FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年7月1日

松阪から伊勢奥津駅までの43.5kmを、およそ80分かけてのんびり走る『名松線』。
平成21年の台風被害を乗り越えて7年後に全線復旧を果たしました。
今回は『名松線を元気にする会』の代表、中田かほるさんがお客様です。

Lを走らせる会だったのが廃線の危機になり『元気にする会』に変えた

名松線が災害で止まったのが平成21年だったかな。
『SLを走らせよう会』を立ち上げようと、そういう活動をしていたんですよ。
だけども、もう廃線とかになって復帰が難しくなってきたというときに、SNSで言っていても実現不可能な話ではなく、名松線を復旧してもらうために、地域や沿線を自分たちを元気にするようにしないといけないということで、『名松線を元気にする会』にしました。
私が興津駅近くで商工会をやっていたり、かわせみ庵をやっていたこともあり、沿線で活動をしている人に会長をしてもらえないかという話になり、私が会長を引き受けました。
おおかた10年になりますね。
復旧当時の賑やかさを、もう一度取り戻したいという気持ちはあります。
なかなか現実が…当時は観光客もたくさんきましたが、コロナがあったり…なかなかね。
来てくださるという方が少なくなって、活動自体がなかなかできないなという中で、写真集などを作り、配布させていただいています。
名松線の良いところのPRをさせていただこうということで、これを見て、また名松線に乗りに来たいなと思ってもらいたいですね。
今回第6号ができるのですが、こういうふうな活動を地道にしております。

 

月、90歳以上のおばあさんが列車に乗って折り紙を持ってきてくれる

折り鶴がいっぱい置いてあるでしょう。
90いくつの方が、津の市内の方から毎月、折り鶴を折って、月に1回必ず来てくれて、「みんなに配ってあげてな」と言ってくれます。
これを受け取ってもらうのが楽しみで、これを折るのが楽しみで、このゆったりとしたローカル線に一日乗って来るのが楽しみと言われます。
こんなふうに利用して楽しんでくださる方もいるので、なんとかしないといけないなという気持ちはありますが、どうやって利用客を増やせば良いのか、なかなか難しいですね。
ああいう雰囲気を味わえなくなるとね…地域も元気にしていましたし、なんとかしなきゃという気持ちが伝わってきたので、あのときは良かったですね。
名松線は、美杉のシンボル的な存在だと私は考えていたので、それがなくなったら美杉が静まり返るというか…なんの元気もなくなっていくとのではと思っていたので、名松線が廃線になるかとなったときは、必死でしたよね、自分も。
せっかく復旧してただいたからには、ただ喜ぶのではなく、なんとか一人でも利用者を増やして、乗っていただいて、もしなにかあったときでも、廃線という言葉が聞こえなくなるような活動をしなければ、という気持ちはあります。

 

樹祭は毎年開催。たくさんの木を植えてきた

かわせみ庵で毎年『植樹祭』を開催しています。
ボランティアを募集して、毎年100組前後来ていただいています。
コロナ禍の中、どうしようかなと心配しながら、募集も新聞だけにしたのですが。それでも80〜90組の方が参加してくださいました。
今年は365の、通りが見える山に植えさせてもらいました。
できるだけ青い山を取り戻したいということで、最初は景観ばかりを考えて、桜とか紅葉とか、桃とか、色のあるものばかりを植えていました。
しかし最近は猿害などもある、山の奥の方も荒れてきているので、クヌギやふドングリなども植えるようにしています。
ここも最初は普通の民家でした。
なんにもないところで、ローカル線で来てくれた人が休憩するところがありませんでした。
名松線はローカル線ですから2時間に1本なんですよ。
休むところがないし困っている人がいるよ、ということでこの地域の商工会の女性部で『なにかしようか』という話になって、メンバー8人で一気に立ち上げて、ここも無償で借りて、やってみようかと始めたのがきっかけです。

 

着駅サミットを行いたい

名松線の『伊勢奥津駅』が終着駅です。
この終着駅をメインにして、何加工イベントができないかなと考えています。
自分が元気で動くことができるあいだに、イベントをなにか立ち上げてほしいと働きかけています。
よそにはない、ローカル線の終着駅ですので、『終着駅サミット』のようなものを考えています。
興津宿の陣とか、いろいろなトラックのイベントやビンテージの商用車のイベントもずっと行ってきました。
ここに写真もあります。
その後コロナでイベントはできなくなりましたが。
『興津宿の陣』というのは、興津でするときの名松線のイベントだったのですが、これも最初の頃はコスプレとか、やったことがあります。
賑わっていましたよ、本当に。
最初の頃のイベントの頃は広場でジャズバンドをしてもらったり、ミニSLのディーゼルカーも走らせていました。
今考えると、とても懐かしいですね。
よくがんばっていたな、と思います。

しゃあないでがんばろうな、という感じですが、それだけでも良かったな、今日は…という気持ちになりますね。

午前5時56分。
伊勢奥津駅始発の時間。
ゆっくり、のんびり、焦らずに。
日々の幸せが詰まった列車は、午後8時26分、美杉の山へ帰ってきます。