本をだすほどのガラスコレクターなんですよ。
特に醤油瓶を専門としていて・・・奥深い世界でしょ。
で、彼が外国でウランガラスというものがあり、ブラックライトを当てると光る、というのを聞いたそうで、ブラックライトを当てたら光ったと。
「これがウランガラスなんだ!」と。
で、坂崎さんが自分のコレクションを写真集として出版したときに、ウランガラスも載っていて、それで初めて僕らも、ウランガラスをというものを知ったんです。

僕が今持っているのも、一見普通の化粧瓶なんですが・・・ほら、こうしてブラックライトを当てると蛍光発色するんです。
夜店で売っている蛍光塗料のような色に鮮やかな発色で、綺麗でしょう。
ラムネ瓶でも光るものがあるんですよ。
透明から緑に!

ガラス瓶はいつまででも綺麗なので、作られた年代などが特定しづらいんですが、ウランガラスに限っては、日本で作られたのが大正初期から昭和初期とわかっているので、その時期に作られたと特定できるんですよ。


■独自の文化の日本製ガラス
『四日市流域まちかど博物館』が発足して、今年で4年目。
遅ればせながら、私もやってみようかな思い立ち、部屋を改装して並べてみると、意外と良いんですよ。
壁と木とガラス瓶が、意外に合うというか。
最初は一人で楽しんでいたんだけど、訪れた人に癒しの空間として楽しんで貰えたら・・・ということで公開してみました。
見る時間帯でガラスの色が変わって見えるのも良いです。
特に朝は、朝日にガラスが反射して、生(ナマ)のガラスの色が出て本当に綺麗なんですよ。

家は和風。
ガラスは日本固有のものではないのに、この家にガラスが合うのは、ここにあるものはすべて日本製だからかもしれません。
瓶の技術は、明治の初期にドイツから伝わってきたんです。
技術者を呼び寄せ、機械を取り寄せて。
しかし、日本には日本独自にガラス技術が進化して来た歴史があり、日本独自のガラス文化があります。
だからこそ僕は、日本製にこだわって集めているのです。
現在の瓶を見比べても、外国の瓶と日本の瓶では、違うと思いますよ。


■珍しい瓶とガラスにまつわるエピソード

ここのあるとっくり型の瓶は、昭和6年のサクラビールとキリンビールの2L瓶。
日本の伝統的なとっくり型ですね。
こうして、時代の流れにそって、規格というものができてくるんです。

こちらの『蜜柑水』の瓶・・・こういうのは、日本だけのものだけですね。
小ぶりでスリムで可愛い。
文字が漢字で書かれているのも良いでしょう。
『非売瓶』ってわかりますか?
「この瓶は売らないので戻して下さい」ということで、今でいうリターナブル瓶・・・昔からリサイクルしていたんですね。
『蜜柑水』の瓶がなぜこういう形になったかというと、一気に飲むのではなく、ちょびちょびと飲んで欲しいから。
だから口が細くなっているんですね。
こちらは瓶に文字が書かれていますが、(文字が浮き出る)エンボスが出てくるのは戦後。
バヤリースオレンジとかその頃からですね。
コカ・コーラの瓶は1号瓶はアメリカ製だったんですよ。
アメリカで作ったものを日本に持って来たんです。

ガラスの『ビー玉』の意味は知っていますか?
実はアルファベットのABCのBで、ラムネ瓶の規格のことだったんです。
Aは規格品でBは2級品。
規格外になった瓶をそのまま捨てちゃうのはもったいないということで、中の玉をおもちゃにしたのが始まりなんです。

こういったエピソードも、知ると楽しいですよね。