FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年9月17日放送

四日市諏訪新道(しんどう)の商店街に『弥な屋』というお店があります。
ここは祭り好きの店主、柳川平和さんが21年前にオープンしたお店。
祭り半纏や和小物などの専門店として地域のお祭りを支えています。
たくさんの祭りを見てきた柳川さん。半纏のこともよく知っています。
相談に来る人の要望を聞き、その祭りにあった半纏をデザインします。

装を買うところがなかったから専門店を開いた

昔からお祭りが好き。
地元が川越町で『石取祭』というのがあります。
その石取祭が好きで、子どもの頃から見て育ちました。
それから30〜40年くらい前から、浅草の三社祭にも参加させていただいて、ほぼずっとやっているという感じです。
店をやる前は毎週のように東京に通い、神輿を担いでいました。
『四日市一番街商店街』という組合の事務局があります。
物販のお店が四五十軒ある、三重県で一番大きな商店街で、そのお店が集まっているのが『四日市一番街商店街振興組合』。
そこの事務局にずっといました。
その頃は自分が好きで、東京のお祭りに毎月行っていたものですから、衣装を買うんですけど、買うところがないんですよ、全然。
東京にはお祭りの衣装屋さんがあるので、上京したときに買っていました。
こちらにも石取祭とかが四日市とか桑名とかありますけど、その中で、みなさんどこで衣装を買っているのかと思いました。
そこで、そんな衣装を扱うお店をはじめたらみなさんが喜んでくれると思い、店をはじめました。

 

ィスカッションを繰り返しながら色、形など希望に沿った半纏を作る

半纏なんかはだいたい半年前から。
お祭りが終わったらすぐに半纏を作られるところは、どんな感じにしようかという相談があり、ある程度柄などをデザインさせていただいて、見ていただき、ディスカッションを何度も繰り返して、最終的に出来上がるという感じですね。
一番早い人は、お夏理が終わったらすぐに来られますね。
例えば四日市のお神輿の絵柄もずっと変わらないですね。
縦縞の柄なんですけどね。
それも考えたんですよ。
やはりあちこちのお祭りに行って半纏も見ていますので、太陽を入れたいとか、えべっさんを入れたいとか、それをお聞きして、どうデザインにするかというのが醍醐味というか、面白いところです。
作りたいと言っている役員さんとか、使用する方の好みですよね。
ある町会さんの半纏を作らせていただいたとき、グレーを出したいと言われたました。
その色がなかなか口頭でも伝わらないし、色見本を見てもわからないもんですから、一度気に入っている鼠色を持ってきてと言ったら、靴下を持ってきました。
この色に極力近づけてほしいという要望でした。
その色に染めるときに、合わせるために染屋さんが何遍もテストをして、染め上げてくるんですよ。
だからお客様は簡単に言われますが、それを実現するために何度もテストしているということが、お客さまにはなかなか伝わらないんですね。
そんな苦労があります。

 

なさんの反響が良くて1年で終わるはずが今年で9回目になるジャズフェスティバル

最初は文化会館ができて20周年の記念事業でした。
1年の中で音楽と、出版物と、ミュージカル、子ども向けのイベントなど4つくらい柱がありました。
その中の音楽が最初は『サルビア音楽祭』という名前でした。
街角コンサートというのを四日市駅前でずっとやってきたものですから、お声がかかりました。
友だちを3人集めて、どうしようかと考えて。
『サルビア音楽祭』という何でも当てはまるようなつまらない名前の音楽祭にしちゃったら誰も来ないよ、なんてワーワー言っていました。
その中のひとりがあちこちで『ジャズストリート』とかやっていました。
四日市は港があるし、港といえばジャズがつきものですから、『四日市ジャフェスティバル』をやったらどうだと提案がありました。
それで決まって、20周年の記念事業となりました。
記念事業なので1年限りの1回だけ。
それで終わりのはずでしたが、お客さんの反響がとても大きく、市役所や会館に「もう一度やってほしい」との要望が多く寄せられました。
メールとか投書とか。
もう打ち上げして解散、というときに、「こんな声があるよ、どうする?」と言われてじゃあ来年もやるか、と。
それからずーっと続いています。

 

どもは大人に憧れ、大人は長老にあこがれる 縦の関係に絆が生まれる

お祭りのときに着る衣装は、どういう体型の人が着ても格好いいですね。
子どもたちは子どもたちの会もあるし、青年会、青年の上の会とか、その上の先輩方の衣装も格好いいです。
浴衣を着て、その上に羽織を着るとかね。
帽子をかぶってとか。
もう、それぞれがそれぞれの一番良い格好をするんです。。
子どもたちは大きくなって青年の格好をしたいと思うし、青年の人たちは長老のように羽織りたいな、なんて思うでしょうし。
先輩を見習うというか憧れというか、それが祭りの縦の関係で良いと思います。
横は横で友だち同士で、誘い合って行くとか。
そこに絆ができて、地域のまとまりができる…それが祭りの良さだと思います。
たとえば、石取祭をやっている人は、祭の期間は休める会社じゃないと行けないとか、会社の理解が大事ですね。
そういう理解のある会社にしか行けないよ、という方もいます。
東京などに住んでいても、祭の期間中は帰ってくる人もいます。
祭りは3日ありますが、それだけでなく前後2日で一週間休むという方も見えます。
祭りは当日だけではなく、掃除や準備もあります。
祭りは晴れの舞台ですが、その影にたくさん仕事があって、それも祭りの一環なんです。

若い人を育てるというか、見守って次の世代につないでいく、橋渡しを私ができればと思います。