「ふれあい」Vol.37 2012年9月号

限界集落という難しい問題に立ち向かっている「やったる会」。大杉谷の素晴らしい自然を後世に引き継ぎ、楽しく安心して暮らせるように地元の絆を深め、人口を増やすために環境を整え、世代も地域も超えて力を合わせて取り組んでいます。


『やったる会』代表 大杉谷自然学校理事 谷口 忠夫さん

■時代を超えて伝統をつないでいくために

大杉谷地区は高齢化率が約70%の限界集落です。
このままでは過疎化、高齢化が進み、消滅してしまうのではないかと危機感を覚えました。
平成19年から、大杉谷出張所とともに課題会議を重ねました。
高齢者が安心して暮らせているか。
大杉谷のことを好きな人が来て働く場所をどうやって創り出すか。
1年かけてこれらの事を話し合い、できることから1つずつ行うことにしました。
そして、平成22年に「できる者が手助けせなあかん」と地元の有志が集まり、やってみようという強い意志も込めて『やったる会』を結成しました。
地道に時間をかけて活動を続けることにより、利用者も増え、やったる会の認知度が高まってきました。
ここでの生活では相互に協力しあって、自然相手に元気に過ごせることが大切。
そのお手伝いができたら最高です。


■大杉谷の応援団、サポーター募集中!

新しい試みとして大杉谷出身者に現状を伝え、応援のお願いをしたいと「ふるさと交流会」を関西・東海地区や地元で開催しました。
連絡先のわかる皆さんに案内を送付し、のべ200名近く集まってくれました。とても嬉しかったです。
この交流会は来年も継続していきますが、出身者に加え、大杉谷のフアンの人も一緒に参加してもらいたいと考えています。
現状を改善していくには地元の人だけでは限界があります。
そこで、Iターン・Uターンの人を増やしていきたいのです。
若い人たちに来てもらい、住んでもらって、人口を1人でも多くすることが目標です。
そのためには、「大杉谷を広く情報発信すること」「大杉谷をさらに魅力ある場所にすること」が大切だと感じました。
具体的に私たちのできることを4つに分け、部会を設立。月に1〜2回集まりそれぞれ活動しています。
ぜひ大杉谷に遊びに来ていただき、川の水の色や自然を見て体感してください。
大杉谷の良さを知ってもらえると思います。

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■4つの事業部会

◇物づくり部会
 部会員10名で、地域の恵みを生かした物づくり事業

部長 山本 雅弘さん(左) 山口 弘さん(右)

『耕作放棄地で特産品を作り、仕事を創り出したい』

耕作放棄地を再利用し、特産品として自然薯、こんにゃくなどを栽培しています。
作り方は地域の経験者の方に教わりました。課題は、作業で動いてくれる人の確保が一番難しいです。
今度私たちと一緒に耕作放棄地を再生するイベントを企画しており、イベントを通じて大杉谷の良さを体験してもらいたいですね。


◇空家対策部会
 部会員5名で、空家の保全及び利用・活用をした地域づくり事業

部長 大瀬 耕二さん(左) 中村 賀代さん(右)

『大杉谷に遊びに来て良さを知ってもらいたい ようこそ~という気持ちで』

2年かけて空家調査をした結果、80数件ある空家を貸してくれるのは10件位しかありませんでした。
最近では、実際に使っているのをみて、少しずつ貸してくれるようになってきました。
Iターンを増やすには気楽に来てもらえるようなイベントや、「ひだまりどころ おかんの家」などおもてなしの心のこもった新たな試みも。
さらに自然学校ともタイアップしていきたいです。
空家の利用方法として、住む以外にも民宿を経営して仕事にしてもらう方法も考えています。


◇よろず屋部会
 部会員12名で、安心して住める地域づくり事業

部長 大西 三千秋さん(左) 小掠 一生さん(右)

『お困り事を解決したい!高齢者を助けたい!』

最初に案内を各戸配布した時、反響はありませんでした。
皆さんと話をしているうちに、少しずつペンキ塗りや草刈り等をお願いされるようになりました。
今では月に数件の依頼が入ります。
この部会は日常生活に密着しており、住民と対話することが大切だと思います。
長く続けていきたいので、誠意を持ってやっています。
皆さんに喜んでもらうことが一番嬉しいです。
今後は買物のお手伝いができるといいなと思案しています。


◇環境部会
 部会員4名で、自然を生かした地域づくり事業

部長 大西 かおりさん(左) 大井 清志さん(右:名古屋市在住)

『大杉谷の自然を守りながら、その素晴らしさをどう伝えていくか』

昔や今の大杉谷の自然や伝統を残していくために、地元の写真を集めています。
ふるさと交流会でも大好評でした。
大杉谷の自然は本当に美しい。
7月はヒメボタルがおススメ! 
森の中で暮らしており、光るタイミングが同じなので光る絨毯のようでとても幻想的です。
生まれ育った場所への恩返しをしていきたいと思います。
その一つが自然を守ること。
大切なことを伝えていきたいと思います。