FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年10月14日

いなべ市阿下喜。駅から続くゆるい坂道を上がると今回のお客様の秘密基地があります。
まちかど博物館『ドンチキ家(ち)』の館長、出口省吾さん。
中学校の理科の先生だった出口さんは、子どもたちに科学実験の楽しさを伝えています。

どもたちにおもしろ実験を体験させる。理科が好きな子のなんでかな?を引き出す

子どもたちに科学の楽しさを知ってもらおうかなと。
そしてその科学に進む子たちの手助けになれば良いな、と。興味をつけるという意味で『おもしろ実験』を紹介しています。
元教諭でしたので、この内容に関しては他の方よりはできるかな、と思います。
でもまあ、学校の授業というのはあんまり…面白いかどうかというと、面白くない場面もあるんですよね。
入試で点数を取らせないとあかんとか、そういう制約がかかってきます。
でも私が今やっているのは、理科が好きな子とか、サイエンスに興味ある子が、「なんでやろ、不思議やな」というきっかけづくりをして、その子たちが自分で探求していくと、そんなきっかけになればということで、楽しさだけを伝えているのが現状です。
退職した年に、子ども活動支援センターの理事になって欲しいと頼まれました。
お世話になった方ですので、理事になりました。
さらに講座をしてほしいということなので、科学だったら今までの仕事とあまり変わらないので、それで良いかと尋ねたところ、先方にも科学をやってほしいとの声が上がっていたということなので、ちょうどそこで考え方が一致したということです。

 

イエンスが『おもしろい』『合う』という子どもの気持ちを広げる

車輪を回して、その車輪を傾けると身体がクルクル回っていくという実験ですね。
子どもたちを回転台に乗せてやるので、身体がクルッと回る。
不思議だなあ、これってどういうふうになるのかなあ。
そんな形で、いちいちその原理を詳しく教えるつもりはないんです。
それだと学校になってしまうので、説明が嫌いな人はイヤになってしまいます。
自分で楽しいな、面白いなと思ったことを、自分で探求しながらやっていくのが大事だと思います。
子どもの頃に体験して、これは面白いなということを見つける、それが小学校中学校くらいかなと思うんです。
ですから小中学校の時期に、いろいろな体験をいっぱいして自分に合うものを探すと。
その中で、自分は科学やサイエンスが好きだなと思う子を、広げていくという意味もあります。
科学に興味があるかどうかも、こういう講座がないとわからないですからね。

 

こなった実験が日々の暮らしの中でこんなことに結びついていると教える

科学の実験でした内容は必ず、日常生活のこんなことに繋がっているんですよと結びつけています。
子どもたちは、この現象はこの実験から来ているのかとか、この機械はこの原理から来ているのかとか、そうやって繋がると日々が楽しくなるじゃないですか。
ですからちゃんと説明しています。
特に予想と違った結果が出ると面白いんですよ。
先日は大根を一本、太い方と細い方を糸で吊って、ちょうど釣り合うところで切りました。
右と左で重さはどうだろうと聞いたら、ほとんどの子は同じ重さと言いました。
しかし実際は違うんですよ。
これがまた、なんで違うんだろうということをシーソーの原理から考えると、そういうことなんだと繋がっていくかなと。
シーソーに乗って、体験している子は、それがなんとなく理解に繋がるのかなと。
やっぱりこどもの頃の体験って大事ですよね。
いろいろな本が出ていますので、自分が授業でやっていたものを改良したり、面白かったものを集めてみたりとか、いろいろなパターンがありますね。
もちろん考えだしたものもあります。
どんどん集めて、数はどんどん増えました。
今は280種類の実験があり、1年間では全部出しきれないです。

 

どもの頃の体験はとても大切。いろいろな不思議を体験させている

自分はできるだけ、いらないものから物を作るようにしています。
スパナでドレミファの音階を出したりとか、空き缶とペットボトルでトロンボーンを作るとか。
そのトロンボーンで曲を演奏したり。
身近ないらない者で何かを作ったり。
あとは牛乳パックでブーメンや手裏剣を作って、曲がる原理を考えてみたり。
回転することで空気の羽根の上下にかかる気圧みたいなものが変わることで、ある方向に力が働いて曲がっていくんだよとか。
飛行機が飛ぶ原理も、羽の形にあるんですけどね。
そういうことを子どもたちに簡単に説明して、原理的なものがなんとなくわかってもらえば良いと思います。
自分は小さな頃田舎に住んでいたので、自然体験かなと思って野山に行ったりいろいろ見たりしていました。
たまたま父親がものづくりが好きで、いろいろ作っていたのを見ていたもので、自分でも作ってみたいなと思っていて、実際、再生可能エネルギーのやつはほとんどものづくりなんですけど。
実験道具を作るのもそうなんですが、親の姿とか自然との関わりとか、色々なものを見たときに「なんでだろうな」という気持ちがあるかないか。
虹を見たときに「なんでこんなんでるんやろ」と思うか、「ああ虹やね」で終わるかで違ってくると思います。

実験をするときに、子どもたちにこれはどうなると予想させるんですよね。
自分の考えと違う結果になると、「なんで〜?」って顔をするんですよ。
その「なんで〜?」の表情が好きですねえ。