三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2022年7月10日

南伊勢町に2019年に移住してきた山田史也さんは過疎高齢化が進む町内で、草刈りや空き家の片づけ、遺品整理など、地域の人たちの様々な生活の困りごとを請け負う’’何でも屋さん’’「山田便 利店」を開業!
更にこのほど、空き家の片づけ作業等の際に出た家具や食器などの不用品を集めて販売する「よろず屋 山田商店」を町内の空き店舗を利活用する形でオープンさせました!
レトロな雰囲気が漂うお店には地域の人のみならず、町内外から人が集まり、リサイクルを通してモノと人、人と人の新たな出会いが生まれています!

空き家の片付けから不用品回収。
農作業のお手伝い、そして草刈りまで、地域の困りごとに奔走するのが、『山田便利店』を営む、山田史也(やまだ・ふみや)さん、38歳。
北海道出身。
全国を旅した末に、南伊勢町五ヶ所浦にたどり着き、現在、奥さんとお子さん、3人で暮らしています。

 

山田さんに、便利屋をはじめたきっかけをお聞きしました。

「住まなくなった実家、高齢の方が片付けができない、さらに近年、分別方法が複雑になり、わからなくてゴミが出せないという人もいます。
そのお手伝いや、草刈りや伐採もします。
若い人がいないことによって体力的にも肉体的にもお年寄りの困りごとが増えていますね。
地域の為になることは何かと考えた時、今までしてきたいろいろな経験を活かせるのが『便利屋』だと思いました。
息子とまでは言わないですけど、親戚みたいな、気軽に頼めるような町の便利屋さんになっていけたらいいなと思っています。
『あんたが来てくれて良かった、ありがとう』という声をいただけるのが、一番嬉しいです」

 

そんな、『山田便利店』を営む山田さんが、新たにオープンしたお店がこちら!
『よろず屋 山田商店』です。
『よろず屋』というだけあって、服とかいろいろなものが販売されています。

 

所狭しとたくさんの商品が、壁一面に並んでいます!
食器棚や、レトロな柄で可愛い食器もありますよ!

 

「便利屋の仕事で請け負った空き家の片付け等で出た家具や食器等、処分する予定だったものを集めて販売しています。
出てきたゴミを捨て続けることに、ちょっと心が病んできたというか。
レトロな物好きな方、みなさんに見てもらい、更に活用してもらうような店になればと思い、オープンしました」

 

「僕が初めて、一軒家まるごとの大きな片付けをしたときに出会ったのが、このトランクです。
戦前の物で、当時海外に行くことがあるようなご職業の方のお家から出てきました。
これを見た時に、捨てて良いかということをとても考えてました。
ある意味、この店を始めるきっかけになった一品です」

 

「こちらのFAX台は遺品整理の現場で出てきた物です。
娘様のご依頼で、ご承諾頂いて販売させていただく運びとなりました。
後日、娘様がお店の中に馴染んでいるこの商品を見て、父が使っていたものがこうやって活用されているのがとても嬉しいと言ってくれました。
ここをオープンして本当に良かったと、その時しみじみ思いました」

 

「こちらの建物は元々漢方薬局で、なるべくこの内装を活かして地域に懐かしいなと思ってもらいたいと思っていました。
そんな折、移住者で漢方茶をブレンドしている方がいるお聞きし、取り扱いさせていただいております」

お店ができたことで、地域の反応はどうだったのでしょうか。

「年配の方は、散歩の途中に寄る場所ができたと喜んでくれました。
中に入ってきてちょっとお話して、お買い物に行かれる方も多いですね。
後は、小学生がやはり珍しい物が多いので寄ってくれて、店に置いてあるタイプライターとかで遊んで行って。
後日そのおじいちゃんが孫から、『すごいおもしろい店が出来たからおじいちゃん行ってよ!』と言われてご来店された、なんてこともありました。
ご近所の方から、昔はここら辺栄えてたんだよと懐かしむ顔で言われたので、その頃の活気に少しでも近づけたいと思っています」

と、山田さん。

 

そして、ここで野菜を持った男性が。
南伊勢町内で『せこファーム』を営む、世古知さんです。
毎週水曜日の営業日に店舗の一角で野菜の委託販売をしています。

 

