三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2012年10月28日放送

東日本大震災で被害を受けた、真鯛の養殖業者の復興をかけた『伊勢まだいプロジェクト』!
三重県産の海藻類・柑橘類・伊勢茶をエサに添加した『伊勢まだい』には、生産者の熱い想いが込められています!

新しい三重のブランドづくりへの取り組みが行われてる、南伊勢町神前浦。
これまでの養殖マダイとは違う、新しい養殖マダイを育てているそうなんです!

今までの養殖マダイとの違いを、養殖マダイ生産者の掛橋徹也さんにうかがいました。

掛橋「マダイの餌に『海藻類』『柑橘類』『伊勢茶』を混ぜることによって、良い鯛を作ろうとしています」

そうなんです!
今回ご紹介するのは、三重の特産品を使ってマダイの地域ブランド化を目指す、『伊勢まだいプロジェクト』!


プロジェクトについて、三重県農林水産部水産資源課・竹内俊博副課長にうかがいました。

竹内「東日本大震災の津波の被害が約40億円。養殖業者のマダイにも大変な被害があり、復興のためにこのプロジェクトを立ち上げました」


三重県産の『海藻類』『柑橘類『伊勢茶』をエサに添加して育てた『伊勢まだい』。
現在、10人の生産者が養殖に取り組み、今年の10月から本格的な出荷が始まりました。


こちらが『伊勢まだい』を養殖する生け簀。
一つの生け簀になんと3000匹ほど育てられています。
シートが掛けられているのは、マダイの肌を焼けないようにするためだそうです。


エサは『海藻類』『柑橘類』『伊勢茶』の粉末をブレンドしたものを、魚やモイストペレットなどのエサの2%にあたる分量だけ混ぜます。

出来上がったエサは粒状になっており、このエサを、出荷を控えるマダイに14日間以上与えることが『伊勢まだい』のルール。
エサ以外は、従来の設備が使えるため、取り組みやすいのもポイントです。


一方こちらは、亀山市内のお茶畑。
ここで作られたお茶が、『伊勢まだい』のエサとなっているんです!

亀山茶農家協同組合の中川秋幸さんに、お話をうかがいました。

中川「以前から地元の養鶏業者さんに鶏のエサとして提供してきて、良い実績があったこともあり、マダイに使っても良いと思いました。マダイも美味しくなり、お茶も消費できるということで、両方にメリットがあるのも嬉しいですね」


そして10月5日、松阪市内にある華王殿で、新たな三重のブランド化をめざす『伊勢まだい』のキックオフ大会が、生産者や関係者を招いて盛大に開催されました。
『伊勢まだい』のお披露目、誕生の瞬間です。

会場には、鈴木英敬・三重県知事の姿も。

知事「このように『伊勢まだい』と決めてもらえると、非常にPRもしやすく、素晴らしいですね」


もちろん会場には、『伊勢まだい』を使った料理が、所狭しと並べられました。
和風あり、洋風あり、中華風ありと、まさに『伊勢まだい』のフルコース。
この日に合わせて、『伊勢まだい』のオリジナルのタグも制作しました。


今回のキックオフ大会には、相可高校調理クラブのみなさんも参加。
生徒が考案した『伊勢まだい』料理も並んでいました。
中でも、『鯛ソーセージ』は3年生の中井涼音さんが『平成24年度 三重県おさかな料理コンクール知事賞』を受賞した、注目の一品です。


こちらも全国シーフード料理コンクールで『水産庁長官賞』を受賞した『スタミナ鯛そうめん』です。
『伊勢まだい』の生産者の奥さんである、橋本かおりさんによる考案。
旦那さんの橋本純さんとともに、まさに家族で地域で支える新たなブランドです。


こちらは南伊勢町のみかん生産者、山出公一郎さん。

山出「みかんの一種であるセミノールをエサとして提供しています。『伊勢まだい』は柑橘類が入っているためか味がさっぱりしているので、子どもたちにも受け入れられそうですね」


南伊勢町の小山巧町長。

町長「東日本大震災で、養殖マダイの被害が本当に大きかったんですが、それをフードイノベーションで肉質や味などを全部改良し、さらにそれを高めて付加価値を付けてくということは、とても良い取り組みだと思います」

全国上位の生産量を誇る三重県の養殖マダイ。
それに三重県を代表する特産品を入れたエサを与えて育てる『伊勢まだい』。

しかし、美味しさを際立たせるのはエサだけではありません。
危機を乗り越え、荒波に立ち向かう生産者の熱い思い、それを支える家族や地域のみなさんの思い・・・それが、美味しさの秘密なのです。