FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年2月11日放送

今回は『尾鷲市水産農林課 農林振興係』の大川健志さんと『尾鷲市農業支援地域おこし協力隊』の日下浩辰さんがお客様です。
尾鷲市が取り組む有機農業について大川さんにお話を伺います。
2月18日には全国で『DOHOスタイル』を実践している農業生産者が尾鷲に集まります。
『ファーマーズマルシェin 尾鷲』
こだわりの農法で作られたフルーツや野菜は、どんな味なのでしょうか

水省と尾鷲市の取り組みを合わせて有機農業に推進している

大川 農林水産省が、2050年までに有機農業の面積を増やしていくという、『みどりの食料システム戦略』というのを打ち出しました。
尾鷲市もサスティナブルシティの実現に向けて、『ゼロ・カーボンシティ宣言』を打ち出しまして、そこで尾鷲市の取り組みと農林水産省の取り組みが合致したということで、尾鷲市も有機農業の推進に取り組んでいるというところが経緯です。
いま、この有機農業の具体的な取り組みとして、有機農業を推進していくための計画づくりを現在行っています。
その中で具体的に取り組んでいるのが、有機農業に詳しい専門家に実際に尾鷲市に来ていただいて、現地の指導や講習、講演会をしていただきます。
あとはスマート農業の取り組みというところで、ドローンを使った散布を行います。
プラズマ殺菌による、柑橘類の保管にも、有機農業の推進として取り組んでいるところです。

 

法さんを紹介されて『DOHOスタイル』農法で育てている

日下 僕の地域おこし協力隊としてのミッションは、天満浦の耕作放棄地になっている甘夏畑の再生です。
自然に極力逆らわない『DOHOスタイル』と呼ばれる道法正徳さんの農法で甘夏を作っています。

協力隊に着任したときに何をしたらよいか、周りの県の農林事務所であったり普及センターで話している中で、「一度、道法さんを紹介するよ」と言われて。
道法さんて誰だろう、というところからでした。
簡単に言うと、植物が本来持っている力を最大限に引き出すための農法という言葉が、一番ピッタリかなと思っています。
枝を垂直にしてあげて、葉っぱを縛ってあげる。
普通に見たらいじめていると思うじゃないですか。
その、いじめている農法として成功しているのは、この『DOHOスタイル』以外にもいろいろやっていらっしゃると思います。
トマトとかもそうですよね。
水を与えないことによって糖度が上がったり。
一見いじめているように見えて、実は植物的には心地よい状況が、そういう姿勢なのではと。
栽培する上で、どういう姿勢が一番、植物によって心地よく、効率よく成長していけるかということろを突き詰めていったのが『DOHOスタイル』なんですね。
できる限り肥料を抑え、農薬を抑え、植物の力だけで美味しいものをいける…そのサポートをしてあげるための位置づけが、人なのかなと。
本当にそんなんで植物が元気になるの?…と思いながら、2年やってきましたが、本当に植物が元気になったんですね。
手間暇もだいぶ抑えられて、植物も元気になっているというのが、今のところの結果です。
最終的にどうなっていくかは、これからの結果次第だと思いますが、スタートしたときの弱った木からすると、本当に見違えるくらい元気になりました。
この事実だけは本当なので、凄さを肌で感じています。

 

かん畑の風景を守っていきたい。その景色を作っていくには人の力が必要

日下 尾鷲の歴史を守っていきたいな、と。
歴史を守るには、景観も守らないといけません。
みかん畑のある石垣のあるような風景を、僕はいままで和歌山などでも見てきましたが、綺麗だなと、ただ単に見ていました。
それを管理している人が見えませんでした。
自分が実際に畑に入って初めて、綺麗な景観を作っているのが人間だったということがわかりました。
美しい景観を守るというのは、自然に対して人の力が必要なんだということがとてもわかってきましたので、そういう意味で歴史を守りたいし景観を守りたいのもあります。
ただ、ずっとやってきたことだけをやっていくというより、新しいことにチャレンジしていくことで、農業などにチャレンジする若い人が、より入りやすいようにしていけたら良いかな、と思っています。
国も今、食料の自給率を上げようと努力していますが、地方に行くと就農者が減っているという、とても厳しい現実があります。
ですから農業にも未来はあるよ、楽しいよ、ということを伝えていけるように、自分として成功することで、若い人が『成功した人の後を見て農業をやってみたいな』と思われる人になるのが、僕の夢です。

 

待農業者の人が作った農作物がおわせマルシェで購入できる

大川 有機農法で栽培した農作物を実際にみなさんに味わってほしいと思って企画したのが、2月18日に『おわせマルシェ』で開催される『ファーマーズマルシェin 尾鷲』です。
埼玉、山梨、長野、石川、富山、愛知、岡山、愛媛、広島の9県から、約10名の有機農業者を招待して、マルシェを開催します。
この招待農業者が取り扱っている農作物も、キウイ、リンゴ、ネーブル、里芋などさまざまです。
全国で『DOHOスタイル』を実践されている農業者とお会いするのは初めてです。
柑橘を取り扱っている農家さんもいるので、尾鷲市の農業とどう結びつけることができるかな、ということについてもお話を伺いたいと思っています。
農業に触れてみて、農業体験もいくつかさせていただきましたが、思った以上に肉体的にも精神的にも大変でした。
これから農業についてもっと深く勉強していきたいと感じています。
尾鷲市で一大農業イベントを開催するのは、初めてだと思います。
実際に有機農業をしている農家さんの作物を口にしてみるのも楽しみですし、どういう背景で有機農業に取り組み始めたのか、また、有機農業する上での大変なことなども実際に会ってお聞きしたいので、そのあたりもとても楽しみです。

日下 生き物を育てるのは難しいなと思いますが、やった分だけ応えてくれるという嬉しさも、とても感じています。