FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年10月7日

今回は玉城町『たかやま葡萄園』の高山幸子さんがお客様です。
水道関係のお仕事をしている高山さんのご主人が多気町に葡萄園を作り、獲れた葡萄は玉城町で販売しています。
夫婦2人で19種類。
今年も甘い葡萄が出来上がりました。

切に育てていたグミの実を猿に食べられ、それが悔しくて葡萄を作った

畑に『ビックリグミ』という木を、近所の友だちが植えてくれました。
それがビックリするくらい実がなっていたんですよ。
明日収穫だというときに、山からお猿さんが下りてきて、ぜ〜んぶ食べられちゃったんです!
腹が立てた主人が、これはダメだということで、玄関先にイチジクやら葡萄、ざぼん、サクランボ、いろいろな種類の食べられる植物を植えました。
その中に葡萄があったんですよ。
あれ、葡萄はここらへんでもできるんや、ということで、また近くの友だちの畑を借りて、小さなミニハウスを建てて、そこで葡萄の木を5本ほど育てたところ、実がなりました。
喜んで、そうこうしているうちに親戚がいちごハウスをやめて空きが出たので、そこに葡萄を植えたいと主人が言い始めました。
そんな、水道屋さんもやっているのにとんでもない!
と、私は思って、絶対手伝わないと言って許可しました。
そうしたらやっているうちに、なんか楽しくなってきて。
悔しいんですけど、楽しくなってきて、2〜3年目にちょっと手伝っても良いかな…と思ったら、私がハマってしまい、今に至ります。

 

月に水がしたたり落ちる頃は命の循環のようで小さな美がつくと可愛くて仕方ない

冬の間はずっと、枯れた木のようになっています。
そして2月の末くらいになると、水が滴り落ちてくるんですよ。
3月にかけて。
そうすると、命の循環がはじまったような気持ちになります。
4月になると芽が出ます。
それからしばらくすると葡萄の形が見えるんですよ!
うわ〜!誕生だ〜ッ!と思って魅了されました。
そからだんだんと大きくなると、お世話が大変なんですけど、もう本当の子どもみたい。
きかん坊の子どもを扱っている感じなんです。
目の前に与えられたことは、しないとダメだっていう子育ての義務感じゃないけど、なんでしょうね。

葡萄は最初、3cmに落とすんですよ。
大きくなってくるので。
3cmになったところで花が咲きます。
それから種抜き処理をして、また数日経ってから粒が大きくなるようにします。
そうすると粒は早く大きくなるので、今度は実が満員電車で押されている感じになります。
ひと粒ずつ、粒を『摘粒』といって、粒を落とさないと駄目になるんです。
その作業をしていると、どの粒を落とすそうかとか、とても悩みます。
40人学級のクラスを思い出してしまって、1つのまとまりの良いクラスにしようと思うと、下や上や横を向いている子は、ちょっとごめんしてと言って、切るんですよ。
そうするとまとまりの良い形になってしまうんです。

 

道屋をしているので重機もあり、水やりが簡単にできるように整備した

根域制限栽培といって、根っこが広がるのを制限して、葉っぱの枚数も制限して、水も調整するというやり方をすると、とても美味しくなるんです。
ですから、買っていただいた方が誰かにプレゼントすると、もらった方が必ず来てくれます。
それがありがたくって、今に続いています。
水道屋さんをしているおかげで、重機もあるし、地ならしもすべて機械ですることができます。
転圧機もあるので、ハウスのお水の配管などもできます。
水道屋さんなので取引先もあります。
だからとても役に立っていますね。
自分たちで何でもできてしまうという。
自動で水が落ちるようにという配管も、自分でしてという感じですね。

 

萄の木は、次の枝に養分を注いで枯れていくので、自ら枯れるまで枝は切らない

本当に葡萄のことを知らなくて。
葡萄って最後に葉っぱが枯れますよね。
自分からちゃんと落ちるまでは絶対に葉を落とさないようにと教えてもらいました。
最後まで次に芽がつく花芽のところまで栄養を送っているので、落とさないようにしていると聞いて、ゾクゾクっとしました。
すごいなって。
輪廻とかってわからないのですが、最後までがんばってやっていたら、次の世代に役に立つのかなあと。
それがわかったら、なんだかすごいなと思って。
それからは枯れ葉がいっぱい落ちても、後始末をしないとと思いますね。
人間の後始末と一緒だな。
家の中もいっぱい片付けないといけない、とか我に返って。
なんだか、ちゃんとしなきゃいけないな、と思うんです。

使命ではないのだけど、目の前に与えられたことをしなきゃならない。
葡萄が教えてくれることはいっぱいあります。