FM三重「ウィークエンドカフェ」2022年9月10日放送

伊勢 猿田彦神社から牛谷坂をゆっくりと歩く。
緩い坂道を上ったら、細い路地へと入る。
今回は『歴史資料館 喜楽家秘密基地』の館長、親父猫こと中野玲さんがお客様です。
資料館にはミニカーやブリキの猫のおもちゃ、カメラなどが並んでいます。

ているだけで楽しい気分になる。古いものよさを伝えたい

僕は昭和30年生まれなので、僕の生まれた年にあるものを中心に集めていtました。
ミニカーだけでは集まらないので、ちょこちょこと面白いものを集めてきて、止まらずに江戸時代まで行っちゃいました。
江戸時代から昭和30年代までの面白いものをコレクションしています。
その時代時代がわかりますね。
自分が生まれた年にどんなものがあったとか、人から話を聞いたり映像でしか見たことがないんですけど、物を見てしまうと楽しくて。
車にしても本当にブリキの塊…本当に『車』という感じだし、カメラにしてもいろいろあるのですが、手にとって見られるのが楽しいんですね。
見ているわけでワクワクしてくる。
今現在のものはボタン一つ押せば勝手に動いてしまいますが、すべて手動なんです。
それが楽しいですね。
いろいろな種類の猫がいて、すべて全部ぜんまい仕掛けで走り出したり転げ回ったりするんですね。
本当に猫のような仕草をするので、ブリキの猫は楽しいです。
ブリキだから…ブリキは単なる鉄板なんですけど、温かみがあり、冷たさがあり、これがひとつ置いてあるだけで暖かく見える…そんな不思議な魅力があるんですね。

 

リーマーケットで知り合った仲間から博物館を作ったらと言われた

コレクションが始まったのは今から50年ほど前。
おじさんからもらったミニカーがスタートでした。
猫に関わらず、カメラにしても、みなさん古いものの良さをわかっているようでわかっていない。
こんなに良いものでこんなに楽しいものだから、みんなに知ってほしい。
こんなにおもしろいのがあったんだよ、というのを知ってほしいので、僕はこういうのを作りました。
僕はフリーマーケットが好きで、しょっちゅう行っています。
そこでお友だちができて、お互い持っているものの情報交換をしていくうちに、「じゃあ、博物館を作ったら?」と言われたので作ったわけです。
自分が楽しかったら人にも楽しんでほしいし、人にも良いものを見てほしいと。
こんだけ良いものをみんなに広めたいというのが、博物館を作った理由ですね。
最初に来た人は、沈黙です。
ほとんどただ沈黙です。
来るまでは「看板を付けたほうが良いよ」とか言ってくれるんですけど、中に入って戸を開けた途端に、みなさん沈黙です。
黙ってジ〜っと端から端まで見ています。
それから動き出すというか。
玩具にしても電池を入れて動くものは好きではないので、全部電池無しで、手で巻けば動くものです。
カメラもそうです。
その楽しさをみんなにもっと知ってもらいたいので、みんなに来てほしいんです。

 

野さんがイメージする昭和の時代の街並みが見える

資料館の部屋の中には2つのジオラマがあります。
古き良き懐かしい時代が蘇ってきます。
手前の方のが『神社のある町』ということなので、神社を真ん中にドカンと置いて、昭和の雰囲気を出しました。
露天商がいたり、古い車が走っていて、古い電車も走っている。
その奥の方に昭和の町をイメージして、古い映画館があったり銭湯があったり…という感じです。
もともと伊勢市内にも映画館やお風呂屋さんがあったので、それをイメージして、自分の中のイメージで作った町なんです。
神社では祭の音も出ますし、電車が発車する音、警笛の音なども出るようにしました。
昭和36年に富山の薬屋さんが持ってきてくれていた薬、中身入りも知り合いから送ってもらい、こちらに展示しています。
中身が入っているのが面白いかな、と。
さらに面白いのがこちら。
富山の薬売り屋さんが来たときに、子どもたちにサービスしてくれた紙風船もあります。
いろいろな方が連絡をくれて、古い8ミリビデオが出てきたけどいる?とか。
こんなん出てきたけど捨てる?持っていく?とか。
カメラでもそうですけど、壊れていてもある程度展示できるくらいには綺麗にできるので、面白いかな、と。
捨てる神あれば拾う神もあり、ということで、捨てちゃったら終わりですが、もういっぺん拾ってもいいんじゃにかと。
ある程度再生することができたら、それが生き返って、良いかな、と。

 

んな人が使っていたのかなと思うとまた楽しくなる

古いものは江戸時代のお金。おじいさんが住んでいた家の蔵で見つけました。
机の上には修理中のカメラ。
ひとつ一つ丁寧に直していきます。
どんな人が使っていたんだろう、どこで使われていたんだろう、とかわかってくると、また楽しいんですね。
その地域地域があるので、調べていき、どこどこで作られたものというのまでわかってくると、これはここでこういう人たちが使っていたとわかると、また楽しいんですね。
夢があるというか、ロマンがあるというか。
ここにあるカメラも80年くらい前のものなんですが、いじってるだけ、見ているだけでその時代が蘇ってきます。
こんな時代にこんなカメラがあったんだ、と。
じゃあ、これより古いカメラってどんなんだろうとか、どんどん広がっていくと恐ろしいことになります。
それをみんなに広げておくと、みんながまた情報をくれるので、また楽しいと。
この部屋に入ると、その懐かしい時代にタイムスリップしたような気分になる、と言ってくれると嬉しいですね。
ガラクタやん、と言われればそうですけど、ガラクタにも夢があるんですね。

壊れていてもいいんです。
壊れたものは直したら良いんです。
それが僕のモットーですね。
だから壊れているものが大好きなんです。