三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2022年4月10日

県の障がい者雇用を促進する取り組みの一つとして、津市にある三重県総合文化センター男女共同参画センター「フレンテみえ」内に設置されている、「ステップアップカフェ だいだい食堂」。
障がい者がいきいきと働き、障がい者と共に働くことが当たり前となる社会の実現を目指し、そのきっかけを提供する場として運営中!
現在コロナ禍で時短営業中ではあるが、テイクアウト事業にも幅を広げ、館内利用者のみならず、地域に広く愛されるお店を目標に奮闘しています!

こちらは三重県津市にある、『三重県総合文化センター』です。
今回は、こちらの『男女共同参画センター フレンテみえ』1階にある『ステップアップカフェ だいだい食堂』をご紹介します!

 

店内はとってもオープンで、明るいイメージです。
『ステップアップカフェ だいだい食堂』代表の湯浅しおりさんにお話を伺いました。
こちらではどんなメニューをお出ししているんですか?

「『カフェ』と言っていますが、メインはランチです。
ランチとお弁当の配達ですね。
総合文化センターの館内のイベントに参加された方たちとか、講習会などいろいろあるので、その方たちがお昼を挟むときに利用してもらっています」

 

人気のメニューは『きまぐれランチ』。
この週は『秘伝のたれカツ丼』1000円です。
秘伝のタレをカツ丼にかけてあります。
サクサク感と香ばしさがあるので、卵を崩していただきます。

 

衣がサクサクで、で、中がジューシーで、卵がじゅわーっとね、まろやかにしてくれる・・・。
タレがご飯と合いますよね!すごく!
おいしい!!

それにしても『ステップアップカフェ』とは、どういう意味なんですか?

 

「県の障がい者雇用促進に向けた取り組みの一環で、障がい者がいきいきと働く姿を発信し、就労実習の場に繋げる役割を担っています。
つまり、障がい者の方を雇用して、頑張っていただいて、ここでステップアップしたら外部の企業さんとか会社の方に就職するという目的で行っています」

湯浅さんは尾鷲市を拠点に介護・養護施設、飲食店等を経営。
その現場でも以前から障がい者雇用を行っています。

「それぞれ個性があるので、苦手なことと長所とわかってあげれば長所を伸ばしていくっていう…それは自分たち普通の職員でもやっていることです。
良い所を伸ばした方がいい仕事ができる、そんなイメージですね」

 

『だいだい食堂』オープン前の朝9時。
みなさんも忙しそうに準備に入っています。

「お弁当は近隣の庁舎や、館内の方に配達させていただいています」

と、スタッフの今井友紀子さん。

 

「一番人気は、日替わり弁当です。
今日は手づくりのメンチかつとズッキーニの肉巻きが入ってます。
毎日おかずが3~4品変わり、さらに副菜と卵焼きが付いています。
あとは、注文を頂いているお弁当で、サバ味噌のお弁当、から揚げのお弁当などもあります。
注文数はその日によって変わりますが、今日は特注のお弁当がとても多いので、もう今の段階で多分50~60個になっていますね」

配達だけでもすごい数ですね!

 

奥の方にも、忙しそうにされている方がいます。

「彼ら彼女たちが障がい者ステップアップカフェで雇用させていただいている障がい者の方々です。
一木さんは調理がとても好きで、お料理の方にまわってもらっています。
田中君はとても力強いんでお掃除とか重たいものを運んでもらったり、臨機応変に動いてもらってます。
自分で仕事をみつけてまわすことがこなせる方たちなので、とっても助かっています。
特別な意識はもともとなく、好きなことを伸ばして欲しい、そんな気持ちです」

と、湯浅さん。

 

作業中の一木さんと田中さんにお話を伺いました。

「私は料理担当で、今さっきも唐揚げを漬けたところです。
人参シリシリやサラダも作れますよ!
お仕事していて、楽しいです!」

と、一木さん。

「自分が得意なこと不得意なことをちゃんと見極めてくれて、自分ができることをやらせて頂けるので、すごく助かります」

と、田中さん。

 

