FM三重『ウィークエンドカフェ』2023年11月4日放送

四日市笹川の住宅街。
ここに毎年11月になるとオープンする焼き芋屋さん『はっとりさんちの焼き芋屋さん』があります。
今回のお客様、服部正徳さんのお店です。
9月に掘った芋は熟成し、食べごろを迎えました。

芋から苗を作り、様々な芋を育てている

いつも種芋から苗を取って、収穫して焼いています。
ですから珍しい品種の芋も、私の趣味で栽培しています。
最初は会社員をしていたので趣味で野菜を作っていて、焼き芋を作って、職場に持って行ったら、みなさんから好評で「美味しい美味しい」と言ってもらえました。
それでちょっと調子に乗ってたくさん焼き始めて、それから退職して本格的に焼き芋を始めたという感じです。
妻の父が亡くなり、遺産相続で田んぼを一反いただいたので、そこで芋を栽培しています。
最初は大豆を作ったりしていましたが、それがさつまいもになり、出荷するだけだとちょっと寂しいので、いっそのこと焼き芋屋を開業して、みなさんに喜んでもらおうと思いました。
今年は6種類です。
『いずみ13号』『ひめあやか』『ふくむらさき』『べにはるか』『ほしあかね』『あかねみのり』。
さつまいもは60種類以上あるんじゃないかな。
デンプン用とかお酒用とか。
べにはるか、シルクスイート、安納芋、鳴門金時…それくらいは有名ですよね。
でもそれじゃ面白くないので、苗を取り寄せて、聞いたことのないような芋を栽培しています。

 

々は干し芋用の芋。生産者が少なくなり、幻の芋と言われている

オススメは『いずみ13号』という白い芋。
昭和10年代から作られている干し芋専用の芋なんです。
甘くねっとりした食感は多くの人に好まれています。
干し芋は茨城県が本場なんですけど、そこでは幻の芋と呼ばれていて、ランク的には一番上です。
栽培する方が少ないんです。
なぜなら収穫量が少なく、なかなかたくさん穫れないのです。
ですから『幻の芋』と言われているんです。
最初はご近所のおばちゃん相手で、みんな喜んでくれるもんで、どうぞどうぞと焼いていました。
たまに初めてきた方が、「こんなところにあるなんて知らなかったわ!」と、半分怒られるような感じで。
ネットには検索したら出てくるので、それで探して来てくれるお客さんもけっこういます。
毎年新しい芋が出てくるんですわ。
新品種が。
だからそれを取り寄せて、どうかなと思いながら栽培しています。
天気が一番困りますね。
雨がたくさん降ったり、日照りが続いたり。
適度に雨が降って欲しいんですけど、なかなか思う通りにはなりません。

 

中3時に起きて4時から焼く。気温が5℃以下になると芋が傷む

大きいのはなかなか焼けず、2時間以上かかるので大変です。
10時に開店するために3時すぎに起きて、4時から焼き始めます。
パン屋さんみたいですね。
石焼きで、下から炙って、自作の焼き窯で焼いています。
はじめの頃は炊飯釜の丸いので、業務用の五升炊きで炊いていました。
けどもそれでは間に合わないので自作したりしましたが、きれいに焼けないので、何回も作り直して、現在のに落ち着いたという感じですね。
苗を作るのが2月頃。
植えるのが5月前。
だいたい4ヶ月ちょっと…9月の終わりくらいから掘り始めますね。
冬場が一番大変なんです。
2月くらいが一番気温が低いじゃないですか。
芋は5℃以下になると傷んじゃうんです。
ですから保管がもう大変。
150cmくらいの穴を掘って、そこに保管して2月を越えさせます。

 

によって焼き方がそれぞれ違う。今でも失敗する

品種によってぜんぜん違うので、よく失敗します。
『ふくむらさき』という品種は焼きすぎるとパサパサになっちゃうんです。
ちょっと柔らかいくらいで止めないといけない。
でもその『ふくむらさき』が美味しいんですわ。
食べたら自分で言ってなんなんですけど、和菓子みたいなんです。
ムラサキイモは基本美味しくないんです。
加工品…お菓子に加工する向けなんですけど、この『ふくむらさき』は美味しいムラサキイモなんです。
本当にオススメです。
フリマサイトで苗が出ていたら取り寄せてみて、栽培して。
やっぱり土地と合わないものもありますね。
安納芋は種子島が有名なんですけど、土地に合わなくてあまり美味しくなかったですね。
私の栽培技術もあるんでしょうけど。
水はけの良い土地が向いているのですが、そうは言っていられないもので。
ここは元は田んぼですから、水はけが悪いんですよ。
今はなんとかなっていますが、本当はサラサラの砂地が良いですね。

損をしない程度にやろうかな。
新しい、面白い芋を焼いて、みんなに喜んでもらおうかな。
もうはじまっています。