三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2022年5月8日

天皇に代わり伊勢神宮に仕えるべく都から派遣された皇族女性「斎王」、その宮殿があるのが「斎宮」
その斎王の御殿があった場所と言われる所に竹神社があります!
竹神社では、コロナ禍で手水の使用ができなくなり、その手水に花を浮かべる「花手水」を氏子の皆さんや地域の皆さんが取り組み、SNSなどで発信したところ、話題となり、さらに明和町を観光という視点から盛り上げたい明和観光商社も協力して、社務所を開所し、御朱印の頒布をはじめ、現在、満月の日に「満月参り」を開催!
夜になると参道は竹あかりが灯されるなど、多くの人でにぎわうようになりました
また、竹神社の向かいには、古民家を改修して土産品やカフェ、スペースの提供を行う「みのりや」もオープンする予定となっています!

こちらは明和町の『さいくう平安の杜』です。
この地に暮らしたと言われる『斎王』は、天皇に代わって伊勢神宮に仕え、都からこの地に派遣されてきた皇族女性のこと。
斎宮は『いつきのみや』とも呼ばれ、斎王の宮殿があったところと言われています。

 

『さいくう平安の社』から歩いてすぐのところにあるのが、旧斎宮村にあった25の神社を合祀(ごうし)し、誕生した『竹神社』。
斎王の御殿があった場所ではないかともいわれ、斎宮には欠かせない存在です。

 

このコロナ禍の中、『竹神社』を明和町活性化の拠点として盛り上げようとはじまった『竹神社満月参り』。
毎月、満月の夜、花手水や竹あかりを求めて、300人から500人の人が集まる行事へと成長。
花手水とは、もともとあった作法で、花や草木の露をつかって身を清めることでした。
今回はその行事を生み出し、育む、そんな地域のみなさんをご紹介します。

 

こちらの花手水の手入れをしているのは氏子総代の島田ご夫妻。

「花手水の花は、地域の方からいただくことが多いですね。
みなさんから、神社に花をあげてもらって嬉しいと言ってもらえて、かえって本当にこちらが恐縮するような言葉をいただきます。
もらうのがありがたいのに、『もらってくれてありがとう』と言ってくれるので本当にうれしいです。
ありがたいです」

と、奥さん。

 

花以外にも季節に応じて飾り付け。
こちらはご主人の担当。
装飾は月ごとで変化しているそうです。

 

「最初はごく簡単に、満月に来てもらうのでランタンなどを飾っていたのですが、喜んでもらえるので、だんだんとこう少し調子に乗りだして、次々と。
若い人が来て、インスタグラムを上げていただいたりしています。
来てもらった時に、花がしおれていたり参道が汚れていたりする状態を見せたくないので、毎日来ることになります。
ご苦労様、ありがとう、そう言ってもらえるだけで充分です。
より頑張ろうという気になりますよね」

 

花手水の写真や満月参りの情報はSNSで拡散。
こちらは島田さんご夫妻が撮影し、アップした写真。
最初はとまどいつつ教わりながらだったそうですが、今では自分たちで工夫しどんどんアップ。
思っていた以上の反響になっているそうです。

 

情報発信の後押しをしたのは、秋山実愛(あきやま・みちか)さん。
地域資源を活かし、事業を推進する『明和観光商社』のスタッフです。

「竹神社はそもそも2年前、令和3年の秋から社務所を開けだしました。
それまではずっと開いてなくて、御朱印とかお参りに来てもらってもお渡しできなかった状況だったんです。
斎宮をはじめ、もともと町全体で観光に取り組んでいたところ、観光的な視点から見ても『竹神社』はとても魅力的な神社だったので、地域の人たちや氏子さんの協力もあり、開所となりました。
私ども『明和観光商社』が満月の日にいろいろなイベントを開催していたことから、竹神社とコラボをして、満月参りがスタートしました」

 

満月参りの舞台となる社殿を案内していただきました。
不思議な筒を発見。

「これは『誓い納めの筒』といいまして、竹神社の社務所で頒布している『誓いお守り』を授与していただくと、一緒に『誓い札』をお付けしています」

 

「それを筒に納めていただくという形になっています」

竹筒の中に誓い札を納めることで、誓いを立てるということになるそうです。

 

日暮れまでにはまだ時間がありますが、満月参りの日のみ頒布される『満月御朱印』や花手水を目当てに、すでに大勢の人で参拝に訪れています。
日本遺産の構成文化財のひとつにもなっている『竹神社』。
時を超え、新しい風が吹きはじめています。

 

こちらが『満月御朱印』。
毎回、描かれている絵が変わるそうです。

 

続いてご案内いただいたのは、竹神社の前にある『みのりや』。
『みのりや』では、お土産品やカフェ、スペースの提供なども行う。5月中旬以降にオープン予定となっています。

「こちらは古民家を改修してできたお店です。
『竹神社』の満月参りに合わせて毎月行っている『月の市いうマルシェ』を、今回は改修が終わったこちらを借りて行います。
オープンしてからは、神社にお参りいただいている方がすごく多く見えるのでオープンしたたら伊勢茶とちょっとした甘味を楽しんでもらえるようなカフェを考えています」

と、秋山さん。

 

陽が傾きかけた頃、氏子の島田さんご夫妻や地域の方が、満月の夜に明かりを灯す『竹あかり』の準備をはじめました。
毎回の準備は大変なので、地域内外のボランティアのみなさんにも協力してもらっているそうです。

 

さらに陽は落ちてお参りする人も増えてきました。

 

花手水にもライトを仕込み、光を灯します。
この日、残念ながら満月は雲に隠れ、顔を出してはくれませんでした。

しかし、花手水にはたくさんの人が集まり、そして竹あかりの中、たくさんの人がお参りをしていました。
小さいけれど強い光を発する地域の宝。
地域のみなさんが生み出しました。

 

「氏子さんと『明和観光商社』に協力してもらい、社務所を開けていただき、こんなにたくさんのお客さん来ていただいて本当に嬉しく思っております。
これからも多くの人が来ていただけるよう、町としてもできる限りの支援をさせていただきたいです」

と、明和町の世古口哲哉町長。

「テーマにしているのが『住んでよし、訪れてよし』ということで、住んでいる方もとても良くなるし、訪れる方も良くなると。
訪れる方と住んでいる方が交流しながら地域が良くなっていくことを目指しています。
この竹神社の取り組みはまさにそうで、氏子さんが活動することで、訪れる方がどんどん増えていっています」

と、『明和観光商社』の代表理事であり、皇學館大学現代日本社会学部教授の千田良仁さん。

「『満月参り』にはたくさんのリピータが来てくださり、『今日すごいねぇ』と言ってもらえるのがとても嬉しかです。
おそらく今月も新しい人たちもたくさん来てくれて、『竹神社の満月参り』というのを知ってもらえたのかなと思います。
今までは『竹神社』に来てもらっても他に楽しめるところが少なかったので、今後はお土産を買ってもらったり、伊勢茶や甘味を楽しんでもらえるようにして、少しでも長い時間滞在してもらえるようなエリアにしていきたいです」

と、秋山さん。

次回の竹神社満月参りは5月16日。
お誘い合わせのうえ、ぜひどうぞ!

 

◇竹神社公式インスタグラム
 @_takejinja
◇竹神社の花手水インスタグラム 
@takejinja_hana