『M子の地産地消レストラン』2012年10月

『その地でとれたものを、その地で食す』がコンセプトの、『地産地消レストランめぐり』。
今回は、一年に一日だけの『伊勢海老刺し網オーナー体験』に参加!
M子が指名した漁船『片山丸』の伊勢海老漁獲量は!?
獲れたて伊勢海老を味わうことはできるのか!?

前編はこちら

『伊勢海老刺し網オーナー制度』イベント当日の10月21日は、絶好の刺し網漁日和。
帽子を持って来なかったことが悔やまれるほどの、超快晴でした。


午前9時前、ゆるゆるとイベントスタート。
各漁船の漁師さんによる挨拶の後、1グループから一人の乗船希望者を漁船に乗せて、いざ網上げへ。

あ、書き忘れていましたが、今回参加の漁船は、

■俊司丸
■片山丸
■政丸
■大山丸

の、4隻4チーム。
1チームに付き、オーナーは20口。
つまり乗船できるのは、各漁船20人。
とはいえ、漁船には他の漁師さんも乗っているため、乗船できるのは1回で10人。
網上げを2回行い、合計20人が乗船し、網上げ作業を見学します。


網上げ作業中の『片山丸』。
カメラマンである夫が船に乗ったため、私は海上での様子はわからず・・・。

夫によると、

「すごく揺れた」
「尻餅をつきそうになった」

ということなので、乗らなくて良かった・・・と思っていたら、

「網を上げる時に千切れてしまった伊勢海老を、その場で食べさせてもらった」

なんだとう!?
それは究極の「獲れ獲れ!」ではありませんか!
憎い。


これがすべて巻き上げられた状態。
伊勢海老の他、いろいろな種類の魚や貝も巻き込まれています。


港へ帰ってきた『片山丸』から、伊勢海老や魚がギチギチに掛かった網を広げて、「網さばき体験」。
陸で待っていた参加者にとっては、これがメインイベントですね。


『網さばき』とは、網に絡まりまくった伊勢海老や魚を外す作業。
最初はまったく解けませんが、漁師さんやお母さんたちにコツを教えていただき、徐々に外せるように。

「ジグソーパズルみたいなもんやに(笑)」

と、お母さんが言うように、網の一本一本をじっくり丁寧に取り除いていくと、ビックリするほど大きな伊勢海老が姿を現します。

そして意外に子どもの方がスイスイ外せたりするんですよね。

「そこのボウズ!なんでそんなに上手いんじゃ! 漁師になれや!」

なんて声も聞こえてきたりして、ちょっと微笑ましかったり。
こういう体験から、未来の漁師さんが生まれてくれると良いなぁ。


見て下さい!この伊勢海老の大きさ!
これで平均サイズぐらいですかね。
もっと大きな伊勢海老ちゃんも、ワンサカいましたよ!


1回の「刺し網体験」で獲れた伊勢海老がこちら。
市場でよく見かける鮮魚用カゴにいっぱいいっぱい!


そして2回の漁で獲った伊勢海老の合計がこちら!
スゴイです!
まるで伊勢海老のプール!
参加者の誰かから、
「ここにダイブしてみたいわぁ!」なんて声も(笑)

ちなみに『片山丸』は、伊勢海老の漁獲高34kg!
堂々の1位でした!


この伊勢海老を20グループで分けるので、1グループあたり1.7kgとなります。
他にも、一緒に網にかかった魚なども分けてくれるんですよ!


こちらがM子家の取り分。

●伊勢海老・・・9尾
●ブダイ・・・1尾
●緋扇貝・・・5枚(これは必ずついてくる)
●サザエ・・・3個(漁協さんからの差し入れ)

『オーナー制度』一口15000円で、これは嬉しすぎます!

そしてここからが、お楽しみ!


伊勢海老を持ち込むと、和洲閣の女将さんをはじめとする『志摩いそぶえ会』のお母さんたちが、その場でお刺身にさばいてくれるのです。
ご覧ください、この神業のような手さばき!


お刺身の完成!
これをいただくために、ここまでの長い道のりを越えてきたのですよ!

身がプリップリで・・・月並みな表現になってしまいますが、甘い!
お醤油が必要ないほどです!
そしてさらにスゴイのが、ミソの新鮮さ!
ここまでキレイに形が見えるのは、初めてではないでしょうか。
そのままいただいてみると・・・あり得ないほど濃厚です。
あん肝など目じゃないくらい。
濃厚さとしてはウニに通じるのですが、もっと濃い旨味・・・正直、この旨味が天然のものとは思えないほどです。
ましてや、つい今しがたまで海中を泳いでいたなんて、とうてい信じられません。
・・・ということまで考えてしまうほどの、ミソでした。


本日のメイン!
ピッチピチに生きている伊勢海老をカンカンに熾った炭火で!
ドリームズ・カム・トゥルー!
伊勢海老好きなら誰でも見る夢が、今、叶います!


ミソ!
先程の濃い旨味が、熱せられたことでその成分が活性化!
そこにさらに、焼けた香ばしさが加わって、何と言ったら良いのか・・・天然『アメリケーヌソース』状態!
白身魚や貝関係にこれを塗ったら、いきなり一品料理になってしましますよ!


もちろん忘れてはならない、身!
プリンプリンじゃなくてブリンブリン。
殻を剥いている時点で、跳ね返るような弾力!
伊勢海老自体は5年前、三重県に越してきて以来、何かと縁のある食材・・・なんですが。
ここまで新鮮なものは初めて!
そりゃそうですよね、さっきまで海の中にいたのですから。
でも驚いたのはそこではなく、甘みと旨味が迸るほどなのにもかかわらず、海老特有の『匂い』を感じないのです。
今まで私は、あの匂いを「海老独特の香り」と認識していたわけですが、獲れたて活き活きな新鮮な海老には、その匂いすらなかったのです。
これは驚きでした。

なので、匂いに囚われることなく、伊勢海老の世界に没頭することが出来ました。

獲れたて伊勢海老の美味しさは、私の海老好き人生を覆すほどの破壊力でありました。
来年も是非、オーナーになりたいです!
そして、このイベントに参加する人が(あまり有名になっては困るけど)、少しずつ増えてくれると良いなあ、と思ったのが正直な感想です。

主催者の『志摩の国漁協和具青壮年部』のみなさんや、イベントの関係者のみなさんには大感謝です!

ご馳走様でした!



※補足情報

イベント参加者には『手こね寿司』『あおさ汁』も付いていました!
炭火焼BBQコンロでは、緋扇貝やサザエの他、持ち込み食材を焼いている姿も。
この「ぬるさ加減」が、三重県のイベントの身上で、私は大好きです!