FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年3月18日放送

東員町 長深。
ここは七世・松本幸四郎丈誕生の地。
平成6年に『松の会』が結成され、翌年から初夏になるとこども歌舞伎が上演されています。
今回は、『東員町教育委員会 社会教育課』の仲田大介さんに、こども歌舞伎のお話を伺います。

名の吉良先生から25年前に指導をしてもらい、こども歌舞伎が始まった

平成7年の『松の会』設立から翌年の6月に、桑名市にお住まいの元歌舞伎役者さんの吉良史郎先生がお見えになったもので、その方の指導の元、『こども歌舞伎』を結成しました。
東員町総合文化センターのひばりホールで稽古を開始し、それ以降、毎週金曜日に稽古を行っています。
歌舞伎の名優の七世松本幸四郎丈の生誕の地であるということもあり、東員町の文化を全面的に出していくということで、こういった歌舞伎の世界を地域のみなさんに、東員町の一つの目玉として、続けられてこられてと思っています。
団員は高校生までということもありまして、卒団した生徒もいますが、現在は計8名で稽古に励んでいます。
第15回公演を目前に、平成21年に指導者である吉良史郎先生がご逝去されました。
その時、『こども歌舞伎』の継続の危機が訪れたという話は、私も聞いています。
その後、『松の会』さんのご尽力にもよって、市川女子歌舞伎で活躍し、現在も歌舞伎の指導をされている、愛知県豊川市在住の、市川梅花先生にご指導いただけることとなり、稽古も公演も継続できることになりまして、現在に至っています。

 

業した子どもたちも特別出演として出ることができた

令和2年度に第25回を開催する予定でしたが、新型コロナの影響で2年続けて延期を余儀なくされました。
そして去年の6月、3年ぶりに開催することができました。
卒業した子どもたちも『特別出演』ということで出演して、公演を開催しました。
私どもも行政としても『松の会』としても、2年開催しないということもあり、子どもたちのモチベーションが下がらないかとの心配が非常にありました。
長い期間、どこにも発表する場がない、稽古も再開と中断の繰り返し。
そういった中で、我慢や挫折、さまざまな思いがあったのではと心配はしておりました。
公演後、松本幸四郎丈さんから、子どもたちにお言葉をいただきました。
その子どもたちの高揚感と達成感に満ち溢れた顔!
記念すべき25回目の公演は、出演者も裏で支える皆さんも思い出深いものとなりました。
この日のためにあったかのような、『こども歌舞伎』の歴史に刻まれたことと感じます。

 

演が近づくと練習はピリピリした感じになる

私もちょくちょく見学してはいます。
普通は「子どもやな〜」と思うのですが、いざ舞台に上がると、顔が引き締まるというか、顔が変わるのを感じます。
公演間近になってくると、稽古の場もピリピリピリピリ、緊張が走る状況で、私も声がかけられません。
毎年ですね。
1回公演を開催していますので、今年令和5年も予定ではありますが、6月11日を公演日として予定しています。
この文化センターの一角に『松ぽっくり博物館』というスペースがあります。
そこには松本幸四郎丈の系図や公演写真、台本などを展示しています。
ぜひ、お立ち寄りいただきたいと思っています。
台本などを見ると、これを子どもたちが暗記をして演技をするのかと驚きます。
すごいの一言しかないですね。

 

まざまな裏方さんに支えられて子供歌舞伎は成り立っている

子どもたちを見ると、自分たちもがんばらなきゃ!という勇気をもらえます。
言葉遣い、礼儀、姿勢ですね。
人に伝える姿勢と、人の話を聞く姿勢。
そういったものが、一本筋になって表れていますね。
『松の会』にしても、私たち社会教育課行政についても、団員の募集は随時行っています。
1回の公演につき2演目。
そのローテーションというか、裏方さんの支えがあってこその、東員町の『こども歌舞伎』が成り立っていると、私はそう感じています。
東員町には歌舞伎専門のメイクさんや衣装さんはいません。
したがって、義太夫さんについては滋賀県から、衣装さんについては愛知県から、大道具さんは静岡県から。
いろいろな地方の方から助けていただいて、多くのみなさんに支えられていると実感しています。

子どもたちが実際に見て、『僕もやりたい』『私もやりたい』という影響を与える文化は大変素晴らしいと思っています。
ぜひ参加していただきたいなと思っています。