FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年5月27日放送

伊賀市平田。
田園風景が広がるこの場所に色とりどりの花に包まれたコンフィチュールのお店『メリ樹(じゅ)』があります。
オープンは2014年。
店主である高濱みつ子さんが作ったお店です。
今回は、高濱江利さんと藤森真波さんにお話しを伺います。

望ヶ丘に畑だけがあり、その後移住。コンフィチュールのお店をopen

高濱 最初お店を始めるときに、『M』は店主の『Mother』という意味と、『みつ子』という名をかけあわせて『M』なんですね。
間の『eri』は私の名前で、『樹』は父の『大きな樹のようなお店になるように』との願いが込められています。
それで『Meri樹』です。
30年くらい前に希望が丘という新興住宅地に畑だけを持っていました。
父も母も畑が大好きで、週末農園に大阪から来て、農薬などを使わない野菜や、今でも珍しいガーデンハックルベリーを育てていたんですね。
それが元になって、こっちに移住してコンフィチュール店を開くことになりました。
ジャムは英語で、ペクチンで固めて作っているゼリー状のものというイメージがあります。
コンフィチュールはフランス語表記で果汁で煮て作るので、基本的にサラサラしています。
保存をするものという意味があるので、季節の果物や野菜など、そのままの味を瓶で保存して、昔のヨーロッパとかで物が取れない冬の間に食べていくような保存食となっています。

 

ともとはお母さんがジャム作りが好きで近所にも配っていた

高濱 母がもともと、ジャム作りが大好きで、自分が作った食材で添加物もなしで作って、周りに配っていました。
こちらに移住してからなにをするかを考えたときに、一緒にコンフィチュール屋さんをしようと決めて、母が以前から作っていた昔ながらのキャラメルも一緒に販売したいということで、今は私が作っています。
今は半分くらいが自家栽培で、有機肥料だけを使って作っています。
あとの半分は移住してきてからみなさんに協力いただいて、金柑や伊賀市のミカンを入れていただいたりで作ったもので、昨年世界大会で受賞させていただいて…ありがたいです。
今、ご飯系のものもあって、『おかずジャム』というシリーズも人気があります。
食材と甘酒の麹を発酵させる新しい作り方で、もともと岡山や鳥取方面で昔からあった『ゆず味噌』は麹屋さんのレシピが元になっているのですが、それを伊賀の醤油を使ったりして、ちょっと濃口の仕上がりにした、佃煮ともろみ味噌の中間くらいの味に仕上げていて、自分のところで穫れた春夏秋冬の食材…ふきのとうもあるし、珍しい花山椒、実山椒、茗荷、生姜…季節で採れるものによって、その時期その時期作ってゆく…伊賀の季節を感じられる商品を作っています。

 

ーマレードの大会に出品することはとても勉強になる

高濱 イギリスの大会で『ダルメイン世界マーマレードアワード』というのがあるのですが、前から憧れていました。
いつかは出品したいと思っていましたが、なかなかイギリスは敷居が高く…。
そうしたら柑橘王国の愛媛県で開催するとわかって出品しはじめました。
著名な方の評価をいただくというのはなかなかない機会ですし、感想もいただきました。
今は8商品くらい受賞しています。
向こうは豊富に、いろいろな柑橘があるので、受賞は向こうのほうが多いは多いんですけど、いろいろな組み合わせ、初めて見る柑橘など、いろいろなものを勉強させてもらっている感じですね。
驚いたのが、去年受賞したもので、甘夏と河内晩柑とデコポンの3つの柑橘を使ったものがあって。
3種類を別々に仕込んで、最後に一緒にして、うちで採取したニホンミツバチのはちみつを入れて味を良くしているのですが、食べただけで、3つ別々に仕込んだと理解しているという評価をいただきまして、あれには驚きました。
食べたら一緒なんですが、別々に仕込んで最後に合わせていると、評価にちゃんと書かれているんです。
なんという味覚なんだろうと、驚きました。

 

婦さんもお年寄りの方にも食べてもらえるように。それがコンセプト

藤森 無添加で作っているということろに安心感があって、来てくれる方もいます。
もちろん味が美味しいということも言ってくれますが。
本当にその、添加物でアレルギーを持っている方は、本当にいろいろ身体に良いものを探しているので、それで探して来てくださる方も多いし、何度も注文してくれる方もいます。
ペクチンアレルギーの方が来られたり、精製したものを入れるとアレルギーが出るので、果物が本来持っているペクチンだけで作っている無添加のものが探してもなかなかないので、と言っていただきました。
私たちも完全に無添加のものを販売するということを、守りながらやっています。
そこが一番の店主の想いというところですね。
無添加で、安全で、いろいろな世代の方、妊婦の方、お年寄りの方に食べてもらえるものを作りたいというのがコンセプトなので、それをずっと守っているところです。
それが受け入れてもらえているのだと思います。

高濱 狭い畑を何ヶ所かで回しながら作っているので、一年中収穫と仕込みとでバタバタしています。
でも本当によそにはない商品が多いので、そこが良いところかな、と思います。