FM三重『ウィークエンドカフェ』2022年12月31日放送

志摩市志摩町和具。海が見える高台に観音堂があります。
今回は『示現山 和具観音堂を守る会』の山下數奈さんがお客様。
この場所に深い縁を感じ、会の活動が始まりました。

年の年末、お堂が閉鎖されることを知り先輩に世話をすることを勧められた

昨年の年末に友人と宴会をしている中で、『和具観音堂』を年明けに閉めるという話を聞いて、やってみようと冗談交じりの話が先輩からありまして、お堂を見に行きました。
そのときにたまたま仏像を見せてもらいました。
閉めたら、ここに来るだけではなく、志摩の地から仏像が消えてしまうと知り、思わず『私、やります』と、手を挙げてしまいました。
この仏像をみなさんに見てもらおうと、今、進めている状態です。
この場所も、生きている意味、私が生きている人生の意味を考えることに際して、この観音堂との出会いというのが、私にとって大切なものになりました。
だからこそ故郷の人にも、この場所を知ってほしい、来てほしい、一緒に手を合わせたいという気持ちで、日々やっていこうと思っているところです。
閉めるという形で、自治会を通じてみなさんに連絡が行っていたもので、私が急に手を挙げましたが、ここに長年通っている信奉者の方たちがいらっしゃいます。
来ていただいて、本当に感謝をしていただきました。
そこで一緒に仏像を見て、二人で涙を流したりということもありました。
本当に地域に愛されている場所でありますし、そういう仏像であるので、守っていきたいと思っています。

 

きな仏像で柔和な表情が人々を癒してくれる

ここは昔、二十数体の仏像があったといわれています。
このお堂ができたのが鎌倉時代と聞いています。
今はもう、数体しか残っていませんが、国や県の重要文化財となっています。
特に国の重要文化財になっているのは、銅の仏像で『如来坐像』です。
奈良の東大寺と同じころの時代にできたそうで、その当時の銅製の仏像はとても珍しく、非常に重要性があるといわれています。
三重県の博物館『MieMu』で仏像展があったときも、一番前に陳列されていたそうです。
志摩市の中でも『有形文化財』はこれ一体だけで、あとは無形文化財となっています。
これが『秘仏』となっている形です。
他には2体ほど、県の重要文化財があります。
一体はここの御本尊でありまして、木造の『十一面観音』さん。
百数十cmという、非常に大きなもので、右手に錫杖を持っています。
これは奈良県の長谷寺さんのものと同じで、『長谷寺式』と呼ばれるものは、非常に少ないんですね。
もう一体は木でできた大きな頭の『仏塔』です。
見てもらうと、だいぶ朽ちているのがわかりますが、これも県の重要文化財になっています。
ここにある三体が重要文化財として、価値があると認められています。
もう一つ、大きな『薬師如来』さん。
これは指定は受けていないのですが、志摩町時代に文化財の認定を受けています。
これも非常に大きく、見ていただきたいです。
とても柔和な、優しい顔をしていて、この如来さんに救われた人がたくさんいると聞いています。

 

現山とは奇跡を起こす場所。人々が祈る場所として訪れた

もともとここは、お寺でもありましたが『祈祷場』、お祈りを捧げる場所でした。
自分の思いを仏さんに聞いてもらって、聞き届けてもらえる、という場所だったと聞いています。
海難事故があったときにみんなで祈るとか、子どもさんがいないご夫婦がここに通ってお願いして子どもができたとか、そんな奇跡がたくさん起こっていたと聞いています。
ちなみに『示現山』という意味は、『奇跡が起こる山』という意味です。
開廟したのが鎌倉時代と聞いていますた、そのときに付けられた名前が『示現山 観音堂』…いわゆる、『奇跡が起こるよ』山としての名前があったので、きっとこれまでたくさんの奇跡が起こったのだと聞いていますし、人にとっては偶然かもしれませんが、私たちにとっては奇跡のようなことがたくさんあったと、個々にいろいろな話を聞いていますので、きっと僕は、ここはパワースポットだと信じています。
志摩町は山が少ないところですが、ここは和具の中でも比較的高いところとなっています。
観音堂からは太平洋が見えますし、いわゆる大島・小島も見えます。
この仏像は海に向かって鎮座しており、長年に渡って、海の安全や大漁を守ってきたと聞いています。
それに向かって、ちょうど『北向地蔵』というのが見えるのですが、たくさん見える御本尊様を守っているという、面白い形になっています。
十一面観音さんや薬師如来さんが、このエリアの人たちを守る、その仏さんたちを地蔵さんたちが守る…そんな面白い構造になっているということを、前の世話人さんたちから訊かせてもらいました。

 

えられた役割を自分なりにやっていきたい

ご本尊さんである十一面観音の縁日が1月18日にございます。
600巻ほどある経典をひろげて読むという形なんですが、私もこれを受けて初めてします。
まだしたことがないので、そこで地域の安全祈願や大漁祈願を厄受けだとか、みんなの思いを持って、縁日を執り行いたいと思っています。
みなさんに見ていただき、手を合わせていただくことが、一番大切な縁日だと思っています。
ぜひ来ていただければと思います。
与えられたというか。
仏さんに、「お前、やれよ」と言われたような。
私はありがたいと思っています。
どこまでできるかわかりませんが、与えられた役割…人生と同じかもしれません。
与えられた役割を自分なりにやっていって。
いま、私は61歳ですが、とりあえず10年を目指します。
次の人が現れれば本当に嬉しいんですけど、まずは10年間を仏様に導かれながら、そういう場所を作りたいなと考くだけで
来ていただくだけで良いです。
見ていただいて、なにか感じてもらうものがあれば良いな、と考えています。

たくさんの人が来るのではなく、少しでも関わってくれる人がいれば、観音堂は形だけではなく、気持ちの上でもつながっていくと信じています。
毎月第一日曜日は仏像開帳の日です。
訪れるみなさんとの会話を楽しみにしています。