FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年2月18日放送

大紀町錦。
ぶり漁が盛んなこの地域は、日本書記にも名前が記され、古い歴史のある町です。
今回は、錦の歴史や文化を掘り下げ活動をする『戸畔の会(とべのかい)』代表の西村元美さんがお客様です。

畔の会の『戸畔』とは? 魚の道を歩き始めた

『戸畔』というのは『錦戸畔』というところから取っていまして、古事記・日本書紀に出てくる『神武東征』といいまして、初代の天皇である神武天皇が九州からこちらに来たときに上陸する地を求めて来ました。
上陸するのに『錦戸畔』を誅しました。
誅する、いわゆる『滅ぼして』、奈良の方まで上がっていったという話があります。
もともと錦には神武東征…つまり上陸したという言い伝えがありました。
ということは迎え撃ったのはおそらく、私たちの祖先ではないか、ということで、『錦戸畔』の『戸畔の会』としました。
この活動は、神武天皇が何の道を通っていったのか、という疑問からはじまりました。
『戸畔の会』ができたのは地域おこしみたいな感じでしたが、じゃあどこにポイントを持っていって活動するかを考えたときに、他にはないほど古い歴史があるじゃないかということで、そこを掘り下げていこうと。
そこで神武天皇がたどった道を探してみようと。
そうしたら、なんと、昔から魚を大和の方に運んでいた道がつながるということで、そこをはじめたのが、活動の始まりです。

 

性でも興味を持ってもらえるように工夫した。おいしいものを集めた

錦から高見峠を経て都、奈良県橿原へ魚を運んだ100kmの道。
魚(いよ)の道と呼ばれるこの道を仲間と一緒に歩き始めました。

歴史の会として、他の地区の方たちとも交流を持たせていただいていますが、だいたいどのグループも男性です。
歴史のことを女の人が調べているということが珍しがられますね。
要するに、女の人にも理解できる歴史でなければ。
学者など一部の人だけがわかる歴史じゃ、意味ないでしょう。
地域の人が知っている歴史にならなければ意味がないと思っていたので、女である私たちがジャンジャン乗り込んでいってはじめました。
活動の中で、私たちの特色を出そうということで、行った地区のお弁当を注文するときに、その地区の美味しいものやおやつを出そうと。
そこの地区に伝わるお菓子をおやつに出すことにしました。
ですから、その地区の美味しいものを探すんですよ。
地元の人に聞いたりして。
「こういうのが美味しいよ」と教えてもらうと、そこに行って団子やお餅を入手して、それをみなさんのおやつに出すと。
そうすると、みなさん感動されて、美味しい!と。
やっぱり感動するのは女性ですね。
とても嬉しいです。
ご夫婦で参加している高齢の方が多いので、女性の方と奥様がとても仲良くなっちゃって、「今度女子会で歩きましょうよ」なんて話になるくらい仲良くなった人もいます。
それがとても楽しかったですし、受付のときに「お久しぶり!」って、友だちのようになれたことが嬉しかったですね。

 

年前に聞いたときは実現できるのかなと思った 今は充実感でいっぱい

代表の西村さんの取り組みを近くで見てきた、一緒に活動する宮島美栄さん

最初に壮大な予定を聞きました。
錦はすごい場所なので、それを継承する会を立ち上げて、年に1回ずつ歩いていって。
最終的に2022年に橿原に行って、ブリを奉納するのよ!…って。
はあ?
8年後なんて、そんな先の計画大丈夫なの…と、思いました。
でも毎年1年1年、参加者さんも増えて、達成できて、本当にすごいなと思いましたね。
本当に面白かったです。
私も錦で生まれましたが、みなさんもそうだと思いますが、近所の方があまり知らないと思うんですよ。
まわりのことも全然知りませんでしたが、この会に参加して、実際に歩いたので。
車で行っちゃうとわかりませんが、歩いたことで本当によくわかりました。
素晴らしい神社や遺跡がたくさんあって、新たな発見がいっぱいで、嬉しかったというか面白かったですね。

 

の道をトレイルランのように歩き走りをしたいという人たちが出てきた

実際、この未知を歩いてみたいと。
トレランではありませんが、歩き走りみたいなグループの方が申し出てくれて、今、コースがわかるようにキチンとしている状態です。
4月2日を目指しています。
私たちは3泊4日かかったのに、歩く人は1日で歩くらしいです!
すごいなと思いました。
いま、その方たちと連絡を取り合っています。
「ちょうど100kmならその道を歩いてみたい」という方がどんどん増えてきたら、もっと知っていただけてありがたいと思います。
文化庁に女性をお願いしてやっている、大紀町全体の案内人をつくるということで、出しています。
今年は瀧原地区、瀧原宮を中心にやっていこうかなと思っていますが、5年計画ですので、他の地区も全部網羅します。
大紀町に来ていただいたときに、ここの案内はこの人に行ってもらいます…ということができるような状態にしていきたいと思います。
去年は錦のことをしたのですが、今まで知らなかったことがどんどん掘り起こされたので、他の地域も同じようになると思います。
そういう活動を続けて、いずれは大紀町の案内人の会がシステム化されていくようになっていけたらと思っています。

何も世界に行かなくても、地元にもたくさんあるということがわかりました。
活動を始めたら、楽しいことばっかり!
「これすごくない!?」と、楽しいと思えることが原動力ですね。