ごろんと和室で横になる。
畳の部屋はいいなと思う瞬間です。
今回は津市にある田中畳店の田中浩司さんがお客様。
畳職人になって40年が過ぎようとしています。
修
業を10年して30年前に自分の店を開いた
親が長野県と新潟県で畳関係の仕事をしていて、それで私は高校卒業してからどうするかを考えました。
畳の学校があると、叔父が勧めてきたので、面白いと思いそこへ行きました。
同じ仕事をするならと地元に戻って、同じ畳屋さんで10年ほど修業をしました。
それから自分の店を開店しました。
そこは普通の畳の学校とは違って、特殊な畳で、飾り物とか衝立、形が変わった六角形や丸い畳…そういった変わった畳を教えてくれるところでした。
そこで勉強させてもらって。
面白かったので、あとは自分で創意工夫して、ものを作り、今に至っています。
六
角形や丸の畳など要望に合わせて作っている
『特殊畳技能士』の資格を持ったので、他の人にはできないものを作ろうとチャレンジしています。
それが楽しいですね。
花瓶の下に敷く台を作って欲しいとの依頼がありました。
形が変わっているのが良いとのことで、六角形のものを作りました。
そうしたらそのお客さんに、「おかげさまで賞を取ることができました」と喜んでもらえました。
作りがいがありました。
他には畳の縁でカバンなども作りました。
ただ敷くための畳ではなく、いろいろなものを作ることができるということで、最近ちょっと畳離れが進んでいますが、こういうのを見ていただいたりして、見直してほしいと思っています。
故郷がブラジルだという三重大学の学生さんが、畳を持って帰りたいということで、どうしいたらよいかと相談されました。
実家に畳があるということで、ブラジルにも畳があると知りました。
家の畳がぼろぼろになってしまったので、なにか変わりがないかと。
しかし畳は持っていけないので、和敷という形で、持っていけるのなら自分で敷いたら良いのでは、ということで渡したこともあります。
変わった畳を作ってくれということも多々あります。
自分が長くやっているものと、そこそこどんな形でもできますので、お客さんの要望に合わせて作らせてもらっています。
昔
ながらの畳は健康にいい
ここ20年くらいで、畳の需要が徐々に減ってきていますね。
洋間がほとんどになってきて。
最近は『化学おもて』というのを使って、半畳の畳をちぐはぐに並べて綺麗に見せるのが主流になってきています。
私から言わせていただくと、昔ながらの畳は健康に良いものです。
板間だと寝ると身体が痛いでしょう。
畳にしたら寝ても良いし、座っても良いし、気分も良いし。
腰が痛いとか言う人は、ベッドのクッションが合わなかったりするので、『畳ベッド』という、ベッドの上に畳を敷く、腰に良い商品もあります。
畳に使う天然い草は、湿気を吸収して、乾燥してくると出して、部屋の空気を循環させてくれる、健康にも良いです。
それからリラックス効果。
い草の香りが森林浴のような効果を生み出します。
脳の活性にも良いなど、良い特性がたくさんあるので、それらを考えると、畳もまた徐々に増えてくるのではないかと思います。
神
社仏閣に収める畳をいつか作ってみたい
父親の職人としての姿は格好いい。
聖人 3年ほど前に海外に行っていて、日本の文化は良いものがあるということを、海外の生活を通して思うことがありました。
父がしている畳職人という文化を残していきたいと思い、帰国してから父に直接、畳職人になりたいということを伝えて、今に至ります。
手作業でのミリ単位の仕事というのは、とてもむずかしいですね。
ちょっとした狂いで畳が入らなくなってしまったりとか。
寸分の狂いが…大変です。
畳というのは一般家庭に入っているような長方形のもの以外にも、丸だったり六角形だったり、いろいろな形に作ることができるので、面白いな、と。
あとは神社などに納品というか寄贈するような高級な畳は、普通のものとは違います。
八重畳というのがあり、普通の畳を8枚重ねて作るという、特殊な畳です。
それがとてもおもしろくて、一番下の畳は普通の厚さなんですが、上の7枚はゴザに減りを縫い付けて柄を合わせていくんです。
それがとても難しくて。
重ねて徐々に形になっていくとき、揃っているととても気持ち良いです。
父は何度か作っていたことがあるので、僕もいつかそういうのを作ってみたいと思っています。
浩司 後世につないでいきたいと思っています。
息子が継いでくれると知り、本当に良かったと思いました。