三重テレビ『ゲンキみえ生き活きリポート』2012年11月18日放送

地域に眠る『宝』や『魅力』を伝えるため、住民みんなでボランティアガイド!
遠洋漁業で栄えた町ならではの『お宝』も発見できますよ!

南伊勢町の『礫浦(さざらうら)』は、岬の先端に位置しており、町の右側に海、左側にも海といった、まさに、海に囲まれた場所です。
『さざらいし』と呼ばれる小石がたくさん転がる地域にできた集落であったことから、『礫浦』と名付けられました。
かつては遠洋漁業で賑わったこの町には、いくつもの『宝物』が眠っているそうなんです。


そんな礫浦に眠る宝を案内してくれるのが、地元の有志で結成された『礫でそぞろあるき』のみなさん!
ふるさとの宝、魅力を伝えようと、昨年からボランティアガイドをスタートさせました。


『礫でそぞろあるき』代表の、羽根豊年さん

羽根「自分たちが小さな頃から遊んでいた場所が、実は古墳であったり、狭い路地などの貴重な町並みであったりしたことに気づいたのです。
また、過疎高齢化が進む中、少しでも町が元気になるお手伝いができたらと思いまして」


早速、『礫でそぞろあるき』ツアーに出掛けることに。
礫浦の宝物を歩いて、巡るコース。
案内は、代表の羽根さんと、メンバーの中村光喜さんです。

礫浦は、かつて遠洋漁業で栄えた町。
とはいえ、ここから直接遠洋漁業に出たわけではなく、もともと小さなカツオ船だったのが、徐々に大きくなり外洋に出ていく・・・という歴史があったそうです。
遠洋漁業が盛んだった頃は、礫浦の船は、インド洋、大西洋と、世界中の海を回りました。
その期間、長い時で2年間!

中村さんも昔、遠洋マグロ船に乗っていたとか。


こちらは、海に繋がる『鏡池』。
昔は巡航船の船着場があったそうです。
南伊勢町の中心は五ヶ所という町なのですが、伊勢に行く場合は、そこまで行かないとバスがありませんでした。
ここ礫浦には道路がなかったため、交通手段は船。
五ヶ所まで行き、そこから伊勢へ出て行くためには、巡航船で五ヶ所まで出なければならなかったのです。

そしていよいよ、この地域のお宝を披露!


万木幹次さんのお宅には、なんとバリの木彫りの女性の置物と、象牙の彫り物!

『宝物』とは、遠洋漁業に出ていた礫浦の人たちが世界各国で買い集めてきた、珍しい品の数々だったのです!
今では輸入することができない貴重なものも多いそうで、もちろんこの象牙の置物も、現在では輸入できません。
万木さんは14~5年、遠洋漁船に乗っていたそうです。


こちらは福田豊郎さん宅。
ブラジルで手に入れた、アマゾンの蝶で彩られたトレイと、ペルーで買ったというお土産。
インカ帝国時代のもの、と聞いているそうです。


他にも、砂漠のバラやボトルシップなど、礫浦のあちこちのお宅に、世界のお宝が点在しています。
その家の都合に合わせてお客さんを案内する・・・それが、『礫でそぞろあるき』のガイドツアー。
小さな岬の町からつながる世界への糸。
それが「礫浦の宝物」だったんですね。


さらに、礫浦には、他にも隠れた宝物が。
薬師堂の中に入り、さらにその奥に進むと・・・。


なんと古墳が!
こちらの日和山古墳は、7~8世紀の築造とされる横穴式石室。
全長7.8mで、この地域では最大級のもので、町の指定文化財に指定されています。

ここは『礫そぞろあるき』で必ず案内してもらえる場所。
確かに見る価値があります!


そしてガイドツアーの最終地点は、礫浦の町を一望できる山の上にある、『浅間神社(せんげんじんじゃ)』。
礫浦の人たちは漁に出る際、必ずここにお参りをしてから出港したと言われ、まさに、礫の守り神的存在。


この『手洗い石』にも『お宝伝説』があり、昔から、「この村が困ったときにはこの石の下を掘りなさい」と言い伝えられているそう。
しかし誰も何が埋まっているのか分からないということ。
「もしかしたら、『一生懸命働いて頑張りなさい』という意味が込められているのかもしれませんね」・・・と、羽根さん。


ふるさと礫浦の宝。
それは、昔ながらの人のつきあい。笑顔。

そして、地元に暮らす人みんなで、地域を盛り上げよう、来る人をもてなそうという・・・という思いです。
世界中の珍しいもの、そして地域の宝を見に、礫浦へ来ませんか!