三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2023年8月13日

桑名市で昭和36年から続く『大洋産業』は、上下水道資材を中心に、桑名市の伝統産業である『鋳物』を製造しています!
400年の歴史を持つ桑名の鋳物文化や、モノづくりの魅力について地域に発信をしていきたいと、今年6月末に鋳造の体験ができる施設『CASTER HOME』をオープン!
講師役は、実際に製造現場で働く大洋産業の社員たちで、職人直々の指導の下、箸置きや小皿、おちょこなど、世界でひとつだけのオリジナル作品を作ることができます!
業界の未来を担う人材づくりにも繋げたいと、今後に期待!

鋳型(いがた)と呼ばれる型に、溶かした金属を流し込み、固めて造られた製品を『鋳物』(いもの)といいます。
桑名は江戸時代から鋳物の町として栄え、ストーブ、ミシン、ガス機器など日用品の他、近年では工業製品や建設材料等を主力として発展してきました。

 

『鋳物の町・桑名』で『産業観光』をスタート!
『鋳物』を製作する『大洋産業』が新たに取り組みを始めたのが、『鋳造(ちゅうぞう)体験工房CASTER HOME(キャスターホーム)』です。
鋳造というと『熟練の職人技』といったイメージがありますが、本当に体験できるのでしょうか。

 

こちらが『鋳造体験工房CASTER HOME』。
オープンは今年の6月27日。
まだできたての工房です!

 

大洋産業『鋳造体験工房CASTER HOME』の鈴木奈央さんに、この工房についてお聞きしました。

「こちらでは鋳物を作る体験をすることができます。
真ん中が講師の席になっていて、周りを取り囲むように生徒さんが座り、体験をしてもらえるようになっています」

 

完成品がこちら。
左から箸置き、コースター、小皿、おちょこです。
スタッフがしっかりサポートし、完成までお手伝いしてくれます。

体験メニューは予約制
予約はWEBサイトから
箸置き(2つ)3000円(税込)
コースター  4000円(税込)
小皿     4000円(税込)
おちょこ   5000円(税込)

 

『鋳造体験工房CASTER HOME』を運営するのは、昭和36年創業の大洋産業。
現在の社員は、およそ70人。
上下水道用の資材を中心に、鋳物製品をつくり続けてきた、桑名を代表する鋳造会社です。

 

大洋産業代表取締役の影山彰久さんに、この体験工房を作った経緯についてお聞きしました。

「大洋産業では、水道メーターBOXや道路にある小さなマンホール・・・水道に関わるいろいろな物を作っています。
多品種の小ロットに特化しているので、ウチは持っていますが、業界全体としては同じものを大量に生産するとなると海外の方がコストが安く抑えられることができますので、厳しい状況ではあります。
桑名の伝統文化である『鋳物』は僕たちが育んでいるということを自覚し、より多くの人に『大洋産業』と『鋳物』について知ってもらいたく、工房を始めました。

製造業は非常に人が集まりにくいという側面があります。
しかし当然ながら僕たちのような仕事をしていく人間もいて、その仕事を面白いと感じています。
その魅力を一緒に共有したいですね」

『鋳物体験』子どもから大人まで体験可能。
10歳以下は1名につき大人の付き添い1名が必要となります。

 

今回、『鋳物体験』を指導してくれるのは、大洋産業の社員である大橋裕也さん。
作るのは『コースター』です。

 

木枠に型になるものを置き、砂を入れていきます。

 

砂を入れたら固めていく作業。

 

ものづくりの未来を見据えた伝統産業の新たな取り組み。
鋳造体験工房のプロジェクトは、20代、30代の若手社員を中心にスタートしました。

 

「結成されたのが2年前です。
まずはどういうものを作るか、どうやって体験をしてもらうかっていうとこから・・・試作や会議を経て、ようやく今年建物が完成して、本格オープンとなりました。
『鋳物づくり』と言っても、あまり知らない人が大半なので、こういう風に作られてるんだということを感じてもらい、こんな良い物が桑名市にあるということを知ってもらえると嬉しいですね」

と、鈴木さん。

 

鋳物の型作り、完成です!

 

溶かした錫を流し込むのはスタッフの作業。
固まるまで5分待ちます。

 

コースターの完成!
完成品は土を落とし、当日持って帰ることができます。
自分だけの特別な一品です!

 

「『鋳物』というものを知ってもらい、作る工程などを覚えてもらって、伝統ある鋳物業界を残す人材を確保出来たらいいなと思います。
いつか、体験に来てくれた人と働くことがあると嬉しいですね」

と、大橋さん。

「『鋳物の街・桑名』と言われていますが、知名度が低いのがネックとなっています。
どんどん伝えていって、桑名のPRなどにも繋げていきたいと考えています」

と、鈴木さん、

「小学生や中学生の社会科見学、高校生・大学生のインターンシップなど。
学生のみなさんに来てもらうことで、将来の選択肢のひとつになってもらえれば、鋳物の業界も少しずつ活気づくのでは、と思っています」

と、影山さん。

砂の中から鋳物を取り出す、ワクワクドキドキの瞬間。
それが、社員のみなさんが自らの体験を基に伝えたい、ものづくりの原点です。
あなたも鋳造体験してみませんか!?