三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2023年3月5日

2019年、全国で6番目に認定された三重県初のフェアトレードタウン『いなべフェアトレードタウン』。
いなべ市の地域活性化とフェアトレードの普及活動を行っております。
継続的な活動を維持、発展させる為に、当サイト内「賛助会員募集」ページにて、常時賛助会員様を募集しております。
是非お力添えをお願い致します。

みなさんは『フェアトレード』という言葉をご存知でしょうか?
『フェアトレード』とは、貧困のない公正な社会をつくることを目的に、途上国で生産された原材料や製品を適正な価格・方法で、買い取る取り引きのことです。

適正な価格で継続的に取り引きが行われことによって、生産者が安定した生活を送ることができるようになるなど、フェアトレードは、途上国の生産者・労働者の生活改善、自立などを支援する国際協力活動なのです。

 

そんなフェアトレードの普及活動をいなべ市で続けてきたのが、『いなべフェアトレードタウン』のみなさん。
これまでの活動が実り、2019年9月、いなべ市は、市民、企業、商店、行政が一体となってフェアトレードを推進している自治体として、全国でもまだ珍しい『フェアトレードタウン』に認定されました。

 

『いなべフェアトレードタウン』の会長、羽場典子さんに、グループを立ち上げた経緯をお聞きしました。

「名古屋と岐阜県垂井町がすでに『フェアトレードタウン』という活動をしていましたが、三重県では、まだそういった活動はしていませんでした。
いなべ市に住んでいる私が、ここでできたら良いな、『フェアトレード』という理念をみなさんに知ってもらえたら嬉しいな…との思いから始まりました」

 

「2012年にミャンマーへ行き、麻薬の代わりに蕎麦を栽培するというNPOに参加させてもらっときに、『フェアトレード』という言葉を初めて聞きました。
『フェアトレード』によって、農村の方たちを支援していくという取り組みがあるということを知りました」

 

作業スペースでは、『いなべフェアトレードタウン』メンバーのお二人が作業中でした。
左が副会長の山本たか代さん。
右が、岳野直美さんです。
『いなべフェアトレードタウン』は、現在、会員約50名 (*賛助会員を含む) で活動しています。

「実際に、仕入れなども私どもでしています。
いなべ市内には37店舗の協力店舗があり、商品をみなさんの所へ届くように、私たちが責任を持って担当させていただいています。
もちろん、各々のお店で、独自で仕入れしているところもあります」

と、羽場さん。

 

扱っている商品をご紹介。
インドネシアの『天日塩』、フィリピン・ネグロス島の生活応援である砂糖。
商品の裏側にはこの商品が作られている背景なども書かれています。

 

スリランカの胡椒、ペルーからはコーヒーバッグ。

「現在スリランカは国政が不安定で大変だそうです。
そういった国から商品を購入することも、応援に繋がると思います」

と、羽場さん。

 

このマークが『フェアトレード』の認証マークなっています
フェアトレード商品に付いているラベルですが、中にはラベルが付いていないフェアトレード商品もあるとのことです。

 

こちらはミャンマーのズドン村で採れた黒クルミ。

「黒クルミは珍しいですが、味もとても良いので、ぜひ手にとっていただきたいです。
今、ミャンマーは 内政事情が悪くて、この商品は、ケシ栽培の代わりに黒クルミを栽培することで農家の人たちが“自立して生活していけるように、と応援する意味で、私たちも仕入れています」

と、羽場さん。

 

「羽場さんから『フェアトレードの活動をしようと思うんだけど』という相談、話を聞きまして、そのときちょうど、私の夫がアジアに海外赴任してまして、アジアの子どもたちが学校に行かずに働いている姿を目の当たりにしていました。
ですから、『フェアトレード』の理念にとても共感したのが、活動を始めたきっかけです」

と岳野さん。

「『フェアトレード』という名前を耳にしたのは、30年ぐらい前なんですが、その頃は仕事も持っていたので、そんなに活動はできませんでした。
けれど海外でアジアに出かける機会は結構多かったですね」

