三重テレビ『ゲンキみえ生き活きレポート』2023年10月8日

桑名市で住宅資材の販売、配達を手掛ける「(株)ダイマル」の三代目、西塚卓郎さんは、本業の傍ら、古材の「救出」を行い、新たな使い手に繋げる新事業「tsunagu(つなぐ)」を始動!
古民家等の解体現場に自ら足を運び、使わなくなった古材や、木工家具、古道具等を引き取って、必要とする人に販売!
最近のDIYブームや、アンティークブームもあり、住宅や店舗の内装、インテリアとして古材が生まれ変わるケースも。
もっと多くの人に古材の良さを伝え、木材の循環について知ってもらうきっかけづくりにしたいと、救出した古材や古道具を保管する自社倉庫を月に一度開放。
飲食店等と連携したマルシェイベントを開催するなど、活動の幅を更に広げています。

埃立つ古い家屋でひとり作業する西塚卓郎さん。

解体にしては丁寧な作業。
一体、何をしているのでしょうか。

 

「床板を外してこの木をもう一度使えるようにしたくて…収集といいますか、僕は木の『救出』と呼んでいます。
解体する前に、家主さんから声をかけてもらって、使える木たちを集め、それをもう一回家具や家の建材にします」

と、西塚さん。

 

「解体業者さんだと、お家を解体するのが目的で、機械とかで時間を短く早く壊して木を片づけますが、僕の場合は木を活かす為に機械とか使わずに手で行います。
この家は築60〜70年とお聞きしていますが、また更に同じ期間くらい使ってもらえるよう、活躍できるような場所に移すのが僕の仕事です」

限りある資源を人から人へ繋いで、持続可能な未来にするために。
木の温もり、木材を使った技を、絶やさぬように。
西塚さんは汗を流します。

 

こちらは桑名市にある古材、古道具の店『tsunagu』です。
ここに西塚さんがいるとのことです!

 


 
「ここでは解体される古民家等から使わなくなった古材や木工家具等を引き取り、リユース、リペア、アップサイクル等をして再利用する取り組みを進めています。
DIYの材料や、インテリアとしての活用を目的にした一般のお客さんを始め、建築関係者や設計士さんなども来られます」

 

建具なども多数取り扱っています。

 

「これが一番最初に救出させていただいた木です!
120年ぐらい前のお家から木の床の板を釘を取り外しました。
最初だったので上手にいかずに割れてしまって、それも今となってはとても良い思い出です」

 

「木には昭和14年と書かれています。
これを次の時代に繋いでいきたいのと、僕の中でこういう昔の字が書いてあるのが結構当たりで、とても嬉しくなります」

と、西塚さん。

 

そんな西塚さんは、1950年からつづく住宅資材の販売・配達を手掛ける『株式会社ダイマル』の三代目、見習い中。
30歳までは名古屋で会社員をしていましたが、自ら志願して木材の世界へと飛び込みました。
西塚さんは家業の傍ら、木材を救出して未来へつなぐ仕事をしています。

 

「祖父の代から木材に関する仕事をしていて、木に愛着がありました。
この業界に来た時に、思っていた以上に端材や使わなくなった木を処分されてるのを見て、もったいない、寂しいという気持ちになりました。
入社して一年ほどでコロナ禍が始まり、在宅勤務の人が増えて、ちょっとしたリフォームとかリノベーションされる方が増えてきました。
その時、たまたま古いお家にお邪魔して新しい木を運んだ時に、大工さんたちが古い木を解体していて、それを見てこれは使えるのではないかと思い、古い木の救出をはじめました。
正直、周囲の反応はあまり良くなかったです。
連絡をくれた大工さんからも、こんなん持っていってどうするんだとか、あまりポジティブな感じではありませんでしたが、やってくうちに、使いたいというご相談がだんだん増えてきたので、手応えはあります!」

 

「使えなくなった材木など、お金を出してまで処分してほしいというのに、なんでわざわざ集めてくるのかと思いました。
しかし今の時代は本当に何がヒットするかわからないので、興味ある方が意外に多いのかもと。
不安もありますが期待もしています。
最終的には、建築に関してでも、古材に関してもいろいろな人が相談に来るような会社になり、その人物になって欲しいなと私は思っています」

と、㈱ダイマル二代目社長である、父、正浩さん。

 

二代目のお父さんにも、認められつつある 古材の救出活動。
この日は、菰野町の、ある物件で救出作業です。

 

依頼主のご夫婦にお話を聞きました。

「たまたまお店が開いているのを見て、中を見たら古いものがたくさんあるので、あとから夫が連絡を取りました」

「Instagramを見たら床を剥いでる動画があったんですよ。
たまたま家内の住んでた家を解体することになっていて、壊して燃やしまうよりは有効活用してもらえたら、また木材も生き返って良いなと思いました」

「自分が暮らしていた家が壊れてくのは寂しかったですが、とても丁寧に取り外していただきました。
再利用してもらうのは良いことだと思い、今はとても喜んでおります」

 

本業のかたわら、ひとりで古材を救出している西塚さん。
お店としての『tsunagu(つなぐ)』を営業できるのは月に1度が精一杯ですが、
それでも、活動をもっと広く知ってもらおうと、マルシェとも連携。
その繋がりは、どんどん大きくなっています。
思い描く未来へのビジョンが、少しづつカタチとなって見えはじめています。

 

カフェや雑貨店の内装、備品等に救出した古材が再利用されることも増えてきています。

 

「ちょっと大げさですけど子どもが嫁に行って、そこでみんなから可愛がってもらっている、みたいな感じかな。
ぐっとくるものはありますね、毎回。
どうしても『処分』とか『捨ててしまう』という選択肢が先に来てしまいがちですが、そこに『もう一度使う』というのも含めてほしいですね。
第一選択肢が『捨てる』ではなくて、『また別な形でもう一度使う』と思ってもらえるようになるのが今の夢です」

と、西塚さん。

あなたも古材や古道具を、未来へつないでみませんか?
営業日は、Instagramでご確認ください!