新熊野学講座「市木木綿~伝統を守る活動を通して」

■開催日時

令和5年12月17日(日)

午後1時30分~3時30分

■開催場所

映像ホール

■内容

 七里御浜沿いの純農村であった市木村(現御浜町下市木)で生まれた市木木綿は、使い込むほどに肌になじむ独特の風合いが好評を呼び、最盛期には奈良・和歌山をはじめ飛騨高山までその販路を伸ばしたと言われています。
 明治時代、市木村に住む大久保万太郎夫妻が、元来豊かとは言えなかった市木村の農民に仕事を与える為、副業として木綿織の技術を広めたことが市木木綿の始まりとされています。明治30年には村全体が市木木綿の織屋一色になり、まさに市木村の生活そのものと言える産業になりました。しかし、大正9年以降の世界的な不況と、化学繊維による衣料の大量生産の流れにより、生産者が徐々に減少し、現在は熊野市の向井浩高氏(向井ふとん店)が唯一の生産者となりました。
 向井氏は平成16年に閉業となった大畑織物工場から織工場を受け継ぎ、市木木綿を織り続けています。座布団や東袋など昔ながらの製品を始め、より市木木綿を身近に感じてもらう為、ブックカバーや御朱印帳、ペット用敷布団などの新製品も開発しています。2022年には「市木木綿を未来に紡ぐ会」を結成し、織工場を移設する為のクラウドファンディングを実施、同年秋には移転が完了し、市木木綿の史跡を巡るツアーや織工場の見学会を通して市木木綿の伝統や魅力を発信しています。
 本講座では、現在唯一の市木木綿の生産者である向井浩高氏を招き、かつてこの地方を代表する産業であった市木木綿の歴史や、伝統を守る活動についてお話をいただきます。現在も新鮮な魅力を放つ市木木綿について知っていただくと同時に、伝統産業を次の世代に繋いでいく取り組みについて考えていただく機会とします。市木木綿に関するクイズコーナーも予定しており、小学校高学年~大人の方まで幅広い世代に楽しんでいただける講座とします。

■その他

参加料・入場料 無料
定員 80名(要申込・先着順)
募集受付期間 11月11日(土)~12月16日(土)
講師 向井浩高氏(向井ふとん店3代目)
主催 三重県立熊野古道センター