と、山本さん。

 

「現在活動している中で難しいと感じるのは、同じ板チョコでも、ショッピングセンターで買うのと フェアトレードの商品の価格の差を説明することです。
私たちも現地のことも知って、学ばなければいけないので…それが上手く伝えきれていないというのが、難しいです」

と、山本さん。

 

この日。
フェアトレード商品を納品するというメンバーと一緒に訪ねたのは、いなべ内にある『にぎわいの森』内にある『イナベズ・ショプ』という、地元産品を中心に扱うセレクトショップでした。

 

「ウチではチョコレートやコーヒー、いろいろなフェアトレード商品をおいています。
もともと、地元産品を基本的に取り扱う店ですが、いなべ市は『SDG‘s未来都市』です。
国境とかは関係なくて、国際的な問題でもあるので、しっかりと対応しようという姿勢に共感・共鳴したので、それなら是非置かせてほしいということで」

 

「お客さんの反応も良いですね。
『フェアトレードタウン』として、ここのエリアだけは、外国の物を置いてるんですよ、という話をすると、感心されるお客様が多いです。
『いなべフェアトレードタウン』のみなさんの活動については、純粋に『国際貢献』という面はありますよね。
けれど番共感するのは『まちづくり』というところが加わっていて、フェアトレードに取り組むことで、まちが元気になっていく気がします。
僕たち自身もこうやって店に立っていて楽しいなと思えるんです」

と、『イナベズ・ショップ』を運営する『一般社団法人グリーンクリエイティブいなべ』の桑嶋 幹人さん。

「身近に出来る国際貢献ということで、お声掛けをして頂いているお店が多いので、本当にありがたいと思います」

と、岳野さん。

 

続いて訪れたのは『上木食堂』。
『上木食堂』は自然派農法、無農薬・無化学肥料にこだわる地元農家・寺園風さん(八風農園)が栽培する季節の野菜を中心に 地元産の食材を使った料理を、店主の松本耕太さんが調理し、提供しています。

 

「こちらでは最初の頃から『フェアトレード』商品をおいてもらっていますが、何より、『ローカルフェアトレード』という概念にとてもピッタリだと思い、私は最初から応援していました。
『ローカルフェアトレード』とは『地産地消』とも言えるのです。
が、もう1つ深く捉えると、寺園風くん、いなべ市の中で農産物を作り、そして、松本くんの上木食堂で料理になって、消費者の方に提供される。
地域の中に色んな生産者がいらっしゃり、こうやって小規模店舗で働いている方がいて、消費者がいらっしゃる。
地域の中で循環するような形のサイクルがうまくできていて、地域の中でのフェアトレードという感じになっています」

と、羽場さん。

松本さんは『ローカルフェアトレード』の考え方を狙っていたのでしょうか?

「いや(笑)。
全くそういう形はありませんでした。
このお店の理念として、野菜にこだわっていたところ、たまたま6年後にこういう形で、『ローカルフェアトレード』というコンセプトに合致したのだと思います」

と、松本さん。

「こちらとしては、よくぞ来てくれました~!という感じなんですよ」

と、羽場さん。

 

「私も今、お仕事で学校に行くことがあり、子どもたちにフェアトレードのチョコレートを使ったチョコレート教室を開いたり、本の読み聞かせをしたりして、『フェアトレード』という意識を広めています。
それぞれのやり方で、『こういうふうにすればもっとこの町よくなるよね』『それなら、私はこういう形で』と、『フェアトレード』というキーワードを軸にして参加していけば、いなべ市がもっと素敵なまちになっていくんじゃないかなとワクワクしています」

と、山本さん。

地元の生産者も、そして、海の向こうの生産者も大切にしたい。
フェアトレードの理念をキーワードに取り組む『まちづくり』。
『いなべフェアトレードタウン』のみなさんは、次の世代に向けても発信しています。