FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年4月23日放送

外宮から内宮へと続く伊勢、古市街道。
ゆるやかな坂道を上がっていくと街道沿いにジビエ料理のお店があります。
伊勢志摩ジビエ・バンビのオーナーシェフ、村瀬滋さんが今回のお客様です。

蔵省に勤務していたが40歳で退職し、ジビエのお店を作った

30年前に東京の大蔵省に勤めていたのですが、ストレスがひどく、ストレス解消のために食べ歩きをするようになりました。
フレンチとかイタリアンとか、よく食べていました。
その中で、美味しいのはジビエだな、と。
終着駅はジビエだなと思ったのが一つ。
それから、30代の半ばで念願のアイルランドとスコットランドに旅行しました。
ギネスビールとスコッチ、シングルモルトウイスキーが大好きで、それらを飲んでいる人が何をつまみにお酒を飲んでいるのかが気になっていました。
行ってみてわかったのは、スコットランドはジビエなんですね。
あ、やっぱりジビエなんだと、どんどんジビエにハマっていってきました。
40歳のときに身体を壊して大蔵省を離れることになりまして、時間ができたのでジビエ料理を自分で作ろうと。
作るためには狩猟と鉄砲の免許を取ろうということで、それではじめました。

 

バメガシや椎ノ木の山が志摩市の山。イノシシ、鹿、鴨がやってくる

美味しいのはやっぱり、イノシシと鹿。
特に三重県の志摩市のイノシシ、鹿、鴨が最高に美味しいところです。
同じ三重県でも、山が違うんですよ。
志摩市の山は、ウバメガシと椎ノ木がある、いわゆる炭焼の山なんですね。
杉・ヒノキの山じゃないんです。
照葉樹林で、どんぐりがいっぱい穫れる山なんですね。
春になると照葉樹林の新芽が芽吹いて、鹿たちはお腹いっぱいそれを食べます。
秋になるとどんぐりがいっぱい落ちるので、イノシシと鹿がいっぱい食べます。
特に椎の実を食べたイノシシの脂は真っ白になって、それはもう本当に美味しいんです。
イベリコ豚とも比べ物にならないくらい美味しいわけなんです。
狩猟に関しては、私は最初からジビエ料理を作るというのが目的で、そのために狩猟をはじめました。
血抜きの仕方とか解体の仕方とか、その辺がすべて違うわけです。
ですから、私が扱うお肉は血の匂いがいないんですね。

 

鹿

の低温調理のステーキは季節のフルーツを使ったソースで味わう

自ら設計したこだわりの詰まった店、その空間でジビエ料理を味わっていただきます。
鹿の料理ですと、子鹿の背ロースの低温調理のステーキというのがあります。
季節ごとにソースが変わるのですが、冬だと五ヶ所みかんのジュレのソース、4月になると甘夏になったり、6月はビワ、8月からは桃、10月からはキウイとかですね。
季節ごとに変えていきます。
みんな鹿の好物ばかりです。
鹿たちはみかん類が大好きで、荒らしに来ます。
五ヶ所のみかん園を荒らしに来るものですから、私が農家の方のために檻で有害駆除で獲ってあげているわけなんです。
みかんが大好きなので、お肉そのものにもみかんの香りがほんわか漂っているような時もあります。
ですからみかん類が合うんです。
解体しているからわかることですね。

 

ビエ料理に合う野菜をつくっている。野草に近い濃い味の野菜が合う

12〜3年前から畑をはじめています。
ジビエ料理を美味しくいただくために、ジビエ料理に合う野菜をいっぱい作って取捨選択して、合格した子たちを今、畑で作っています。
100種類くらいですかね。
主にイタリア野菜なんですけど。
ジビエは力強い味わいなので、野菜も野草に近いような濃い味のものが合うんです。
それがイタリア野菜に多いので、結果として作っていると。
ほとんど合うんですよ、面白いことに。
お客様によく申し上げていますが、一番安全なお肉はジビエなんです。
というのは、ジビエというのは彼らが好きなものを、好きな順番で食べていくんですよ。
ノーワクチンで、天然の塊なわけです。
それに合わせるにはイタリア野菜のような濃厚な野菜を、完全無農薬で作って付け合せとして出しています。
そうすると、安全×安全ですから、美味しいですね。
美味しいし、身体が楽なんです。

『美味し国』というだけあって、三重には美味しいものがいっぱいあります。
志摩の山が素晴らしいですから、どんぐり山ですから。
イノシシや鹿やシベリアから渡ってくる真鴨たちもどんぐりが大好きなんです。