FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年9月23日

大台町下三瀬から大紀町三瀬川をつないだ渡し船。
江戸時代、『三瀬の渡し』と呼ばれた船は熊野古道を歩く人や地元の人々にとって重要な交通手段でした。
今日は、2009年にこの渡し船を復活させた『三瀬の渡し保存会』の前納俊郎さんがお客様です。

リの熊野詣と呼ばれた江戸時代にたくさんの人が乗った

室町の頃とか、その頃からしているのではとされています。
一番最盛期が、1800年前後の江戸時代です。
1年に川を渡る人が3万人くらいと言われています。
江戸やらから伊勢神宮に参るでしょう。
そのついでと言ってはなんですが、その足で今度は熊野三山参りをするということで。
『蟻の熊野詣』と例えられてるほど、非常に多くの人が渡られていたと聞いています。
『三瀬の渡し』が設立されて活動を始めたのが2009年、平成21年ですね。
それより5年前に熊野古道が世界遺産に登録されまして、その5年後から我々が活動をはじめたと。
昔から対岸に『三瀬川村』というのがあります。
こちら側は『下三瀬』なんですが、三瀬川には古文書が数多く残っていまして、こちらからあちらへ渡すのが『三瀬の渡し』だと書き残した文書があります。
われわれ、下三瀬側も、『ここが旧三瀬の渡しですよ』と語り継がれているということで、私も母親からそんな話を聞いていました。
ですからそこを拠点として活動することになった、ということです。

 

るさと案内人の会と保存会が一緒になって立ち上げた

『大台町ふるさと案内人の会』というのがあるんですよ。
その人たちが『三瀬の渡し』を保存して後世に残していこうといろいろ話をされていました。
それから一方、われわれ下三瀬の方でも町おこしの会議を開いていました。
例えば野菜売り場を作ろうとか、いろいろ意見が出てきたのですが、その中で『三瀬の渡し』を復活させようという案も出ました。
それが採用され、『ふるさと案内人の会』と『三瀬の渡し復活』と、ちょうど合わさって2009年に発足した、と私は聞いています。

 

丈にロープで固定していたが、台風で川の水量が多くなってしまった

昔から宮川は『暴れ川』と呼ばれています。
水源の大台ケ原や尾鷲方面は昔から雨の多いところなので仕方ないのでしょうが。
『暴れ川』というだけあって、今日はこんなにスッキリしているたのに、一度台風が来たり雨が降ったりすると、非常に推移が増すんですよ。
通常は真っ青な清流なんですが、台風が来ると一変して濁流に変わります。
先日、8月のお盆の頃の台風で船が流されてしまいました。
われわれも常に暴れ川ということで気をつけていて、通常はロープ2本で管理しているのですが、台風のときはそれに1本加えて、万全を期していたつもりでした。
しかし、やむなく流れてしまったということで、非常に反省していることろです。
保存会のメンバーは25人いますが、かなり高齢化が進んでいて、これから先、ずっと維持できるかの心配があります。
それは置いておいて、やはりこれからの大台町とか熊野古道とか、観光のことを考えますと、ぜひとももう一度復活させて、また新しく渡し船保存会を再生したいと考えています。
これから保存会のみんなと話し合いながらやっていきたいですね。

 

の絵を見て、渡しを掘ったら昔の石畳が出てきた

発足の目的の一つが、『コミュニティ』の一つということがありました。
最近は、みんなで寄ってワイワイ騒ぐということがなくなってきました。
船の渡しをやるとなると、みんなで寄ってきて、その後、渡す時間よりもみんなでお茶を飲む時間の方が長いと…そういう面がありますね。
渡し船に関わることになってから、地元に関しての歴史に興味が湧いてきて、一生懸命やらせてもらっているような感じです。
一昨年、新しい発見がありました。
1853年の『西国三十三ヶ所名勝図会』というのがあり、その中にここに、渡し場があるというイラストがありまして、よく見ると『三瀬の渡し場』があるんですよ。
そこが50cmほど土が積もっていたので、発掘したんですよ。
土をどけたら、渡し場が出てくたんですよ。
渡し場は普通、水位が上がるとどこから乗ればよいかということで、桟橋が浮き上がればどこからでも乗れますよね。
ところが岩や河原だと行けないということで、岩を削った『渡し場』というのが、ここの水位だったらここから乗れる、もっと水かさが増したらこちらから乗れるというふうに、昔の人が岩場を削って階段状にして、どの水位からでも乗れるように、合わせて作ってあるんです。
そういう発見があったのが、非常に嬉しかったですね。

訪れた人の喜んだ顔が何よりも嬉しいですね。
ありがとうの言葉で大変喜んでいただくと、本当に良かったなと思います。
そういうことがあると、またやろうという元気が湧いてきます。
これからは地元のことも考えながらやっていければいいなと思います。