「家族ぐるみでお付き合いさせてもらっていて、その関係で野菜を置かせてもらっています。
野菜をターゲットに来られたのでなくても、あったら見て買ってもらえます。
いろいろな人に食べてもらいたいので、とてもいい機会だと思っています。
最初に話を聞いた時から、山田さんの思いに共感しました。
古いものもまだまだ価値はあるので、地元でどんどん回っていくのは素敵なことだなと。
一緒に何かやっていけたりしたら嬉しいですね」

と、世古さん。

 

現在38歳の山田さんは、24歳の時、ヒッチハイクで生まれ故郷の北海道から沖縄をめざす旅に出たことがきっかけで、旅の人生に。
宮古島でゲストハウスを運営していたこともありました。

 

そして結婚をして、子どもが生まれた2019年、南伊勢町へ。
当初はミカン農園で働いていましたが、困っている人の役に立ちたいと、去年の4月、何でも屋 『山田便利店』を開業。
更に、今年に入って、『よろず屋 山田商店』をオープンさせました。

 

当時、空き店舗を探していた山田さんに、今の場所を繋げたのは、『ゲンキみえ』でも以前紹介した、『むすび目コワーキング』の西川百栄(にしかわ・ももえ)さん。
移住定住コーディネーター・空き家再生プロデューサーとして、山田さんの活動を応援する一人です。

「南伊勢町には沢山空き家もありますし、草を刈りたいけれどもなかなかできないお年寄りの方とか、沢山いらっしゃいます。
それが大きな町の課題になってますが、家の中のことだと知ってる人に頼み辛いということもあると思うんですよね。
そんな中、山田さんは移住者でもあり、人当たりもいいし、とても頼みやすいと思います。

『よろずや 山田商店』もとても面白い取り組みですよね。
町の中で不要になったものをゴミとして捨ててしまうだけでなくって、また活かすというか。
ゴミも減りますし、町の課題を解決しながら新しい人の繋がりが生まれる…非常にいい取り組みだなと思っています」

新しいつながりのカタチ。
山田さんは地域の困りごとを助け、不用品をリサイクルすることで、これまで接点のなかった人と物、人と人を繋いでいます。

 

南伊勢のむすび目

 

こちらは山田さんが以前、依頼を受け、片付けた空き家。
大家さんの希望で、山田さんがSNSで告知をし、それがきっかけで、新たな住民が決まりました。

 

「SNSでこちらのお家を上げているのを見つけました。
私が良いところだと思っていた伊勢志摩地域だというところ、だったというところと、すさらにすぐに対応してくれたことで心が動きました。
ZOOMで内覧させてもらってから再度こちらに来て…地域にこういう人がいてくれると心強いですね。
地域の人に開かれたコミュニティの場を作りたいとずっと思っていたので、ここで実現できるようにします」

と、新たな住人となる、森さん。

「自分が片付けた場所で新たなことがスタートするというのは、ある意味僕の理想です。
片づけるだけの業者さんもいますが、そこから新たな入居者さんを決めたり何かを生み出すことは、一つのとこでは難しいです。
しかし今回はSNSを通じて移住者が来ることになり、新たな地域活性につながれば、面白いモデルケースになるんのではないでしょうか。
自分で思っていた以上に話がとんとん拍子に進んで、正直びっくりしました」

と、山田さん。

 

そして、山田さんのもう一つの計画も、進行中です。
場所は『よろず屋』の裏のスペース。
カフェスペースを設ける為、店舗の一角を改装し、現在営業許可を申請中です。

「妻がお菓子づくりをしているので、カフェやパーラーのような展開をしていくのも良いですし、夜、飲食店やBARなどを営業したいけど物件が見つからないっていう話も聞きます。
チャレンジショップとして、きっかけの場所になれば面白いと思います。
若い人たちの仕事を生み出す場になっていけば、町から出た人が帰ってくるきっかけになったり、よその方が移住してくるきっかけになったり。
そういった形で、いずれはこの商店街を復活して、地元の方に喜んでもらって、若い人たちが町の中にいられるようなまちづくりをしていきたいと考えています」

と、山田さん。

南伊勢町に行ったら、ちょっと覗いてみませんか!?
懐かしい思い出の品に出会えるかもしれません。
SNSでも発信中!