『ステップアップカフェ だいだい食堂』のオープンは、2020年。
障がい者雇用や障がい者への理解を深めようと、三重県のモデル事業としてスタート。
運営を担うのは、『株式会社OCK Ba-mi(オーシーケーバーミィ)』。
湯浅さんが代表を務め、尾鷲市を拠点に介護や福祉事業に取り組む『NPO法人 あいあい』から、『食』の業務を分割し、配食サービスや、給食サービス、食品加工等、地域のセントラルキッチンとしての役割を担っています。

セントラルキッチンで製造した惣菜を、だいだい食堂で活用したり、箸袋を福祉施設の利用者が作る等、全ての現場が繋がりを持ち、どの現場においても、障がいのある方々が、共に活躍しています。

 

「もともと、尾鷲市の本社で福祉事業をやっているんです。
養護学校の幼い頃からうちの看護師とかヘルパーを使って、利用しながら育っていくんです。
で、養護学校を卒業する時に、みなさんが『あいあい』で働きます!と宣言してくれるので、受け入れてきたのが今に至っています。
自分も誰かに助けてもらっています。
誰かにフォローしてもらってることがわかれば、彼ら彼女たちのフォローも普通のことですよね。
がんばることのできる範囲は人それぞれですが、それぞれでいいんだということを、常に心がけています。
将来の夢を持つこと…自分のステップアップした姿を想像してがんばりなさいと言っています。
ここで、このままではないということを、想像していこうと言っています」

将来の夢を持つことを心がけること。
それが湯浅さんの思いです。

 

ランチタイムになって、お店にはお客さんの姿が見え始めました。
ここからが本番です!
新型コロナウイルスの感染拡大による影響は大きく、まだ客足は戻っていませんが、施設内に勤務する人や、図書館など、施設を利用する人が積極的にお店に立ち寄ってくれるそう。

 

「今日は唐揚げ弁当をいただいています。
職場が近いのでわりと利用しますね。
お弁当もいろいろあって、お持ち帰りもできますが、店内で食べるとこの味噌汁が付いてきてお得なので、私はよく利用しています」

「今日はテイクアウトで唐揚げとハンバーグのお弁当を購入しました。
図書館や『MieMu(三重県立博物館)』をよく利用するので、作りたてをいただけるのでよく購入します」

 

「メニューを運んだ時に、お客さんにありがとうとか、美味しいそうって笑顔で言っていただいた時、自分もとても嬉しい気持ちになります。
コロナのこともあって、今は週2日か3日の勤務なので、週5日の勤務にまず慣れるということと、この食堂以外でも自分の得意なこと苦手なことをしっかりと判別して、自分がやりやすい仕事を見つけることをできたらいいなと思っています」

と、田中さん。

「やりがいを感じるのは、自分の成果が発揮できた時です。
さっきネギ切っていたんですけど、やっと細く切れるようになってきました。
そういうときに自分が成長したと感じられます。
ほかにもいろいろと、楽しいと思える瞬間があります。
『だいだい食堂』は自分にとって、理解してもらえる居場所ですね。
障がいに対しても理解があるので、とても働きやすいです」

と、一木さん。

 

「私もこのステップアップカフェで、あの子たちの成長で勉強させてもらいました。
できないと思っていたことができたらこっちもビックリしますし、本人たちの喜びにもなります。
私たちも忙しすぎて『ここまで』と決めてしまっている部分があるので、それを越えてくれる驚きがいくつもあります。
『楽しい場所』という一言に尽きると思います。
尾鷲のセントラルキッチンとここの結ぶ関係を見ると、やはり食品加工、販売、営業…全てにできるることがみんなにあるということをとても感じます。
セントラルキッチンをキチッと構えて、いろいろな障がいを持った方たちがそこの場所・・・切り場なのか、真空する方なのか、配達する方なのか、販売する方なのか…適材適所でできていって欲しいと、夢を描いています」

と、湯浅さん。

『ステップアップカフェ だいだい食堂』で、ランチをしてみませんか?
お弁当の注文も、お待ちしています!