FM三重「ウィークエンドカフェ」2022年7月23日放送

松阪よいほホール。
ここは伊勢街道の宿場町として古くから栄えてきた場所です。
創業100年を超える老舗の店がたくさんあり、松阪が商いの町として発展してきたことがよくわかります。
今回は『駄菓子のあいや』のご主人、吉田正博さんがお客さまです。

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業は大正5年 昔ながらの方法で駄菓子を作っている

確かな証拠はありませんが伝え聞いているのは、大正5年ですので、百何年になります。
駄菓子というか、こういうお菓子しか作っていませんでした。
私で三代目になるので、祖父が他所で修行をしてここでお店を開いたときのお菓子が今もあります。
文化遺産的なところもありますが、昔ながらの方法で作り続けているという感じですかね。
年配の方は、最初に来たときに発するのが「懐かしい」という言葉ですね。
いろいろ作っていましたが、昔から『飴屋さん』というイメージが強いみたいです。
うちの場合は季節感がないんですよ。
一年中通して同じものを置いているというか。
ですから売上も夏と冬では若干差が出てきます。
季節感を出せていないというのがデメリットですね。
飴と麦焦がしを使ったお菓子が、ウチのメインとなっています。
3点ほどありますが、それを目的に来てくださるお客様もいます。
感覚的にいうと、水飴と砂糖と麦焦がし…非常にシンプルなもので作っているのが特徴ですね。

 

くからずっと来てくれるお客様が多い

継ごうというのではなく、なんとなく。
小さな頃から父と祖父が作り続けていたのを見ていたので、作り続けることに関しては、違和感はありませんでした。
だから敢えてがんばって「継ごう!」という気持ちではなく、自然に継いで、作らせてもらっています。
四、五十くらいの女性がお店に来ていくつか買われたのですが、高校生の時から来ていて、嫁がれたのですが、久しぶりに実家に帰ってきて懐かしくて寄ったと仰っていました。
そういう形で、中高生の方でも時々来ていただいてもいます。
季節によって
季節によって、雨の日など、湿気の多い日だと粘ってくるんですね。
今の時期は湿気が高いので、飴を作るのは気を使います。
基本的に、ウチの場合は冬のほうが作りやすいものが多いですね。

 

ながらの方法、特殊なものは使わず昔ながらの味を保っている

昔ながらの方法というか、特殊なものは使いません。
もちろん合成甘味料は使っていません。
すぐに手に入るもので、単純に作り上げていく…昔の駄菓子は、そういう感覚で作られたものが多いと思います。
混ぜものをしないと、甘さがスッキリしているんですよ。
シンプルで、飽きの来ない味だと思います。

あまりないですが、形の上で変化をつけたりということはあります。
目を引くという意味で、気をつけている部分があります。
単純な飴でも、形を変えてみなさんの気を引いてみたりというのも、実はやっています。
麦粉もあまりパッとしませんが、麦粉を水飴や砂糖で固めた『養命糖』は人気があります。
飴に落花生を入れたものは、一気に10個とか買っていく方がいます。
ず〜っと食べているんちゃうかな。
好きな人がいますね。
それからニッキ系。
ニッキ系しか買わないというお客様もいます。
『きなこ棒』も、中はなんですかと聞かれるお客さんがいます。
答えようがないんですけど。
きなこを固めただけなので…きなこですよ、と答えています。

 

度やめたらもう一度やるのはとても大変、ずっと作り続ける

このままずっと続けていきたいですね、できる限り。
菓子工業組合というのがあるんですけど、いっときに比べて組合員の数が減ってきています。
昔は和菓子をやっていたのに、洋菓子に転向した方もいます。
消費者ニーズを考えると洋菓子のほうが多いのかな、と感じます。
我々の感覚的ですけどね。
数字を掴んでいないんですけど、そんな風に感じます。
たぶん、どんどんそっちの方にシフトしてしまう。
そうするとこういうのがなくなってしまう、となるのかなと。
生活できなくなってしまうのも困りますけど、一回なくなってしまうと、次にもう一度作るって、なかなかできないですよね。
文化的なもの、何でもそうなんですけど。
そうならないためには、細々でも続けていくほうが良いのかな、と考えています。